香港返還を機に現代カンフー映画、香港ノワール、香港ニューウェーブの流れを内包し、その先へ向かうことを所信表明したような、ウィルソン・イップ会心の一作。
ドニー・イェン、サモ・ハン・キンポー、ウィルソ>>続きを読む
“神出鬼没の犯罪者”という意味で『美女と液体人間』からの流れで出来たような一作ながら、前半はかなり骨太なミステリーで後半がはじけるという構成はもしかしたら『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に影響を与え>>続きを読む
意外に知られてないというか、あまり語られてないのだけれど(というか、別にそこ語らなくてもいいだろということなのかもしれないが)、1954年といえば『七人の侍』と『ゴジラ』が東宝から公開された年で、まさ>>続きを読む
奥で捉えるローアングルの構図は全カット計算されつくされており、2Dなのに立体的な映像はディズニーの『バンビ』のごとくこちらに飛び出してくるかのよう。特にカットを割らずに手前と奥でまったく違う動きを演出>>続きを読む
押井守のライフワークともいえる「ケルベロス三部作」のラストを飾る「犬狼伝説」の劇場アニメ化。しかし、自身が監督するわけではなく、原作と脚本にまわり、監督に抜擢されたのは『AKIRA』のモブシーンや広告>>続きを読む
民間人をひき殺せばポイントが加算される殺人レースの話。女性をひき殺すと得点が高く、さらに13歳~19歳の若者は40点、さらにさらに子供は70点、75歳以上は100点と、得点が高いので率先してひき殺され>>続きを読む
完全版として、さらにブルーレイで念願の再見。フィルムが欠損してた部分がかなり重要で、これだけのものが見つかれば完全版として制作したくなるだろうと思ったし、画質のキレイさと音質の良さに感動し、ちっとも眠>>続きを読む
『タクシードライバー』や『フォーリング・ダウン』よろしく、社会における欺瞞や理不尽なことに対し、怒りの鉄槌を食らわすというタイプの作品ながら、ジョン・ウォーターズの手腕により、底抜けに楽しく、ポップで>>続きを読む
『市民ケーン』のトリッキーな映像と『暗黒街の顔役』のクールな表現を足して、チャンドラーの世界に挑んだような作品で、気絶し、麻薬漬けにされたシーンなんかはウェルズの『上海から来た女』を彷彿させ、もしかし>>続きを読む
映画における「ハリウッドで描かれる間違った日本文化」が大好物であり、それがあれば何でも傑作になる小生であるため、たまさかBSで放送していたこの作品を録画して観てみたのだが、そういったフェティズムとは別>>続きを読む
エルモア・レナードを読んだとき、タランティーノが『パルプ・フィクション』みたいな映画を撮った理由がようやくわかったが、それと同じで、この『破門』もナニワのレナード(カトキチ命名)こと黒川博行の小説世界>>続きを読む
信じられないくらい不幸な生い立ちの主人公で、ようやく報われると思ったらガンになってしまうという展開なのに、そこで「泣かせ」にかからないアメリカ映画の懐の深さに感動。見せ場はふたつしかないが、その合間に>>続きを読む
ドライでデタッチメントな原作に比べ、ゴージャスでドラマティックでエモーショナルに仕上がっているため、犬童一心なりに野村芳太郎監督の『砂の器』へのオマージュを試みた可能性あり。松本清張生誕100周年記念>>続きを読む
プロットだけ抜き取るとパソコンから貞子みたいなのが出てきてさぁ大変という感じだけど、ここで描かれるのは圧倒的な終末感であり、ゾンビを出さずともゾンビ映画は作れるという“マスターオブホラー”黒沢清の本気>>続きを読む
もしかしたらこれ以前にもこういう映画が存在したかもしれないが「現在と過去が映画の一直線の流れのなかで順番に交錯していく」という構成をぼくは“『暗殺の森』的手法”と呼んでいる(『マーサ、あるいはマーシー>>続きを読む
馳星周や大沢在昌における「オレの新宿」と同じく「オレが思い描く、オレの好きな野蛮で剣呑なLA」を舞台に、有色人種蔑視する刑事。丸腰の相手をいきなり撃ち殺す刑事。死体に銃を握らせ、撃ち合いに見せかける刑>>続きを読む
評論家の佐々木敦は「何も写ってない、何も語ってないのが映画の理想」であると北野武の映画評論に書いた。すごくおもしろいなと思った。実際芸人で「しゃべり」を武器にしてきたはずの北野武が監督デビュー作で行っ>>続きを読む
いわゆる世界が日本の映画に求める要素(エログロバイオレンスと戦う美少女)がタイトなランタイムに詰め込まれており、『攻殻機動隊』や『マトリックス』あたりが好きな人にはたまらないサイバーパンクSFに仕上が>>続きを読む
横浜アリーナと代々木第一体育館ライブでのドタバタ、その出来に対し説教する秋元康、それを受け止めるたかみな、「よかった?もっと出来るのに……」とたかみなの想いに応えるように悔しがる河西、熱中症でぐったり>>続きを読む
今観ると、組織のなかにおいて、カリスマ性のある人が急に辞めると言いだし、そのことにより、周りがどのように変化するのか?という構成になっていて、完全に『桐島、部活やめるってよ』だった。
しかもその桐島>>続きを読む
ハイライトのパッケージをデザインしたことで有名なイラストレーターの和田誠が初めてメガホンを取り、阿佐田哲也の同名小説を映像化し、話題になった力作。角川映画というと敬遠してしまう節もあるのだが、作家映画>>続きを読む
良い意味で身も蓋もない原作をややドラマチックにエモーショナルに改変し、それ以外は徹底して殺し合いしかないという潔い映像化に笑みがこぼれる。まだ演技こそ拙いものの、圧倒的な存在感の松田龍平。得体の知れな>>続きを読む
ベトナム戦争で捕虜となり、7年の拷問に耐えた主人公はやっとの思いで故郷へ、だが、妻は別な男と再婚しようとし、息子は顔さえ忘れている始末。彼は英雄として街から銀貨を送られるが、それをならず者に奪われ、右>>続きを読む
『イレイザーヘッド』に『狂い咲きサンダーロード』と『AKIRA』を足したようなサイバーパンクの系譜に連なる塚本晋也のデビュー作。
肉体が変化していく様にノイズがかぶさるだけの映像で、これといったスト>>続きを読む
あの超傑作『ヒート』よりも実はこちらを推したい。かっこよすぎるんじゃないかと思うほどの信念を持った男たちの話。
実際にあった事件を元にしているとはいえ、映画そのものが“インサイダー”になってる。アル>>続きを読む
モスクワの西、白ロシアと呼ばれる地域の628カ所の村がドイツ軍によって焼き払われたという事実を映画化。兵隊に憧れる少年の視点で物語が進んでいく。
冒頭、一人の老人が「どこで遊んでるガキどもでてこい!>>続きを読む
相方の恋人が組織にさらわれたからそれを救い出そう!というシンプルなバディムービーだが、細部がよく出来ていて、中国というアメリカにとっての未知の国をベースに、カンフー、超能力、西部劇、お笑い、ラブストー>>続きを読む
ウォルター・ヒルが日本で撮った“ヒップホップの寓話”って感じ。丸々二時間ラップと格闘アクションとおっぱいしかない潔い映画。ところが、無国籍感を出すためのセットのクオリティ、フレッシュなYOUNG DA>>続きを読む
映画のルックとしては『乱』のダイナミズムに『レッド・クリフ』のケレン味を加えたような感じなのだが、史実に基づいた話なので、政治的な要素もあって結構地味。しかし、要所要所でキャラクターたちが「でも、やる>>続きを読む
レビューには、「期待より楽しめた」、「ダークホース」、「思いがけない拾いもの」、「意外とおもしろかった」という言葉が並んでいるが、それもよくわかる話で。まぁ基本的に『超高速!参勤交代』という、映画館に>>続きを読む
『スコット・ピルグリム』に『ホット・ファズ』を足したような、いかにもエドガー・ライトあたりが好きそうな作品であり、ボンクラ魂に火をつけること必至の痛快作。超ご都合主義、超無理矢理な設定ながら、こういう>>続きを読む
『リーガル・ハイ』あたりからにじみでてきた古沢良太の人間に対する不信感と憎悪が「寄生獣」というフィルターを通して炸裂した怪作。なのにもかかわらずちゃんとスケールがでかく、激しくクリエイトされたアクショ>>続きを読む
原作を読んでるときはいかにも青年誌用にバイオレンスとグロ描写をアップデートしたバトル漫画だなという印象があったのだけれど、映像化されると、意外とちゃんと“ボディ・スナッチャー”してるし、何よりも『ゼイ>>続きを読む
重要なファクターであるはずの“巨人”が背景のひとつにすぎず、じゃあ何をやってるのかといえば、巨人化したエレンをどうすべきかという問題を、軍の司令部と前線部隊と科学者だった(っぽい)ピエール瀧らが、やい>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
原作は三巻で飽きたクチだし、キャラクターに何の思い入れもないので、いっそのこと90分のカタストロフィ。阿鼻叫喚の地獄巡りだけにしてもよかったというくらい、軍艦島での巨人大暴れシーンは超見応えアリ。>>続きを読む
香港という場所で若者たちがそれぞれすれ違ったり、出会ったりして、それもまた人生だよねという、いつものウォン・カーウァイ作品であるが、特筆すべきは殺し屋がカチコミにいき(しかもちゃんと『男たちの挽歌』同>>続きを読む