mzkさんの映画レビュー・感想・評価

mzk

mzk

映画(838)
ドラマ(0)
アニメ(0)

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

-

私はPMSに悩まされることもなければ、パニック障害を患っているわけでもなく、劇中のふたりが抱える「生きにくさ」に寄り添える人間とは言えないが、己を養う大変さはわかるつもりだ(便宜上、彼らの抱えるものを>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

-

ヘンテコな作品だった。毎朝のルーティンを捉えるカメラの置き方が印象的だった。カメラの置き方は日毎に変わり、繰り返しの日常に見えるが、変化も捉える。玄関の内側から平山を捉えるショットが好きだった。日常の>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

-

前作『女王陛下のお気に入り』は史実をベースに彼の持ち味が活かされた作品だったが、『籠の中の乙女』『アルプス』『ロブスター』『聖なる鹿殺し』に通じる奇妙さが好きなので、今回の作品は本領と言える。相変わら>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

-

牛の映画だが、牛は目立たず、男たちの行く末を見つめる。ケリー・ライカートの作品は、鑑賞の手段が少なく、ほとんどが未見だ。以前、『ウェンディ&ルーシー』を観たが、これも面白かった。旅の物語なのに、映画の>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

-

爆撃される役場で結婚する衝撃の幕開け。これまでに観た作品の中では一番キャッチーなファスビンダーかも。結婚生活一日未満で旦那は戦地に戻り、その間に色々な男と知り合いつつも、旦那に対する愛を貫く物語は普遍>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

-

冒頭で心を掴まれる。ヒロインのアンサは労働をこなして、自宅に帰る。ラジオはウクライナの現状を伝える。日常の疲弊と世の中の憂さが重なる感覚は誰にでもあるのではないだろうか。軽妙なやりとりと粋な台詞は健在>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

-

「酒とは古いつき合いだ 落ち着く」「戦友か」
「デートと言えば 映画を観て 酒を飲む これに尽きる」

ザ・キラー(2023年製作の映画)

-

私が求めるフィンチャーの映像とは言えず。編集のキレを絶賛するレビューも見かけるが、それはどうだろうかと疑問。もちろん、前提のハードルが高いのだが。
私は『ドラゴン・タトゥーの女』の冷たく、キレッキレの
>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

-

予告の雰囲気ではハイテンションな作風だが、寡黙に、着実に敵を葬るスタイルだった。ナイフ、ツルハシを使った近接格闘も愉快で、地雷の使い方も笑った。あんなに飛び散る肉片を見たのは久しい。不屈のじいさんもか>>続きを読む

ノベンバー(2017年製作の映画)

-

バキッとキマるモノクロの美しさはベルイマンの作品群、チェコの『マルケータ・ラザロヴァー』を思い出す。監督本人はファスビンダーのファンらしいが、その側面は読み取れず。ただ、撮りたい画があるのだろうとは思>>続きを読む

ゾディアック(2006年製作の映画)

-

〈再〉前半はミステリーの体裁を保つが、徐々にジェイクが狂い出す。事件にのめり込み、作品の方向性は一変。謎解きは鳴りを潜める。私たちの興味も謎解きよりも、ジェイクの狂気に惹かれる。白石和彌『凶悪』の山田>>続きを読む

ゲーム(1997年製作の映画)

-

〈再〉フィンチャーの作品を振り返る月間。一番奇妙かも。『ベンジャミン・バトン』よりもヘンテコだ。私だったら、今後の人生は猜疑心に苛まれる。しかし、コメディだとも思う。ベン・アフレックの佇まいのおかげで>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

-

感情の発露と変遷が丁寧で、尺の長さも納得。映画は、時間も感情も圧縮が可能だが、これは元々のサイズに近い。リアルタイムの感覚だ。感情の機微を描くには必要な尺だった。
主要な登場人物たちは恋愛と結婚にわだ
>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

-

登場人物が多くて、びっくり。まとめられるのかなとも思ったが、ご安心を。すぐに減った。序盤は控えめだが、徐々に盛り上がる。脚とか、臓物とか、クマの食欲は止まらないのだ。善人も、悪人も平等に屠られる。意外>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

-

クレイアニメと見紛う質感、マットな手触りが好みだった。ヒップホップが流れるのも楽しい。端的に言い表すならば、非常に猥雑なアニメーション。全体的にアンバランス、歪、非対称。丁寧に作られたアニメーションに>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

-

一番怖いのは「お前の家族に(いつでも)手を下せる」と見せつけるシーンだった。

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

-

途中、数回のうたた寝。しかし、映し出されるのは主人公の飲酒ばかりなので、うたた寝も大丈夫。物語の破綻、唐突な展開は、酩酊の映画化だった。脈絡は不要。それが飲酒だ。主人公も物語を語らない。イケてるファッ>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

-

初老の女性と外国人労働者の恋愛。八方塞がりのあらすじなので、すでに辛い。絶妙な距離を保ったショットは、夫婦を見つめる外野の視線と重なる。覗き見の感覚、冷徹な蔑視。徐々に苦しいのだが、ユーモアも見え隠れ>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

呆然。まず、事件の内容に驚かされる。実話かと。日本人の蛮行を見た主人公、お国に魂を捧げている男、穢多と呼ばれても強かに生きる行商人、モブの村人たちなど、描かれる人間の層が厚く、一度の鑑賞では追えず。パ>>続きを読む

バーニング 劇場版 4K(2018年製作の映画)

-

2Kの上映だったが、こちらに記録。大好きな作品だ。不穏なフェイスでお馴染み、スティーブン・ユァンの告白が口火を切り、物語は徐々に不穏な展開に転がる。彼の意味深長な発言は劇中の事象の暗喩に聞こえる。それ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

冒頭のバービーランドの描写は居心地が悪く、男性優位の社会(=現実)と似通う。完全な反転とは思わないが、バービーたちはバービーランドを完璧な世界だと言う。差別も行われれば、陰口も叩くのに。それでは完璧と>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

ぶっ飛んだあらすじに驚かされるが、クローネンバーグらしい。パンフレットのインタビューも面白く、物語の設定にもクローネンバーグなりの問題提起が見える。ゆえに、物語単体では理解が難しいとも思うのだが。
>>続きを読む

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

-

ひさしぶりに観た。U-NEXTに感謝。ふたりとも美しいが、エリを演じる子が絶妙で、男の子にも見える。綺麗な子たちだ。オスカーとエリの関係性も見え方が変わった。エリは、男性とも、女性とも言えず、人間とも>>続きを読む

ロボコップ(1987年製作の映画)

-

ひさしぶりに鑑賞。誤作動の乱射で笑った。ひどい。

戦慄の絆(1988年製作の映画)

-

結合双生児の話が出るが、主人公の双子は健常だ。ただ、精神的な結合が見える。双子のシンクロニシティーの話は稀に聞くので、クローネンバーグらしい題材だよねと思った。物理的な結合を引き裂くのは怪しげな器具だ>>続きを読む

未来戦記(2022年製作の映画)

-

知性を取り除いた『第9地区』のエビっぽい虫とか、多脚戦車っぽいロボットと戦うとか、好きな要素が多かった。空気の浄化を行えるが、爆発的に成長する危険な植物の設定も好み。しかし、全体的に肩透かしで、今ひと>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

-

まさか、こんなにアツい物語とは思わず。友情も、兄妹も最高だよ。

Pearl パール(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

前作のスラッシャー的なホラーとは異なり、意外な作品だった。もはや、ホラーとも言えず、切ない気持ちに。元々、パールはサイコパスで、アヒルを刺し殺すような人間だ。反面、自身のサイコな側面には自覚的にも思え>>続きを読む