高田ハンさんの映画レビュー・感想・評価

高田ハン

高田ハン

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ベイビーティース(2019年製作の映画)

3.5

ゆらゆら、ゆらゆら。痛みを伴って気付いたら抜け落ちるベイビーティース。

オーストラリア版「溺れるナイフ」かと思って見たけれど全くもって別物だった。

ミラが急に現れた少年に恋をするってところの余命映
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.5

僕以外になれたら。

自分の居場所を模索する男、マーティン。彼はやることなすこと鈍臭くて、不器用で、そしてのろまだった。

いつしか彼のことを逆さ読みでNITRAM「ニトラム」と呼ぶように。

それで
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

触れては行けないのに魅力を感じる。

ハンニバル・レクター、彼は聡明で、博識で、知的で、紳士で、それでいて冷酷だ。かれはその気になれば直接手を下さずとも意図した人間の命を屠ることができる。それは類い稀
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.5

絶望としての象徴、ゴジラ

終始ゴジラが絶望と象徴として描かれていたのがとても良かった。たしかに演出的にくどさが若干あるが、それもまたゴジラ映画の系譜だと考えると腑に落ちる。

ゴジラ作品をまともに見
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ボディガード(1992年製作の映画)

3.5

そうそう、こういうのでいいんだよ

個人的にバタくさい恋愛映画は理屈抜きにしてただただ惹かれ合う2人を描いてほしい派なのだけれど、この作品はまさに「こまけぇこたぁいいんだよ」感で突っ切る恋愛映画でもは
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

思い込みと現実の乖離に挟まれる人たち

アメリカン・フィクションをタイトルにするとはかなりなるほどなと思ったし、見てみればストーリーが相当に複雑でテーマ自体も複数あったように思う。

ただ一貫して人々
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ミスト(2007年製作の映画)

4.5

選択とは受け入れることなのかもしれない。

突如現れた霧には見たこともない‘何か’が蠢いていて、それに見つかると一瞬で殺されてしまう。

人々は霧に見つからないようにひっそりと生きているが、人間とは「
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きみに読む物語(2004年製作の映画)

4.5

あなたとの人生、あなたへのラブレター

バタくさい恋愛映画は大抵途中でお腹いっぱいになってしまうのだけれど、この物語はラストが近づくにつれて、ひとつずつ丁寧に紐解かれていく構成がめちゃくちゃに好き。
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

3.5

それぞれの弔いの物語。

ハイツムコリッタには訳ありの人が多い。期日までに家賃を払えない人、滞納する人や、人の家に勝手に転がり込んでくる人。

だけど彼らにはある共通点があった。

邦画の嫌なところに
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マンハッタン(1979年製作の映画)

3.5

モノクロでしか描けない光と影。

結構バタくさい恋愛映画で、「え?」みたいな展開が多いのだけれど、そんな感想はすぐにウディ・アレンの手にかかればひれ伏すことになる。

まずなんと言っても構図が良い。兎
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失われた週末(1945年製作の映画)

4.0

酒に溺れ、自尊心に呑まれた男

過去の栄光に縋り、昔の賞賛が忘れられない男が現実を受け入れられずに酒に逃げる話。太宰治の「人間失格」のように現実を直視できず、過去に縋り、口が上手い男というのはどこかミ
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星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

クセ強4人の巡礼ロードムービー

個性的な面々でサンティアゴを目指し、各々の懺悔や礼拝をもとに巡礼をする。思想が全く違くても、目指す場所は同じ。ただ一緒に歩いているだけ。

キャラクター像がかなりしっ
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幸せのレシピ(2007年製作の映画)

3.0

温かい料理を囲むこと、家族になること。

出生や境遇が全く違う3人がひとつの料理を囲んでだんだんと家族になっていく話。どれだけ美味しい料理でも心を開ける相手じゃないと食べていて楽しくない。

家族にな
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ルーム(2015年製作の映画)

4.5

世界にはあなたがいればそれでいい。

この映画は世界に対するアンチテーゼ。ここでいう世界とはぼくたちの前提たりうる全てのものを指す。その世界そのものの認識が全く異なる母と子の物語。

母親はある日突然
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ニワトリ☆フェニックス(2022年製作の映画)

3.0

たまにはこういうのもいいなっていう映画

あんまり肩肘張らずに、これといった緊張感もなく、ただゆるやかに2人のロードムービーを見続けるかんじ。

火の鳥なんているわけないと思いながらただ2人の時間欲し
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オットーという男(2022年製作の映画)

3.5

コテコテ気難じいさん改心ストーリー

よくある気難しいじいさんが周りとの関わりの中でだんだんと真人間になっていくストーリー。多いのはものすごく衝撃なことが起きてそこから人間が変わったようにガラッと18
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ヘルタースケルター(2012年製作の映画)

3.8

日常に溶け込んだ呪い

美とは、誰もが持っているものなのに、それでも貪欲に追い求める呪いのようなもので、それこそ整形とかいうインスタント美容も現代では蔓延り、二重、小顔、高い鼻、画一化された美容を簡単
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

3.0

マフィアかっこいい〜〜

あーでもやっぱ割に合わねえからやーめた

そんな映画

長回しのシーンが随所にあって、マフィア特有の落ち着きのなさというか目まぐるしいかんじが演出されていてとても好み。

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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

娑婆の空は広いぞ。

三上。彼は自分に嘘がつけず、間違いやおかしいことはすぐにつっかかってしまう瞬間湯沸かし器のような性格。刑務所から出た後、何のつながりもない彼は娑婆での生活に四苦八苦する。

そん
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

大人は過去の積み重ね。ぺらっぺら

ぼくたちは歳を重ねるにつれてだんだんと「大人」になっていくが、一体大人って何なのだろう。

思慮深いこと? 造詣が深いこと?

そのどれもはただの過去の積み重ね。他
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.0

聾者のボクサー。目を澄ませて。

期待がでかかったな〜という印象。

先行き不透明なケイコが不安を抱える描写はとても丁寧で、来たるジム閉鎖の日が少しずつ近付いているのを止めることなど叶わず。

一人で
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

5.0

ママとわたし。夏の終わりの秘密。

めちゃくちゃ上質な映画を見たかんじがする。いやぁ〜〜ほんとうにすごくよかった。

二人の悲しみを抱えた少女の物語なのだけれど、不穏な運命を抱えて日々を生活している感
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

5.0

抑圧から開放のロードムービー

テルマは亭主に辟易としていた。来る日も来る日も家事をさせられてはまともに外食すら叶わぬ日々を送っていた。

そんな彼女の気分転換になればとルイーズはテルマをドライブに誘
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華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

4.5

過去にすがるグレート・ギャツビー

想像していた話と違っていて驚いたけれど、見終わった後にもジワジワ来るめちゃくちゃ面白い映画だった。

過去に生きるギャツビーと、ただただ懇意にしているニック。そして
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.0

時空が収束していく戦争映画。

ノーラン監督が描く作品はどれも時空にスパイスを効かせているものが多い。本作ダンケルクも例に漏れず時空を流石の手腕で操っていた。

目まぐるしく変わる戦況と、次の瞬間には
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.5

寂しさ、あの時の思い出と、もう一度、もういちど。

男二人と犬一匹ロードムービー。

なんてことはない、ただ風呂に入って帰るだけなんだが、この二人の関係性には考察せざるを得ない。

あの頃を懐かしんで
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

5.0

あの時感じていた憧れと反骨。

ぼくたちは思春期に差し掛かるとき、現実という大きな怪物にゲンコツ一発かましたいと思っている。

学校という枠組みとか、家族というしがらみとか、そういう堅苦しい世界から脱
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.5

恋愛に対する理想とシニカル

独身であることが罪である世界において、パートナー探しによく使われるのがお互いの最大公約数の探り合いだ。

ただ独身ホテルにおいて集められた人たちはクセ強な人ばかり。公約数
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メイズ・ランナー:最期の迷宮(2018年製作の映画)

3.5

混沌の中、メイズを駆け抜ける。

ついに頂上決戦。メイズの謎、ウイルスに支配された世界からの脱却、そしてその鍵。

メイズランナー。ついに完結章になるわけだが、かなーり未回収の伏線が多すぎてかなりとっ
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メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮(2015年製作の映画)

3.5

荒廃した世界と唯一の希望。

一作目のメイズランナーとは打って変わって迷路の外の世界の話。荒廃した世界でウイルスから逃げ延びている人たちと感染してしまった人たちの隔絶を描く。

このあたりからメイズラ
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メイズ・ランナー(2013年製作の映画)

4.0

謎が謎のまま。ひとつわかるのは出なくちゃならない。

メイズランナー。ずっと気になってた作品でついに鑑賞。驚くほどテンポが良くてミステリーというよりもSFアクションの方がカテゴライズとしてはしっくりく
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.0

自由でいることと自由を説くことは違う。

アメリカン・ロードムービーの金字塔で、アメリカの中の自由について掘り下げて描かれた作品。チョッパーカスタムされたハーレーが特徴的な本作だけれど、革ジャンやヘル
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.0

家族のすれ違いと再築。

A24ぽさが全面に出てる作品。音楽と色彩の贅沢使いと、カメラワークからシーンカットまで総じてかなりチャレンジングな作品になっている。

それぞれの音楽のMVを繋げたような作品
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

聾者の家族の中の唯一の耳。

自分以外の家族は誰も耳が聞こえず、会話は手話で、「ただいま」も聞いてもらえない。

そんなクソ重設定なのにどこか軽いのはこの家族が愛に溢れているから。お互いがお互いに愛し
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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

3.5

気色悪い異常者たちのお伽話。

最初あらすじを読んだだけではなんの話か全く掴めなかったけれど、実際に見てみればまさに書いてあることそのままでこの書き方以上のものはないな、と逆に感心してしまった。

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アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

2.5

チープな社会風刺ホラー。

遊園地で老人が罵られ、大変な目に遭う。
本当にそれ以上でもそれ以下でもない風刺映像。老人だけ取り残されていく様はある意味20代のぼくから見ると致し方ない(老人による運転事故
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