ksさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

生活のため化石採集をするメアリーと裕福な収集家の妻であるシャーロット。
互いに唯一の価値を見出し繋がりを深める過程の繊細さといったら(ため息)曇天と蝋燭の薄明かりのもと、徐々に愛の姿が形づくられるも、
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世界で一番しあわせな食堂(2019年製作の映画)

3.7

自然の中にあるシルカの食堂。
静かな人たちの集う場所と思いきやおじさんたちはお喋りだし、さらに団体観光客が来たりと意外に賑やか。
チェンの料理はどれも美味しそう(白身魚の薬膳スープ!)
人と人の距離が
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遠く離れた二人(2015年製作の映画)

3.5

別れた相手とある日偶然すれ違ったなら。
1組の男女の内心が交互に綴られる。
最後に語られる愛は、二者間のというよりそれぞれが抱いた「愛」は決して消えないと確認しあったものかも。

独裁者とクリスマスプレゼント(2018年製作の映画)

3.8

あらすじ読まずに見始めたら「ティミショアラ」と出てきてルーマニアの話だと気づく。
1989年12月16日、ルーマニア革命始まりの日。その数日後、息子がサンタクロースに出した手紙に独裁者の死を望むと書い
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ロックバスターの男/倉庫で休暇を楽しみましょう(2015年製作の映画)

3.8

タイトルで出オチしてるけど、分かってて楽しむのが結構好きです。
こんなところでアクション映画の知識が役に立つとは(ただし成功するとは言ってない)と、閉じ込められた部屋からの脱出を図る主人公。
スプリン
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

農場を営む叔父と彼の姪。
農場から少し先に見える発電用風車が、寄り添ってきた二人の様子に重なる。風車は風がなければ回らない。
変わらない日々はただの単調ではなく、変化の幅が最小だから乗り越えて行ける。
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アリス(1988年製作の映画)

3.9

アリスの部屋のガラスケースに収められた白ウサギは、手足を地にとめるピンを前歯で折りケースを破って荒野へと走り出した。
その様子を陰から見ていたアリスは、ウサギの後を追いウサギが消えた書き物机の引き出し
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

3.8

前科者は聖職者にはなれない決まりだが、少年院を出たダニエルは受け入れ先となる小さな村で、村人に祭服を見せ神父だと名乗ったことから偽りの聖職者の座に収まる。
誰も自分の事にひたすら盲目で、それ故他人を追
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スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1910年頃から現在まで、女優の代わりにアクションをしてきたスタントウーマンたち。
スタントと一口にいっても現場で要求されるものは様々。それらに対応するための個々人の工夫や苦労話、業界の歴史についても
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頑固者(2018年製作の映画)

3.9

母親である恋人のもとから子供を連れ去る男。
やっと折り返しかかってきた電話で恋人と話す間、感情の上がり下がりが激しすぎてヒヤヒヤする。
男は「こうするしかなかった。子供は自分と一緒にいる。」と繰り返す
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声優夫婦の甘くない生活(2019年製作の映画)

3.5

ソ連からイスラエルに移住したヴィクトルとラヤ。新天地で仕事を探すがソ連と同レベルの仕事はなく、それぞれ険しい道を探る間に夫婦仲もすれ違い始めてしまう。テレフォン嬢の職を得たラヤの切り替えがすごい。回を>>続きを読む

夜の来訪者(2015年製作の映画)

3.8

デヴィッド・シューリスの暗く鋭い眼光が同席の者ひとりひとりを貫き、明かされてゆく事実の重みが部屋を支配する会話劇だったな。

舞台は1912年英国ですが、現代日本の貧困事情と重なる部分も多い。というか
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Away(2019年製作の映画)

3.7

鏡のような湖面を横切るゾウの場面に胸を掴まれて絶対劇場で見る!と決めてた。
巨人に捕まらないようマップを頼りにバイクで大地を駆け抜ける。不思議な場所と動物(猫たくさん!)と出会いながら、主人公が一人の
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

メタルドラマーのルーベンは、ある日突然の聴力低下に襲われる。
医師から聴力は完全に元に戻ることはないと告げられ、動揺がおさまらないルーベンをバンドメイトかつ恋人のルーはある施設へ連れてゆく。そこはろう
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北極のナヌー(2007年製作の映画)

3.6

地球温暖化の影響で氷ができるサイクルが変わり、氷そのものが出来にくくなっている。
氷がある環境に最大限適応してきた生物たちは、氷ができないことで生活の場をじりじり奪われ続けている。
シロクマに限らず、
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

貴族の娘エロイーズと彼女の肖像画を依頼された画家マリアンヌ。
モデルと画家、向かい合う間にともる小さな炎。身を焦がす恋は、その人の表のみならず内に存在する精神を捉えようとする真剣な眼差しから生まれてい
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.8

物語って、起承転結の中だけにあるものじゃないよなあとハッとさせられる。
信仰をなくした聖職者、エネルギーから永遠を考える二人の若者、雨の中をゆく父と娘など。
吹雪のなか、捕虜収容所へと向かう人のながい
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ファスビンダーのケレル(1982年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ストーリー自体は全然難解ではない……けど、こう、主人公の渇望の強さが全部さらっていくので、画面の中で起こることについて面白いか面白くないかは全然考えられない。(ジュネは泥棒日記しか読んだことがないんで>>続きを読む

ラッキー(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

90歳の独居口悪じいさんラッキー。ある朝起こった身体の不調により、自らの「死」を意識する。

ひとりだけやたら饒舌なデヴィッド・リンチ(リクガメのルーズベルトと暮らしていた男ハワード)の喋り方がとても
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フランクおじさん(2020年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

家族から変わり者扱いされている14歳のベス。唯一の理解者はニューヨークに住んでいる大学教授でおじのフランクだった。
フランクは父である祖父から疎まれており、よほどのことがない限り地元には帰ってこない。
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エイブのキッチンストーリー(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

Filmarks試写会にて鑑賞。

絶対にお腹がすきそうだと思ったので、きちんと一食すませてから臨んだにもかかわらず、次々美味しそうな料理が出てくる!SNSに上がる!キッチンで完成!……と目と胃の両方
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競争(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

全従業員をリストラし会社も倒産させた元経営者と、その会社の元従業員。組織がバラバラになって5年の間に、自分の身に何が起きたかまずはそれぞれの言葉で語られる。

5年前の会社倒産から再度企業を試みるもう
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

アクションに滾るー!大満足!
重力コントロールの見せ場が爆発するバトルはキレのあるスピードとの二重奏で迫力満点。住処の森を追われ居場所を探すシャオヘイと深く傷ついて人間を恨むフーシーのやりとりには心が
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ネクタイを締めた百姓一揆(2017年製作の映画)

3.5

花巻に新幹線が停車する駅を作るため、14年もの間活動した人たちの歴史を追う実話ベースの物語。
生活できず人が出ていくだけの土地に未来はない。自分より後の世代の発展のためにと口にする人たちの花巻への熱い
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

1600年代アイルランドのキルケニーでは、人間の農地を確保するため城壁外の森林を切り広げようとしていた。
父とイングランドから越してきたロビンは、森で狼とウルフウォーカーのメイヴと出会う。
メイヴとロ
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ビックシティ(2016年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

優しい話を期待して見始めた約10分後、非常に苦い思いを味わうことに。

乗客に騙されたタクシー運転手は、走り去る相手の背中を見ながらか細く震える声しか上げられない。そこに溢れる血の気が引くような不安と
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リッチーとの一日(2012年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

人生はどん底、バスタブ中で自傷行為真っ最中のリッチーに妹から電話が入る。
中年男を少女が救う物語かと警戒したが、狙いは別のところにありまとめ方が見事だった。

姪であるソフィアに「君の母親は自分のこと
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ディーン、君がいた瞬間(2015年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・パティンソン演じるデニスと、デイン・デハーン演じるジェームズの気質の違い。
(二人とも職業人ではなく芸術家で、異質のぶつかり合いが静かに描かれるのが良かった。)
写真家、俳優という役割をなぜ
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最後の望み(2014年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

精神病院に入れられている父に面会しにきたジェイコブ。つい先日亡くなった母との約束を果たすための訪問だったが……。

物語が始まってすぐ、ジェイコブはひどい緊張を強いられているのが分かる。
自ら車を運転
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11月1日(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

息子を殺した殺人犯の死刑執行の日。3度の死刑判決を見届け、28年間苦しみを抱えてきた母、そしてその娘。

奪われたものは二度と戻らない。命も、時間も、白く覆われた美しい冬も、なにもかも。

娘には、母
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フレンチ・ラン(2015年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

己の信念を貫くため命令違反しがちなCIA捜査官と天才的スリ犯が事件解決までコンビを組まざるをえなくなる話。

捜査官ブライアー(イドリス・エルバ)は登場シーンからきまってた。ガラスに映るぼやけた人のシ
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パープルボーイ/ Purpleboy(2019年製作の映画)

3.8

成長したある日、身体と心の性別が一致しないことに気付いた子、オスカーについて描かれている。

父親のようになりたくて、小さな飛行機であとを追いかけるオスカー。しかし飛行機は片翼を失いきりもみしながら落
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ミスター メア/ Mr. Mare(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

性的・暴力表現を含む作品はキャプションに明記されてるのがありがたい。

若くて魅力的な青年に一方的好意を寄せる男の話。青年の体内それも肋(!)から出現する男……これは一種の生き霊と理解しました。
ユー
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