かなみさんの映画レビュー・感想・評価

かなみ

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十九歳の地図(1979年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

青年期の暗澹とした自意識 自尊心の危うさとおぞましさたるや。

新聞配達として街で生きているとは思えない。偽善者、教養なし、ケチ、あらゆる理由を以て‪✕‬をつける。そんなの生きずらいだけだ、毎日見る羽
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

個人的な郷愁や絶望で終わらない、佐々木という人間がいたという事実。なんだか妙な没入感がある映画だった。形だけの現在への帰結で終わらない連続性こそが、この映画をありふれた青春映画とは一線を画す部分だろう>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

タイトルや音楽の鮮烈さはゴダールの『軽蔑』や『カルメンという名の女』を思わせるインパクトを持っていた。社会派映画と思わせて強烈な寓意を鑑賞者に食らわせてきた。こんなにある意味でわかりやすい映画を作って>>続きを読む

迷宮物語(1987年製作の映画)

3.5

『ラビリンス*ラビリントス』幼少期の自由でおぞましい妄想が現前した。子供の頃に見てたら間違いなくトラウマになってた。アイレベルは常に低く保たれ、子供の主観を意識させる。そしてアニメーションの美しさ 全>>続きを読む

メトロポリス(2001年製作の映画)

3.5

フリッツ・ラングの作品を手塚治虫がオマージュするとこまでは素晴らしいがそこに大友の作家性全面の脚本に転換したらそれはもうごっちゃごちゃの取り留めのないものになるのは当たり前

コロンバス(2017年製作の映画)

3.8

土地を作るのは自然か、建物か、人か、

ジンとケイシーが出会うまでの徹底した定点ショットの嵐からのやや長いパンショット、まず彼らが出会い、互いを知り境界線を無くすところからはじまる。
その土地をどのよ
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少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人の能力は遺伝子と教育によって決まるとは言うが母親の背負わなければならない罪などあるのか。もちろん彼女の教育にはエゴの押し付けや愛情の欠陥とかの問題は見えたけど爆裂に悪いことをしているようにも思えない>>続きを読む

野いちご(1957年製作の映画)

4.1

老齢の絶望と失意の物語かと思いきや、豊かで素朴で普遍的な人間への柔らかい眼差しからなるやるせない人生への賛歌である。
本当に素晴らしい映画は1秒たりとも無駄が無い。既にベルイマン映画の白黒の画面づくり
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水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.5

前向きとも後ろ向きとも言えない絶妙なスタンス 多分停滞でもない 前でも後ろでも、どこかへ向かいたいという意識。
思春期の葛藤のようなニュアンスが、完全に性的な倒錯や肉欲の浅はかさみたいな問題に移行する
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.9

ヴァルダ特有のコメディや大道芸を通した大衆への嘲笑のようなものを感じた。作り物の喜劇性へのまなざしの冷徹さを、ヴァルダは非難しているのだろうか。断定的で単調な世界へのわずかな羨望と、それの造り手への軽>>続きを読む

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞映画への抵抗感というか偏見、単調で分かりやすく派手で陳腐というのを叩き切られた。ベルトルッチの色彩感覚は言わずもがなだが、物質の質感のコントラストとバランスも素晴らしかった。紫禁城を彼以上>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

やっとこさ初パゾリーニ イタリア映画らしくないなという印象 蠱惑的で罪深い 気持ち悪いほどの精神性とでも言うべきなのか キリスト教主題というか神話的 最悪な気分になる映画 これはソドムの市もなんとかし>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.7

クオリティの高い映画 日本人が生活する中で抱える侘しさや虚しさなんてものが描かれる。絵に描いた餅なんて食おうとしなくとも、明日も大切な誰かと食卓を囲んで秋刀魚の味なんかをとやかく言いたいだけなんだけど>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

3.8

人間の弱さは脆弱で無力なことでは無い。労働が映し出す実力主義物質主義は人間を推し量るに足らないものであると両断する。うつ病を抱え休職し、仕事に必要ないと解雇に追い込まれるサンドラが労働(月曜日)に向か>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

3.3

今泉脚本は今泉が撮らないと意味が無いというか、、細やかな情緒やニュアンスがセックスに掻き消されてる感じがすごく勿体ない。

街の上で(2019年製作の映画)

3.7

ずっと肩身が狭い映画 人と人の間にある距離感の形は、綺麗に完成されたものではなく、ぎこちなく歪で不格好
あらすじで雰囲気映画と思いきや、という映画。今泉節が凄い 人間ってやっぱり毎回上手く付き合うの難
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眠る男(1996年製作の映画)

4.0

ひとつの村を描写するということにおいてこの映画ほど静かで細々としたものは無いと思った。雪が降る日の冷たくて痛い空気に似ている。温かさも哀愁もある。全編を通してショットの美しさが素晴らしい。
怒りや憎し
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

凄まじい息苦しさと顔圧の応酬 ベルイマンが、人間の顔の中の動きを映画にすることは芸術に見られる最もすばらしいものをもたらした、と語っていたことを思い出した。まさしく、ジャンヌ・ダルクという人間の全てが>>続きを読む

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

子供が愛されない理由に怯えて未来が見えないだなんてあんまりだと思った。

雨月物語(1953年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

父権社会の地獄を、重たい霧のように、細やかな香の煙のように圧倒的な描写力で見せつける。
欲望に駆られた享楽的で移動的な男と、不安と不幸に身を削がれ身動きが取れない女。物質的な豊かさが画面を華やかにして
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.6

どこまでもどうしようもないトラビスの、浅ましい蛮行の末のあのラストの笑顔に心がえぐられた。なるようにしかならないのか。

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