Sさんの映画レビュー・感想・評価

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.2

人間模様をアースプラネットみたいな視点で観たかのようなひと時だった。

綺麗な風景と朴訥で毅然とした主人公の佇まいが、ひたすらに味わい深く、
余計な台詞を必要としない鹿の鋭い眼差しに宿る説得力に驚嘆し
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.7

これが実話だったら、身の毛がよだつような血みどろ群像劇であり、少年法を見直すキッカケにもなる作品。

舞台が沖縄だったり、原作が中国?だったりが要因なのか、よくある日本映画のじめっとした暗さを帯びず、
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i ai(2022年製作の映画)

3.5

ひー兄ちゃん、マジでdopeすぎる。

あの域までいくと、否定の仕様がない強烈なエネルギーがある。
まさに言葉になんてできない、一瞬で空を割く風みたいな存在。

ラストがちょっと語りすぎな気がしたけど
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

真実を解き明かすタイプではなく、真実を目撃しちゃってからが本題の斬新なストーリー。

唯一の目撃者である盲人に容赦なく押し寄せるスリリングな展開の連続に、予告編観た時の期待通り、全く眠くなることなく楽
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.7

今泉監督のシュールさを抽出したみたいな、どのベクトルも交わらない悲劇的な喜劇。

各々がマイペースでエゴが強いのに、お互いに個性を打ち消すような否定がなく、前向きでほんわかする会話劇が心地よい。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.4

体調悪い時に見る悪夢みたいな映像体験だった。

非現実的な恐怖の連続なんだけど、断片的には記憶や体験とリンクしてて、余計に気持ち悪いみたいな。

解説とか読んだら、また楽しめる余白が十分にありそう。
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.7

夜明け前の静けさや暗闇を乗り越えられる様に、陽が沈む前の夕暮れ時の穏やかさを蓄えさせてくれるような作品だった。

人を憂うと書いて、優。
なんて言葉を見かけたことがあるけど、その言葉を物語や人物造形で
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罪と悪(2024年製作の映画)

3.2

どうも大東駿介さんが主軸になると、Vシネ感が強いが、OPや中盤の閉塞的な街の鬱屈とした夕空の持つ空気感ごと内包したカメラアングルと情緒的な音楽に包まれた台詞のない部分の画創りが魅力的。

過去を背負っ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

狂児が綾野剛すぎるんだけど、ヤクザの雰囲気を纏わせたら一級品だし、コミカルな演技も面白いから、これはこれとして楽しめた。

ヤクザのカラオケ練習シーンは、原作超えてたと思う。笑

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.8

こんな面白かったのか!
4年前観た時、寝てたんじゃないの?っていうくらい楽しめた。

ストーリーはシンプルでも、台詞や構成と役者の技量で何倍にも映画ならではの面白味が増すのか。

現場的には殆ど、あの
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.5

テレビに出てるバケモノたちに才能だけなら引けを取らない、社会に淘汰されてしまったカイブツたちが沢山いるのかもしれない。

歳をとって、間を取り持つメガネ君や社会に抗えなくなった漫才師やホストにも、鍵を
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.5

地獄みたいな状況なのに、人間臭さ全開でコミカルタッチになる韓流ならではの描き方、割と好き。

しかも、出オチ的なあらすじでも、最後まで飽きさせない展開と迫力ある映像と演技力は流石勢いのある韓国映画界っ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.7

毎朝、家を出てまず上を見上げるの真似したくなった。

とにかく、台詞無しでも成立しちゃう侘び寂びの境地みたいな役所さんの演技をスクリーンで観れてよかった。
最後の喜怒哀楽を一挙に体現したような表情は、
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いますぐ抱きしめたい 4Kレストア版(1988年製作の映画)

3.4

これが渾身のデビュー作か!
まだカメラマンがドイルでないし、いわゆる香港スター映画的な作品ではあったけど、
隠してたコップを見つけたんだ!って伝えたりする辺り、やっぱ洒落てるし、
躍動感とスローな刹那
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.7

世界史もナポレオンも全然詳しくないから、シンプルな愛憎劇として楽しめたけど、史実に詳しい人からしたら色々ツッコミどこあるのかな。
とはいえ、戦闘シーンは迫力がありすぎて、鳥肌立ちました。

なんか、天
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市子(2023年製作の映画)

3.6

同じ海のカットなのに、冒頭とラストで全く違った印象を放つ。

けれど、市子に対する印象は不思議と変わらなかった。

彼氏の長谷川に見せた笑顔や涙と、同級生の北が見た笑顔と涙は、海のカットの様に全く違う
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(2023年製作の映画)

3.6

戦国時代のアウトレイジ。
というか、戦国時代なんだからそりゃそう。どんなにクレイジーでも、妙にあり得そうって観れちゃう。

日本の歴史を塗り替える一大事件の緊迫感すらも、人間の汚い部分や貪欲な性を滑稽
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.6

事件の規模としては国家レベルの大事なんだけど、映画的なストーリーとしては割と王道。

にも関わらず、これだけ最後まで緊迫感を保ち映画館で観たら迫力が何倍もあったであろう映像と演技のクオリティを発揮する
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花腐し(2023年製作の映画)

3.8

好きだなぁ、綾野剛演じる栩谷の哀愁溢れる雰囲気。

退廃的なんだけど佇まいに色気があって、全てを諦めてる様でそれ迄のことをぐるぐる思考してて、女性に全く媚びてないようで動物的な人間臭さも充満してて。
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正欲(2023年製作の映画)

4.0

LGBTQとか多様性なんて言葉だけが先行して普遍化しつつある昨今で、当事者の生きづらさや孤独感をゆっくりと体感させてくれる、日本映画では稀な作品だった。

原作未読だけど、大衆的な存在ながらもどこかミ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.6

ゴジラって、目の前で見たら一気に全てを諦めて絶望しちゃうくらい圧巻の迫力ありそう。って思うくらい臨場感あった。

戦後日本を舞台にしている点も面白い。
大逆境にも程がある。

ゴジラって原発や放射能、
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火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)

3.7

原作未読であまり期待せずに観に行った分、予想以上に面白かった!

普遍的なメッセージを壮大なSFで描き、難しすぎないストーリーで子供から大人まで楽しめる作品だと思う。

実写にしたら、結構えぐみが出そ
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.6

舞台役者でありスパイであり、女でもある。という混沌とした様で、話が展開するにつれて、より虚実が交わっていく。

これを映画という虚構で、歴史という事実を織り交ぜながら、しかもそれを誤魔化しの効かないモ
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.9

少し大袈裟に言うと、昨今の石井監督作品は、理不尽で不合理な生きづらい世の中で道に迷った時、本当に大切な行き先を照らしてくれる灯火の様な立ち位置になりつつあると思う。

石井監督の書く台詞にはパッション
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.2

原作があるから当然なのだろうが、いつもの今泉監督作品とは一味違ったビターな雰囲気だった。

ただ、これまでも表面的な表情の裏で抑圧された感情を炙り出すように描いてきた今泉監督が、この題材に挑んでいるこ
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(2023年製作の映画)

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一言で残忍な事件とか、酷い出来事とか、そんなふうに分かりやすく形容して衝撃に蓋を閉じて、いつのまにか風化させていた自分がいた事実を突きつけられて心が苦しくなった。

目を背けたくなるような、諦めたくな
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ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.7

山路のキモさもアップグレードしてて笑った。

にしても、やっぱりクドカンの脚本ってすごいな。掛け合いの中で生まれる笑いに社会風刺を含ませた遊び心のある棘って感じ。

ガッツリ国内スケールなんだけど、イ
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.6

岩井ブルーが凝縮されたような存在感を放つキリエの歌声に魅了された。

リリィシュシュのような残酷さと、四月物語のような初々しさと、花とアリスのような友情と、リップヴァンウィンクルのような孤独さと…
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白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.8

いやぁ〜面白かった。

純粋無垢な情熱と世間に染まった冷徹さの狭間、白と黒の間のグレー、だけどまだ夢見てる。

そんなグラデーションを、
時系列?一人二役?幻想か現実か?そんなの気にすんな、肩肘張らず
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.6

「わたし達は大人」に続き、余計な味付けがなく、ナチュラルな芝居と空気感が包み込まれた無添加のような作品。

すごくシンプルなんだけど、儚いBGMと車の後ろ姿だけで伝わってくる物悲しい画で紡がれたエンデ
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.2

背筋がゾッとするというより、眉間にシワを寄せちゃうような。そんな感じ。

小説や漫画よりも映像向きで、表現の施しどころが沢山あるし、登場人物たちそれぞれに感情移入がしやすい、よくできた面白い脚本だなー
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.7

疑念や差別、情報の鵜呑み、戦後の混沌、政治情勢…あらゆる要素が絡み合って良くない方向に引っ張られた末路が、あまりに地獄だった。

100年あまりで、こんな惨劇が信じられないくらい、今では情報リテラシー
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さくらな人たち(2009年製作の映画)

2.4

終盤に関しては、もはや台本無視して、演者,カメラマン共にお酒飲みながら舞ってたんじゃないかっていうくらいカオスだった。

媚びた笑いの取り方じゃなく、現場で本人たちが面白いと思ったものを提示した感じ。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

2.3

全然、分からなかった…。

勝手にもっとジブリっぽくない道徳的な内容なのかと思っていただけに、ジブリっぽい超えてだいぶカオスな仕上がりだった。

子供の頃ほどの感受性や想像力があれば、楽しめたかもしれ
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.2

主人公の自己主張の弱さに、正直見てられないって思ってしまったけれど、
同時に、彼女がそんな風になるまでの歳月を、あのセリフの少なさで体現している菊地凛子さんの凄さ。

ロードムービーは好きだけど、本作
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

緩やかに淡々と、けど、その全てが尊くて貴重な時間。
大人になったソフィの目には、若き父の姿はどう映っただろうか。

自分もソフィくらいの頃、祖父母の家に半月くらいお邪魔して、毎日プール行ったり散歩した
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