タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価

タラコフスキー

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溺れゆく女(1998年製作の映画)

3.5

劇中のジュリエット・ビノシュは溺れてはいない。

私を抱いてそしてキスして(1992年製作の映画)

3.7

南野陽子が美しい。
ガス栓を開けて、眠る赤井英和とともに無理心中を図る南野陽子は、五所平之助『愛の系譜』で三橋達也を死に追いやろうとする岡田茉莉子と共鳴する。

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.9

黄色や赤、青一色の極端な色味の画面が、サイレント期の映画の記憶を呼び覚ます。特に最初のディメンタス一味のテント内での様子はどことなくユダヤ的で、バイク・チャリオットも、フレッド・ニブロの『ベン・ハー』>>続きを読む

スランバー・パーティー大虐殺(1982年製作の映画)

3.7

冒頭、自転車をこぎなから各々の家に新聞を投げる配達員の動作と、それが描く放物線からして、明らかにこの監督は手練れだと誰にでもわかる。
主要人物たちの日常的な動作や語らいの様子と、凄惨な殺人とが同一画面
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マッドマックス2(1981年製作の映画)

3.5

マックスがジャイロキャプテンに救出され、空中を移動するマックスとその下の地表を捉えたショットが本作の白眉か。メル・ギブソン監督『ハクソー・リッジ』の、アンドリュー・ガーフィールドが崖の上から担架で空中>>続きを読む

マッドマックス(1979年製作の映画)

3.3

人間の動きがおかしいからこそ、車の直線的な動きが強調される。

紐育の波止場(1928年製作の映画)

4.0

傑作。夜霧がやばい。
別れゆく男の破れたポケットを縫って直そうとするのだが、涙で目が曇り、穴に糸が通せないシーンで泣く。

スージーの真心(1919年製作の映画)

4.0

窓を通じて、物理的距離を超えて遥かに通じ合う二人の感情が素晴らしい。
学資を出してくれた領収書をきっかけにして自らの愛を確信するという、金銭を媒介にした恋愛の成就という点で、成瀬巳喜男の『乱れ雲』と密
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不壊の白珠(1929年製作の映画)

3.5

上司の邸宅でその子息に猟銃の玩具の銃口を向けられ、思わず身を隠す八雲恵美子が、『その夜の妻』では二丁の拳銃を刑事に向けることになるとは。
中間字幕の背景にある、長方形から球へと向かう一本の曲線、ダンス
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マダムと女房(1931年製作の映画)

3.4

短い出演時間にも関わらず、井上雪子の色気と美しさがもたらす印象の強さ。

江戸怪賊傳 影法師 前篇(1925年製作の映画)

3.4

捕縛されることで、初めて愛に火がつき気合いが入る展開、『近松物語』などもそうなのだが、個人的に好きすぎてぶち上がる。

シヴィリゼーション(1916年製作の映画)

3.2

ヴァーホーベンが「『ロボコップ』はアメリカン・ジーザスだ」と言っていたが、どうも米国はその映画史の初期から、キリストをアメリカン・ヒーローとして捉えていたらしい。

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

3.4

揺れる3頭の象がヤバい。
画面中央の上部から現れ、前に進んでくる女は見ていてハッとする。
ラスト、車のライトが生き物の瞳のように見える。象を含め、あらゆる生命体がまるで生命を欠いたかのように撮られてい
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妖女ゴーゴン(1964年製作の映画)

3.4

バーバラ・シェリーが美しい。ピーター・カッシングの助手役なのだが、彼の愛人なのかそうでないのか曖昧な立場と、二人でいる時の思わせぶりなショットから漂う色気が素晴らしい。
全編セット撮影だからこそ生まれ
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陸軍(1944年製作の映画)

3.7

「本は人の魂じゃけ!」と、国語教科書をちょっと踏んでしまった息子を叱り倒す田中絹代が熱い。
息子の出征の行進を見送る田中絹代を捉えた横移動のショットと、最後の正面を見据えて涙する姿は、成瀬巳喜男『乱れ
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花つみ日記(1939年製作の映画)

3.5

制作主任市川崑。コントラスト強め。淀川の煌めきが素晴らしい。高峰秀子の顔クロースアップも、ここぞと言う時のために抑制されている。だが、石田民三作品としては『三尺左吾平』には敵わない。

阿片戦争(1942年製作の映画)

2.5

マキノ正博ワースト。
アヘンをキメて作ったとしか思えぬクソ企画。
原節子と河津清三郎が月夜の庭でイチャイチャする場面や、イギリスの外交官らを招いた林則徐によるパーティーの余興のシーンでは、月や原節子の
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宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年製作の映画)

3.9

冒頭で武蔵が橋に刻みつける別れの言葉、子どもが河原の石に水で書く「武蔵」の二文字、終盤に和尚が般若坂の小石に書きつける「妙法蓮華経」など、エクリチュールの主題が3回提示される。
3年間城の天守閣に籠っ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.5

音響の映画。音は良い。
3時間超えは長すぎる。モノクロ・パートに入った途端、画面が弛緩する。長すぎる、いらない。会話の場面も、切り返しがうまくないので、ただ長く感じるだけのことが多い。擬似裁判映画とし
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インソムニア(2002年製作の映画)

3.4

罪の意識に苛まれた男が『めまい』のごとくふらふら運転したり、『見知らぬ乗客』のロバート・ウォーカーを想起させなくもない殺人犯ロビン・ウィリアムズが協力を強要してきたりと、物語的にはヒッチコック的要素が>>続きを読む

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)

3.9

何か起こりそうで何も起こらない、不穏極まりない構図と長回しショットが連続するにもかかわらずどこか心地よい。トーキング・ヘッズの『This Must Be The Place 』が聞こえたような気がした>>続きを読む

Kadosh(原題)(1999年製作の映画)

3.8

ゴリゴリの家父長制閉鎖空間を舞台にすれば、イスラエル映画であってもゴリゴリのメロドラマになるんだな。
レナート・ベルタの撮影が素晴らしい。
初夜シーンの男の暴力性がやや図式的だが

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

レア・セドゥがオースティン・バトラーに催眠術&色仕掛けで血統をGETするのエロすぎるし、フローレンス・ピューも皇位継承と子作りのための女として描かれており、全体として封建制のもたらすエロスが強めである>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

2.8

今回は残念ながら、ハリウッド映画の表層をなぞることで生まれる、いつものリュック・ベッソンらしさというか、ケレン味があまりうまく出ていない。『羊たちの沈黙』のベッソン流の変奏ではあるのだが、ただそれだけ>>続きを読む

挽歌(1957年製作の映画)

3.9

左手が動かない久我美子が妻子持ちの森雅之と不倫するのだが、森の妻の高峰三枝子の美しさにも魅了され、さあどうしましょう?
久我美子が高峰三枝子に銃を撃つポーズをするショットは、『猟銃』で岡田茉莉子に銃口
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愛情の系譜(1961年製作の映画)

4.0

冒頭の展望台、糸杉、東京タワーは明らかにファルス。
8ミリカメラを回す山村聰が正面から捉えられるショットは、『猟銃』で岡田茉莉子にライフルの銃口を向ける佐分利信を正面から捉えたショットと共鳴する。
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デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.0

過去と現在の相互浸透。筋がはっきりしていて、なおかつ幻想的で、セラピー効果もある

「通夜の客」より わが愛(1960年製作の映画)

3.7

不倫モノの脱構築というべきか…幸福な終わり方であった

花籠の歌(1937年製作の映画)

3.5

まあまあ。
田中絹代の妹役で出演する高峰秀子がかわいい。

白い牙(1960年製作の映画)

4.0

牧紀子と南原宏治のぶちゅキスはヒッチコックのそれに匹敵するしつこさ。
柵を軽々飛び越えて牧紀子に着いていくコリー犬のジョンが素晴らしい。
牧紀子、南原宏治、有沢正子がダンスするシーンの特殊効果が異様。
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