閉塞感漂う冷戦末期のベルリン。街の人々の声なき声を天使達がただ静かに寄り添い耳を傾ける。しっとりしたモノクロ画面が本当に美しく、ひとりひとりの言葉の思い、そして街の悲壮な歴史をより際立たせていた。天使>>続きを読む
荒涼とした風景、無骨なアメ車、殺風景なモーテル、俯瞰でしか見せないロサンゼルスの街などアメリカ最後の映画監督のつもりでヴェンダースが捉えたアメリカの風景どれもが素晴らしい。次第に心を開いていく少年が愛>>続きを読む
娯楽映画として完璧な作り。とにかくカット、編集ひとつひとつに全く無駄が無く、ぐいぐい引っ張られていく。特に後半、主人公の収監から出所までの畳みかけが凄まじく感動した。こんなに幸せな気持ちになる映画だと>>続きを読む
どこまでも陽気で楽観的、行き当たりばったりでいい加減、そして不安や焦燥感といった青春時代特有の瑞々しさがギュッと詰まっていました。出演者だけでなく、演出、カット、編集、音楽全てでそれが体現された奇跡の>>続きを読む
アカデミー賞受賞だけあって画面全体がひとつの世界観で美しく統一され、エマ・ストーンも頑張った。ただ物語の展開にあまり乗れずに終わったのが正直な所です。
キャグニーの演ずる主人公の狂気を軸に、騙し騙され、追いつ追われつ、全く先の読めない手汗握る展開で迎えるラストにのけぞった。大傑作。見どころ満載でワンカットも見逃せない濃密な110分でした。
3時間だが長さは感じずあっという間に鑑賞。いつものノーラン節で時系列を無視し複数の話しが同時に進むので事前にネット等でオッペンハイマーの生涯を予習しておくと観やすいかも。そのためか何故、彼が原爆開発に>>続きを読む
アナーキー感満載の「我が輩はカモである」とは違い男女のロマンスを軸に物語が展開するので安心して?観られるが、もちろん兄弟のギャグはキレキレで、特にハーポの上に下にと体を張って動き回る姿はいや凄いぞ。
息をもつかせぬ掛け合いと溢れる小ネタはマルクス兄弟の面目躍如。ラストに向かうスピード感は爆笑必死です。ギャグもさることながら、楽器演奏も器用にこなすんですね。
ん十年前に初めて観た時はあまりのアナーキーぶりに抱腹絶倒でしたが、久しぶりに観ると贅沢な作りなんだと感心しました。会話の面白みがもっと理解できると一層楽しめるか。拙い自分の英語力が悔しい。
走る列車を縦横無尽に駆け回るキートン。当たり前にこなす抜群の運動能力に改めて驚愕した。それに合わせて他の出演者も慌ただしく動き誰一人止まる事はない。あっという間に終了。大傑作。やっぱりサイレント映画は>>続きを読む
冴えない不器用な男女の逃避行。あらゆる事が上手くいないが同じ事を繰り返し、出口なしのもやもやからラストへの畳み掛けに驚ろいた。
初めてのケリー・ライカート。鬱蒼とした森と深い暗闇、粗末な小屋、静かな川の流れ、すべてが美しい。一攫千金を夢見て悪さを企てるがどこか憎めないふたりの友情と逃避。冒頭とラストがつながり悲しくも心に響く。>>続きを読む
完全無声白黒だが、あっという間の75分。ただ牧草地を走っているだけなのに、どうしたら馬がこれ程魅力的に撮れるのだろう。恐るべし。
家族が暮らす家屋と学校、そして質素な田舎の街並みからカメラは一歩も出ないまま、主人公や家族のうつろいが淡々だがじんわりと迫ってくる。時折降る雨のシーンがとても良い。
短い時間ながら展開てんこ盛り。躊躇なく人はいきなり撃たれ車が疾走し男女は憚ること無くキスをする。主人公のキレぶりがウザいを超えて次第にカッコ良く見えてきてラストシーンでテンション爆上がり。
病を抱える老名監督と撮影が進まない若手監督がドキュメンタリー映画の「創作」を企むが、やがて現実とフィクションの間を漂いはじめ、ついにニコラス・レイはこのふたつを乗り越え自身が「映画」そのものになる。う>>続きを読む
「息の跡」に続いて鑑賞。災害FMの女性パーソナリティの証言と共に映画が進んでいく。丁寧な映像と編集で淡々と時間が進むなかで、この地で生きる静かだが強い意思がやんわり心に響いてくる。
311に鑑賞。出だしから種屋の佐藤さんに圧倒され、最初は一体何を観ているのか戸惑ったが、荒削りな映像と編集でグイグイ引き込まれていく。津波で全てを失って生き残った自分は何をすべきか。常に工事と車両のノ>>続きを読む
時折クスッと笑いが散りばめられ、ミニマムだが的確なショットを重ねていくうちに冴えない二人が愛おしくなっていく。唯一無二の名人芸を今回も堪能した。犬が可愛い。
萌音と北斗が主演の若い層向けの映画だと侮ってはいけない。なんせ監督はあの三宅唱なんだから。生きにくさを抱えた二人が出会い、互いをわかり合う姿が丁寧に繊細に積み重ねられ、終盤でタイトルの意味がズシリと心>>続きを読む
誰もが抱えている光と影、それが淡く重なり合いながら人生はゆっくりと移ろいゆく。たまに訪れる完璧な一日を楽しみにしながら。役所広司にやられた。ラストに泣かされた。
3人の轟音ライブに酔いしれる。映像は素人カメラマンの撮影だが愛に溢れ、荒削りな編集とともに彼らの魅力を引き出していた。
冒頭から圧倒的なテンションで迫ってくるジャンヌのクローズアップ。最後までカメラは涙するジャンヌの鬼気迫る顔から離れない。勿論、引きの映像の構図も完璧でラストに向けた編集は神がかっている。なんかもの凄い>>続きを読む
高度な文明を持つエイリアンが南アでスラム化した生活を強いられ人間たちに過酷な扱いをされるという政治的な寓話かと思いきや、無慈悲な暴力とグロテスクな展開が一気に加速していき呆気に取られました。
人物描写やストーリー展開で気になる部分が無いこともないがゴジラの迫力に全てなぎ倒され最後まで集中して観ることができました。戦後まもなくの時代設定が絶妙に効いている。
画面構成、編集のテンポ、ひとつひとつのセリフなどディテールはウェス・アンダーソン節が炸裂して楽しめる作品だが、やはり劇中劇の入れ子構造が全体を難しくさせていて手放しでは絶賛できず。天才も悩みが深いのか>>続きを読む