kamakurahさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

さかなクンという不世出の天才の自叙伝を、個性屹立ののん(能年玲奈)を起用して映画化した注目作を、遅まきながら配信でようやく鑑賞。現況で考え得る最良、最適の配役で、誰か男優を起用しての映画化では、かくも>>続きを読む

オットーという男(2022年製作の映画)

4.0

スウェーデン発の人気作リメイク。トム・ハンクス主演で、細部明瞭に刈り込まれてハートウォーミング度が増しての仕上がりである。
主人公の気難しさは、ビッグネームの起用で減じている印象だが、リメイクのおかげ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

スピルバーグの自伝的作品と聞いて公開を心待ちにしていた作品。地味で、いささかありきたり感のある仕上がりながら、期待を裏切らず、予定調和と言ってしまえばそれまでだが、150分の長尺を全く停滞感なく安心し>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.5

映画『西部戦線異状なし』リメイク近作に異議あり!

昨年公開され、Netflixでも早々に配信された『西部戦線異状なし』が高評価である。しかし、本作には、レマルクの原作がそもそも有していて、第3回アカ
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幻滅(2021年製作の映画)

3.5

フランス文学の大古典、バルザックの同名小説をフランス映画界の実力者俳優を揃えて映画化した本格的文芸作品。仕上がり重厚で見応え十分である。
19世紀フランスの社交界、マスコミ界を舞台にしながらも、描かれ
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土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

3.5

主演の沢田研二が次々賞レースで栄誉を得ているのを祝して劇場鑑賞。水上勉の晩年のエッセイを監督中江裕司が脚本にして、料理指導を土井善晴に乞い願い出て実現した佳品。成城に住まわれた水上勉の山荘は当初軽井沢>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

多くには薦めないが観るなら映画館で観るべき作品。何より舞台となった絶景の最果ての地と称されるアイルランド、アラン諸島の架空の島の全編で描写され、背景となる風景に圧倒される。そのあまりの広辺深淵さと、ド>>続きを読む

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

4.0

バート・バカラックを偲び、50年以上ぶりのマイ・コレクション録画から引っ張り出しての鑑賞。どこかの時点でテレビ放映を観ているかもしれないが初見は中学一年生、2年生になってたかな。当時、主人公2人の名前>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

3.0

第44回ヨコハマ映画祭作品賞。かねてから熱烈なファンに支持される◎との噂は耳にしていたが、まさかヨコハマ映画祭で出会うとは。映画ファンが選ぶというコンセプトで長年運営されている同映画祭らしいチョイスで>>続きを読む

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

3.0

東映70周年記念作品とのことで、制作費にもプロモーション費にも贅を尽くしている印象である。今年の大河ドラマを担当する古沢良太が脚本として名を連ね、木村拓哉、綾瀬はるか共演、『るろうに剣心』シリーズの大>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

本年度米アカデミー賞最多ノミネート。2時間超のやや長尺ジェットコースター乗車気分で、作品世界に入り込むより、なんで最多なんだろうとずっと考えていた。文字にはできない映画らしい映画であることは確か。この>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.5

今泉力哉監督、城定秀夫とのコラボ作品を日本映画専門チャンネルを録画しての鑑賞。地味ながら、若い世代の感覚をよく映して深刻になっていい主題を笑いを交え、手堅い演出で興味深く観せる小品。主演の4人が等身大>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

3.5

昨年末話題になったTV番組『エルピス』は、報道の闇に踏み込んだスタンスが評価されたが、結局はさらに大きく深い暗部である政治の世界についての言及は、主人公長澤まさみ扮するニュースキャスターの妥協で実現し>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:B(2022年製作の映画)

2.5

SIDEAに続き、SIDEBを配信鑑賞。
観終わっての第一印象は、誠に残念な思い、これに尽きる。河瀨直美は監督として、このたびの東京オリンピックに関与したことで渦中の人となってしまった現況を脱する大き
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東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

3.5

毀誉褒貶かまびすしい河瀨直美監督のドキュメンタリー。公開時にはとても鑑賞できるような気分ではなかったが、いくらか心が整い始めたので配信鑑賞。
先ごろ閉幕したワールドカップサッカーカタール大会の熱量でも
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.5

江ノ電鎌倉高校前駅を最寄り駅のひとつとする街に住み、連載時は生徒たちと毎週月曜日に興奮を共有し、陵南のモデルとなった鎌倉高校で定年退職を迎え、インバウンドの聖地となったスラムダンク踏切問題の当事者のひ>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.5

第35回東京国際映画祭クロージング作品。カズオ・イシグロが黒澤明の名作を敬意を払って主演ビル・ナイ当てがきでリライト。オリジナルに忠実で、黒澤明ファンをガッカリさせることなく上質なリメイクを実現させて>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

第35回東京国際映画祭コンベンション部門観客賞。今泉力哉脚本・監督、稲垣吾郎主演のほか、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来と粒揃いよく、観ている間ずっと心地よかった。今をよく映した会話が秀逸。登>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.5

昨年の第78回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で話題になったクリステン・スチュワートがダイアナ妃に扮した『スペンサー』を映画館鑑賞。冒頭、事実に基づいた寓話とクレジットされて、本作がどんな>>続きを読む

嘘八百 なにわ夢の陣(2023年製作の映画)

3.5

中井貴一、佐々木蔵之介コンビによるシリーズ第3作。幅広いファンに支えられた東映のドル箱作品ながら、個人的には、今まだ人情喜劇か、という旧態依然感が拭えない。安田章大,中村ゆりの新興宗教まがいの詐欺団体>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

3.5

話題沸騰のマリリン・モンロー伝記映画。原作ありゆえ、フィクションとして受け止めた。3時間弱の長尺にして、スピード感皆無。さまざまな風聞,スキャンダルにまみれた伝説的存在の内奥、葛藤が主題となれば、こう>>続きを読む

パリの恋人(1957年製作の映画)

3.5

スターチャンネルのヘプバーン特集で約50年ぶりのBS鑑賞。
初見の時は『雨に唄えば』の監督なんだな、くらいにしか受け止めてなかったような気がするけど、今回の驚きは、ここに『マイ・フェア・レディ』の原形
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.5

懐かしのコンビ復活再来に、原作未読、事前情報に極力耳ふさぐよう努めて初日劇場鑑賞。お決まりの謎解きアクションを排した人情群像劇の仕立てで、湯川学というより加賀恭一郎、という印象の仕上がり。展開に錯綜感>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.5

圧倒されるばかりのカメラアングルとSFX、驚きの連続で,あっという間の2時間強、息つく暇もない。ライアン・ゴズリングと、『ブロンド』のマリリン・モンローが待ち遠しいアナ・デ・アルマスへの興味で観始めた>>続きを読む

ダンシング・クィーン(2012年製作の映画)

3.5

古い作品だが、10年前から、すでにすっかり韓国に水を空けられていたんだなと痛感させられる軽快なB級コメディ。政治に関与することになる人権派弁護士と、子どもの頃からの夢を諦めきれない糟糠の妻との、能天気>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.5

「シン・ゴジラ」の確信犯的(笑)二番煎じ。政府の絡め方も、カメラアングルも、庵野秀明脚本,総監修のせいなのだろうけれど、「シン・ゴジラ」の雰囲気そのもので、何をしたかったのか、ついに理解できなかった。>>続きを読む

人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.5

蜷川実花監督の世界観を堪能する作品。個人的な太宰治観と必ずしも一致するわけではないが、提示された総体は、実花ワールドとして尊重するし、そういう理解なのかと興味深く受け止めることができた。
太宰治をいま
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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡(2019年製作の映画)

4.0

ヴェルナー・ヘルツォーク監督による紀行作家ブルース・チャトウィンのドキュメンタリー。閉館となる岩波ホール、最後の作品としてチョイスされた理由納得の巨匠名人芸と評されるべき佳品。早世した偉大な紀行作家の>>続きを読む

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)

4.0

素晴らしいドキュメンタリー。特別これと言った新味があるわけではない。いつか、どこかで観たはずのオードリー・ヘプバーン映像や写真が、三世代のバレリーナをイメージとしてはさみこみながら、次々ならぶだけなの>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

楽しい映画ではない。派手なVFXがあるわけでもないし、ジェットコースター感など無縁。それでも脚本力、抜群で、あっと言う間の112分は、高齢者にとって切実で、説得力も豊かな仕上がり。作劇に心打たれて,言>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.5

ようやく鑑賞の超話題作。アメリカ映画の正真正銘、娯楽作品の王道を、いまや無人攻撃飛行機全盛のなか、少しも悪びれず、待ってましたの期待に違わぬ仕上がりに、ただただ敬服するばかり。展開も結末も予想通りの鉄>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.5

昨年の東京国際映画祭観客賞作品を配信鑑賞。ここのところ一時の松岡茉優を感じさせる勢いの伊藤沙莉が好演ながら、坂元裕二の『花束みたいな恋をした』の二番煎じは明らかで、ジム・ジャームッシュを重ねても新味を>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.5

昨年、というより年度で言えば2年前になる話題作を日本映画専門チャンネルの坂元裕二まつり(?)で、ようやく鑑賞。台詞で観せる坂元裕二ワールドを有村架純と菅田将暉とで過不足なく体現していて、ある種のブーム>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

IU(本作ではイ・ジウン)が素晴らしい。彼女にこそ賞をあげたい。カンヌの主演男優賞は、ソン・ガンホへの功労賞の印象だった。
よく練られた脚本で長尺130分が、あっという間。とりわけ終盤のまとめ方が心地
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草の響き(2021年製作の映画)

3.5

佐藤泰志の原作との距離感にこだわり続けている。これまでの4作品、いずれも納得できていない。そして、やはり本作に対しても、これまで同様の問いかけから解放してもらえなかった。

なぜ設定をこうしなければな
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キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

3.0

残念ながら、フランス映画として、しかも「アーティスト」のオスカー監督ミシェル・アザナビシウスがメガフォン、主演を「タイピスト!」のロマン・デュリスという建て付けで製作されたことの意味が飲み込めなかった>>続きを読む