SANKOUさんの映画レビュー・感想・評価

SANKOU

SANKOU

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール監督作品にはいつも無機質な怖さを感じさせられる。
恐怖の対象となるものの意志がまったく読み取れないのだ。
起こっている出来事はとても明快なのだが、それが何を意味するのか分からない。
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

スーパーで働くアンサと建設現場で働くアル中のホラッパ。
決して豊かとはいえない生活を送っている二人は、ある夜カラオケバーで知り合いお互いに惹かれるものを感じる。
しかし二人は視線を交わすだけだ。
その
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オーシャンズ13(2007年製作の映画)

2.7

ホテル王のバンクと組み、ホテルの共同経営に乗り出したルーベンだったが、あっさりとバンクに裏切られ経営権を破棄させられ、そのショックから心筋梗塞になり倒れてしまう。
ダニーはルーベンの敵討ちのためにメン
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オーシャンズ12(2004年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

前作で見事にベネディクトを出し抜いたダニーたちだったが、今回は早々から執念深いベネディクトによって追い詰められてしまう。
強奪した金と利子を2週間以内に返せと迫られた彼らは、再び結集し仕事を求めてアム
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

アイスランドの山間部の牧場。
暗闇の中、羊舎を覗くような何者かの視線。鳴きながら逃げ惑う羊たち、そして徐に倒れ込む一頭の羊。
何となく不穏な空気の漂う幕開けだ。
しかし夜が明けるとそこには長閑な日常が
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春夏秋冬そして春(2003年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

深い山間の湖にひっそりと浮かぶ小さなお寺。そこには年取った和尚と幼い子供が住んでいた。
子供は薬草と毒草の区別もつかないほど未熟だ。
子供は面白半分に魚や蛙や蛇に石をくくりつけ、もがく様を見てケタケタ
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Love Letter(1995年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

死んだはずの恋人から手紙の返事が届くというロマンチックでミステリアスな物語。一通の手紙が過去と現在を繋げていく。
岩井監督らしい色々とトリックの隠された作品で、人物描写と風景描写が素敵だった。
婚約者
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別離(2011年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

全編通して感情を揺さぶられっぱなしで、人間とはどうしてこうも分かり合えない生き物なのかと呆れ返ってしまうような問題作だった。
おそらく誰もがこの映画に登場する人物すべてに、部分的にでもあれ嫌悪感を抱い
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

予備校に通う女子高生の香住は、新しい時代に向けた教育を説く青年実業家の宮本に憧れを抱いている。しかし彼女が引用する、これからの世の中は本質的に新しく変わっていくという宮本の言葉には具体性が全くない。言>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

縁とは不思議なもので、嘘のような偶然が人を結びつけることがある。多くの人が経験する恋愛という不思議な人と人との巡り合わせ。これは麦と絹の二人の物語だが、同時に恋愛を経験したすべての人の物語でもあると思>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

歴史を振り返ると、これはもう天に導かれたとしか考えられないような数奇な運命を辿った人物がいかに多いことか。
ナポレオン・ボナパルトもそんな運命に翻弄された人物の一人だ。
「愚策とは、戦いにおいて最も臆
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

バズ・ラーマン監督はやはりショービジネスの世界を描かせると天下一品だ。
エルヴィスが初めて観客を独特のパフォーマンスで魅了し、一気にスターダムを駆け上がっていくまでの展開はスピーディーで息をつく暇も取
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ザ・ロック(1996年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

子供の頃に観た時は相当ドキドキさせられて面白かった印象があるが、改めて観るとアクションも少し雑で、展開にも粗があると感じてしまった。
舞台はイーストウッド主演の『アルカトラズからの脱出』でも描かれた決
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

『怒りのデスロード』はほぼワンシチュエーションものだったが、臨場感が凄まじく観る者を惹きつける求心力が半端なかった。
そして今回の作品もとにかく映像の力が強い。
第一章では少女のフュリオサがデュメンタ
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E.T.(1982年製作の映画)

5.0

『未知との遭遇』で友好的な異星人と人類のコンタクトを描いたスピルバーグ監督が、今度は異星人との心温まる交流を描いた。
冒頭は宇宙船から取り残された異星人が友好的かどうか分からないホラーチックな描写はあ
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未知との遭遇(1977年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

『E.T.』では友好的な宇宙人と子供たちとの心暖まる交流を描き、『宇宙戦争』では一般人からの視点で侵略する火星人の恐怖を描いたスピルバーグ監督。
その原点ともいえるのがこの『未知との遭遇』だろう。
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快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)

3.1

タイトルの何だか意味不明だけどそそられる響きに引かれた。断片的なイメージの連続。血のイメージ、直接的に出血するシーンは少ないけれどそれを連想させる、赤い絵の具、ワイン、割れた瓶、ハサミ、鋤や鍬、ガラス>>続きを読む

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

観客をストーリーの世界に自然と引き込むようなシナリオの強さを感じさせる作品だった。
看護師の面接に落ち、駐車違反の切符を切られ、ついでに爪まで折れ、仕舞いには追突事故でムチ打ちに。
これ以上ないほどの
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アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

同じくボスニア紛争を描いた『ノーマンズランド』を思い出した。あの作品はボスニアとセルビアの中間地帯に取り残された兵士の姿を描いていたが、彼らは敵同士でありながら共通の知り合いがいたりと、どこかで繋がる>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹と共に江戸の貧乏長屋で細々と暮らしている浪人・柳田格之進。
碁に関してはかなり腕があるらしく、吉原で女郎屋を営むお庚に手ほどきをする場面が描かれる。
ある日、彼は賭け碁の
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たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

この映画の舞台である海坂藩は、この作品の作者藤沢周平が創造した架空の藩である。場所は庄内地方にあたるため、この藩は幕末の戊辰戦争では佐幕派、いわゆる賊軍として倒幕派に破れる運命にある。
それを念頭に置
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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ホロコーストから逃れるためであろう、一人の少年が両親から離されておばさんと一緒に暮らしている。
事情を深く知らない彼は何とかして家に帰ろうとするが、冒頭でイタチのような小動物を抱いて逃げ出すところを取
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人間の境界(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

2021年10月、様々な理由で中東から逃れ、ベラルーシを経由してポーランド国境を渡ろうとする難民たちの姿が映し出される。
シリア人の家族はそこからスウェーデンに亡命しようとしていた。
国境の森で彼らを
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

1980年、キューバから反カストロ主義者として追放され、アメリカのフロリダ州の収容所に送られた犯罪者のトニー。
彼は同じ施設に送られたマニーと共に、麻薬王フランクの依頼で元キューバの政治犯殺害を実行し
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

人喰いザメを退治する、そんな一言で説明のつくとてもシンプルな作品だ。しかしシンプルな作品ほど観客を熱中させるには余程の工夫がないと難しい。
この映画はシナリオも演出も音楽も、何もかもが神がかっている。
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激突!(1971年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

正体不明のトラックに追いかけられる、ただその一点のみでここまで面白い映画を作れるとは、やはりスピルバーグの才能は計り知れない。
シンプルな構成ながら、登場人物の心理状態を見事に表現したカメラワークに、
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レイジング・ブル(1980年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・デ・ニーロが役作りのために27kgの増減をしたというエピソードは有名だが、そこまで役に入れ込む姿はもはや狂気に近いとも思う。
だからなのか、そのデ・ニーロ自身から滲み出る狂気のようなものが画
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

舞台は2054年のワシントンD.C.。
映画館でこの映画を観たのは2002年だったので、あれからもう20年以上も経っているのかと驚かされた。
当時は犯罪を予知して未然に防ぐという世界観に真新しさを覚え
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神々の深き欲望(1968年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

日本の創世記を思わせる壮大なスケールの物語で、閉鎖的な島での人々の信仰心と押し寄せる近代化の波への対立と共存、人々の醜い欲望や神への恐れと冒涜を描いた衝撃的な内容の作品だった。
今村昌平らしい人間の飾
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赤い殺意(1964年製作の映画)

3.8

今村昌平監督らしい人間を社会的で理性ある存在としてではなく、もっと醜い本性をさらけ出した動物的な存在として描いたエグい作品だった。時代もあると思うが、男は権力を持っていて、女に比べると腕力にも自信があ>>続きを読む

魚影の群れ(1983年製作の映画)

5.0

まず命懸けである大間のマグロ漁をここまでリアルに壮絶に描いたことに驚愕した。房次郎を演じる緒形拳の姿はまさに歴戦の漁師の姿そのもので、実際にマグロを仕留める長回しのシーンは本人が漁師に仕込まれて行った>>続きを読む

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)

5.0

これぞ周防監督の真骨頂とも言うべき日本のコメディ映画の傑作。
日本人なら誰でも知っている相撲。でもそれを大学から始める人間はどれほどいるのだろうか。
外国人留学生スマイリーにお尻を人の前でさらす不潔な
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

まずは兵士たちの行動を追体験しているかのような臨場感のある映像に驚かされる。
兵士めがけて発射された銃弾や爆撃のリアルさ。
もちろん銃弾は目には見えないが、金属などにぶつかる破裂音や船倉に空いた穴の描
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インターステラー(2014年製作の映画)

5.0

毎度想像を越えた手法で新しい映像体験をさせてくれるクリストファー・ノーランの才能に感服。作物も育たなくなり滅亡の危機を迎えた地球。人類が生き残るための選択肢は移住可能な星を見つけることだが。冒頭の穀物>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

レーサー以外はおそらく体験できない時速300キロを越える世界。その極限の中で命の危険がありながらも駆け引きをしながらレースに臨む彼らの姿に心打たれた。
フェラーリ社に勝つべく集められた、元レーサーだが
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

正直GUCCIというブランドのことはほとんど知らなかったので、世界的な成功の裏でこんなドロドロした愛憎劇があったことに驚かされた。
創業者の次男ロドリフォの息子マウリツィオは弁護士を志す学生だったが、
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