熱量の高い令和の任侠もの
『ケンとカズ』(2016)以来、8年ぶりとなる小路紘史監督作。『ケンとカズ』で描かれた裏社会を生きる男たちが熱量アツアツで帰ってきた。
暴力団の取り締まりが厳しくなり、存>>続きを読む
【あらすじ】
戦後復興が進む1950年の広島。瀬戸内海の島で教師をしている孝子は原爆から生き残ったかつての教え子を訪問するため、広島に向かう。盲目の乞食と出会い、彼が自分の親の会社で働いていた岩吉だ>>続きを読む
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石川敬×妻夫木聡
『愚行録』(2017)でタッグを組んだ監督:石川慶、主演:妻夫木聡で望むミステリー作品。結婚した男が、実は身元不詳の人物だったことがわかり、彼が一体何者なのかを調査していく。
立>>続きを読む
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クライムサスペンスかと思いきや、リアルな警察のお仕事ムービー。殺人事件の捜査を担当するのが警察なのか、憲兵隊なのかという地方ならではの緩みから始まり、コピー機が詰まる、同僚の独り言がうるさいなど、細か>>続きを読む
前作『豚とふたりのコインランドリー』は、コインランドリーとその前の道という限られたシチュエーションで、2人の男女の時間が交差していく様子を描いていた。全体的に落ち着いたトーンでまとまっていて、特徴的>>続きを読む
推しの男性アイドルが性加害で逮捕された。かつて、推しに認知され、ファンの間でも有名だった"成功したオタク"セヨンは、推しの逮捕をきっかけにセルフドキュメンタリーの撮影を始める。
推しが犯罪者になる。>>続きを読む
技ありの一本。風がいたずらし、光が踊る。美しい構図で収められた誰もいない部屋が、自分の知らない空間の一面を見せる。
落ちそうな皿については作為が働いていてしっくりこないが、それ以外に自然と起きる出来>>続きを読む
日本で技術を学び、母国に還元する技能実習制度。現実には低賃金・長時間労働に加え、賃金未払い、劣悪な労働環境など問題は山積している。その結果、職場から逃げ出し、不法滞在者になってしまう流れが生まれてしま>>続きを読む
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お盆に友人がやって来て、生きている自分に何かを残していく。”黄泉がえりもの”の鉄則に則って、うだうだと生きているナリヤスにシュウタが”闘魂”を入れにやって来る。
設定上、シュウタはナリヤスとの記憶を>>続きを読む
約8分のショートアニメーション。多幸感や、孤独をビジュアルで再現することに成功している。派手な色使いと、どんどん変形するビジュアルに圧倒されるが、物語もきちんと追えるような良いバランスになっている。>>続きを読む
個人の体験をアニメーションを用いて描いたショートエッセイムービー。
人それぞれ、大なり小なりトラウマ的体験から、苦手になってしまったことはあると思う。本作の場合、幼少期に見た映画がトラウマになって、>>続きを読む
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かなり救いの無いラストに現実の厳しさを思い知らされる。統合失調症なのか、病名はわからないが、田中は幻覚が見える。どこまでが現実なのかは別として、田中にとって話し相手になるイマジナリーフレンドは全員、”>>続きを読む
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ドストレートかつ、シンプルな高校生あるあるを詰め込んだ物語。リョウはなにかやりたいけど、その何かはわからない。わからないから進路も決まらない。一方、ヒロは現実的な視点で潰しが効くような進路を選択する。>>続きを読む
2020年のPFFアワード準グランプリの『屋根裏の巳已己』の寺西涼監督の新作。お盆を舞台にした”黄泉がえりもの”で、『シックス・センス』(1999)のような展開になっている。
山形の一地域にある風習>>続きを読む
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なぜこの2人は一緒にいるのか。幸せだった頃の2人は描かれず、空虚な時間を過ごす2人だけが映し出される。彩乃は和真を心配するが、和真がその気持ちに応えることはない。彩乃の気持ちをひたすらに消費させる和真>>続きを読む
ミニチュアとCGを組み合わせたような独特な映像。幾何学的なパターンが印象的な未来都市とアンビエントサウンドに癒される。
あの世界を見て、女性の瞳に映る世界はどう変わるのだろうか。女性を乗せた車は星空>>続きを読む
精巧なアンドロイドの実験を描いたSFショートムービー。新型アンドロイド「リーチャー」の実験を描いているが、リーチャーだけでなく、実験に関わる研究員たちも皆、どこか不自然な動きをしているように感じる。>>続きを読む
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親しい誰かの死を受け入れることはどれだけ耐え難いことなのか。まだ小学生の少女にとって、母の死を受け入れることは簡単なことではない。父だけでなく、優しい姉からも、やんわりと母の死を受け入れるよう諭される>>続きを読む
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現実と虚構が入り混じる作品は多いが、現実と朝ドラが入り混じる作品は初めて見た。自分はほとんど朝ドラを見たことがないが、その雰囲気は何故かわかる。天真爛漫な主人公。持ち前の明るさで周囲を巻き込んでいく。>>続きを読む
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記憶は、個人を形作る要素であり、その人の一部だと言える。昨日食べたハンバーグが美味しかったとか、会社でミスをしたことで気が滅入って長風呂したとか、そんなくだらない記憶の積み重ねで自分は出来ている。>>続きを読む
母国を出て、他の国で暮らすというのはどういう感覚なのだろうか。地方から都会に引っ越すのとはまた違った異文化体験が李と高を待っていたのだろう。李は日本に溶け込み、高は馴染めずにいる。しかし、喧嘩別れして>>続きを読む
ペットの蚊を殺して拳を封印したうえ、ロボトミー手術まで受けているトンデモ設定てんこ盛りの主人公・真田が魅力的。『刃牙』や『北斗の拳』など、男のバトル漫画に通底する「殴り合いの喧嘩=男の土俵」という価値>>続きを読む
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感情を測ることが出来る世界。悲しみが無くなると、喜怒楽だけが残り、暴力的になる?ようだ。夫は妻のミヤが悲しみを失ったことを酷く嘆く。しかし、異常な人間になってしまったと思い込んで嘆いているのか、大切な>>続きを読む
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人生の分岐点はいくつもある。学生時代は特に重要視され、何かに打ち込むこと(目標を持つこと)が推奨される。本作に登場する仲良し4人組は皆、母子家庭で貧しい。家庭環境が彼らをそうさせるのか、毎日駄弁ってな>>続きを読む
可愛くなるために吐く柚咲と醜い自分を認められずに吐く静葉。一見、大差ないように見えるその理由にははっきりと違いがあるようだ。
柚咲は周囲から可愛いと言われたうえで、確立した自己がある状態をショッキン>>続きを読む
監督は作品世界を編集する絶対的な権力者として、良いものを作りあげる責任を負っている。この作品では、そんな監督の責任を実際にリテイクを繰り返す物語を通して描いている。
本作は『時をかける少女』(198>>続きを読む
挑戦的な作品。if(もしも)ものを作る場合、物語上の嘘(文学装置)は1つが限界だと私は考えている。それがタイムマシンであれ、異星人であれ、現実世界に存在しないものが1つ以上出てくると、娯楽映画として捉>>続きを読む
とにかく、もどかしい。タイトルにもなっている”完璧な若い女性”とは誰なのかを探すストーリーだったはずが、江莉夏が放った一言で、目の前にある2人の関係性が最重要事項になってくる。
長らく会っていない初>>続きを読む
イギリスの作家レイモンド・ブリッグズによる漫画のアニメ化作品。田舎に暮らす老夫婦を襲う放射能の恐怖を描いている。主題歌『When the wind blows』はデヴィッド・ボウイが作詞・作曲をつとめ>>続きを読む
小さな変化を楽しもう
英国映画協会(BFI)が発行する映画誌「Sight and Sound」が選ぶ、「最も偉大な映画100」で1位に選出された作品。平凡で変わり映えのしない毎日を送り続ける主婦・ジ>>続きを読む
『タクシードライバー』(1976)、『魂のゆくえ』(2017)で知られる脚本家、ポール・シュレイダーがマーティン・スコセッシとタッグを組み、製作されたギャンブル・ドラマ。”贖罪”をテーマにギャンブラー>>続きを読む
日本とインドの国交樹立50年を記念して配給された本作は、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得している。これはインド映画の巨匠サタジット・レイが『大河のうた』で受賞して以来の快挙であった。
本作の魅力>>続きを読む
"海底もの"の登場
メキシコでのバカンスが最悪の休日に!ケージ、酸素、そしてサメ。逃げ場のない海底47mから生き残れるのか!?衝撃のラストも見逃せない!
俺たちのサミュエルが!!
本格的なCGを使ったサメ映画の元祖。アニマトロニクスを使ったアクションシーンと超速で動き回るサメはCGが発達した今でも見劣りしない。『JAWS』へのオマージュたっぷりでサメ>>続きを読む
生き方を選べない人生
イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチが描く、中国最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の物語。2歳で皇帝となり、戦犯として捕らえられた彼の数奇な人生に心が動かされる。アカデミー賞9部門受賞>>続きを読む
第三次世界大戦後の余命僅かな人類を描く
1957年に出版された同名小説を映画化。第三次世界大戦後の世界に残った僅かな希望を切り取って描いている。束の間の希望のあとに残るのは、なんとも言えない虚しいラ>>続きを読む