涼さんの映画レビュー・感想・評価

涼

映画(259)
ドラマ(1)
アニメ(0)

ミッシング(2024年製作の映画)

4.2

 人間、明日何が起こるのかはわからない。

 突然我が身に悲劇が訪れたときに、人はどう対処すればいいのか。どう心の中で折り合いを付ければいいのか?

 新聞の社会面を見てもわかるが、そのような悲劇に見
>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.3

 藤井道人の脚色の巧さと清原果耶の演技力に感嘆する。本作が成功した主要因はこの二つであろう。

 原作は今から10年前に36歳の台湾人男性が青春18キップで日本各地を6日間旅行し、それを写真と共にブロ
>>続きを読む

リトル・エッラ(2022年製作の映画)

3.5

 何で評価が高いのか?(3.9)

 エッラの意地悪が度を超していて、見ていて気分が悪い。そして、あまりに単純なストーリー。
 配信なら5分で止めるところだ。

 とってつけたようなラストも、笑止だ。
>>続きを読む

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.7

 厳しい環境で育ったとはいえ、犯罪に手を染めたのを仕方がなかったという風に捉えていることに違和感を覚える。
 もっと違う生き方もできるであろう。

 モデルの人物・カターがスーパースターだからといって
>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

3.5

 途中1/3くらい寝てしまった。なので、良くわからないところがあり、後に解説を読んで補完した。

 哲学的な印象。日々生きることを楽しもうということだろうが、そこに死ぬ前と生まれる前の二つのソウルの世
>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.2

 悲劇だが、ラストで救われる。

 事実に基づいているが、実際には六男クリスもいて、若くしてピストル自殺している。フォン・エリック家は息子6人中3人自殺、2人病死となっている。これ以上悲劇的な家族があ
>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.5

 最後まで見せる力はあったが、結末を知ってがっかり。

 「名前」は全く良くなかったので、この監督の作品はスルーする予定だったが、評価が3.9だったので方針を変えたのだが。

 いくら自分の出生にいわ
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.4

 なぜ今オッペンハイマーなのか?
 最近彼の名誉回復がなされたことがきっかけなのか?
 もう過去の人だろう。

 などと想念が去来する。

 原爆完成のためにあんなに科学者を集め、実験に成功した際には
>>続きを読む

ティル(2022年製作の映画)

3.7

 黒人差別を題材にした映画をこれまで何本見てきただろうか?本作のように最近でも製作されているということは、差別は現在も続いている、ということだろう。

 本作のポイントは14歳のエメット(ジェイリン・
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 途中でウトウトしたし、1回見ただけではよくわからなかった。

 多くの考察などを読み、自分なりに考えた結果。

 やはりサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)が夫サミュエル(サミュエル・タイス)を殺した。
>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.2

 これは、二人の男の友情の物語ではない。人間が自分の受けた恩義に報いる物語である。

 本作の時代設定は2018年だから、ごく最近である。

 監督は、「アフガニスタン問題とアメリカ軍に協力したアフガ
>>続きを読む

夏時間(2019年製作の映画)

3.7

 韓国の市井に生きる人々を、17歳の高校生オクジュ(チェ・ジョンウン)の目を通して描く。
 それらの人々は、パッとしない人ばかりだが、生きていくためには投げやりになるわけにもいかない。どこか懸命なとこ
>>続きを読む

ユンヒへ(2019年製作の映画)

3.9

 韓国の男性監督で、こんな優しい映画を撮る人がいるとは。内容からしても、てっきり女性監督だと思っていた。
 受賞スピーチやインタビュー映像を見ても、この映画そのものの穏やかな人柄がうかがわれた。

 
>>続きを読む

トゥルー・スピリット(2023年製作の映画)

3.9

 16歳の少女が単独、無支援、無寄港で世界一周を果たす。実話だ。信じられるか?16歳だぜ?

 失読症だというから、学校の勉強では苦労もしただろう。そのようなハンディを抱えながら。
 成功して原作本も
>>続きを読む

ディープブレス 呼吸、深く(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 そこに山があるから登る、と同じようにそこに海があるから潜る、ということだろう。山の高度にこだわるように、海の深度にこだわる人もいる。

 アレッシアは小さい時から潜るのが大好きで、常にいい記録を目指
>>続きを読む

リマスター サム・クック(2019年製作の映画)

3.7

 マルコムXやモハメド・アリと付き合っていたから嵌められたんだろうか?
 陰謀論を支持したいかのごときニュアンスが感じられる。関係者は、皆、彼はあんなことをするはずがない、と言っているし。
 本作では
>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.8

 韓国映画でこれほど面白いのは久しぶりだ。すべてにおいてレベルが高い。韓国国内映画賞 25冠というのも納得だ。しかも新人監督だと?
 信じられない。

 本作は昼盲症という病気が鍵になる。昼は見えにく
>>続きを読む

フルサークル(2023年製作の映画)

3.9

 トレバー・ケニソンがコルベット峡谷で脊髄損傷事故を起こした。5年後、再びその現場に赴きスキーで滑り降りるというチャレンジをする。それ以後数々のチャレンジをする様子を描く。

 ところで、峡谷の名が付
>>続きを読む

シティ・オブ・ジョイ ~世界を変える真実の声~(2016年製作の映画)

4.2

 妻が夫の前でレイプされると、夫は辱められたと感じ、妻を棄てるのだという。ここが酷い。助ければいいじゃないか、と思うのだが。
 こうやって家庭が破壊され、地域が破壊される。「レイプが戦争の兵器」とは、
>>続きを読む

ステイ・オン・ボード:レオ・ベイカーのストーリー(2022年製作の映画)

3.9

 トランスジェンダー男性が、女性として生きていた時の辛さの1/100ぐらいはわかったかな。

 女子スケートボーダーとしてスポンサーから経済的に支援されていれば、カミングアウトすることは難しかったのは
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.7

 セックスシーンが多く、AVのようであり、下品だ。こんな作品や演技に賞を与えるのか?間違っていると思う。

 フェミニズム映画だという人が多いが、違うと思う。あんなにセックスシーンばかり見せて、女性を
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.9

 原作未読。瀬尾まいこの小説は、多分、優しさ、温かさに満ちているのだろう。
 その雰囲気に三宅唱の作風はマッチしているのだと思う。二人の資質には似ているところがあるのではないか?

 世の中には病気、
>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.2

 アロマンティックかつアセクシュアルな女性を描く。
 アロマンティックとは他人に恋愛感情を持たない人、またはその指向を言い、アセクシュアルとは、他人に性的欲求が向かない人、またはその指向を言う。

 
>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.2

 ウルグアイのサッカーチーム一行が空軍機でチリに行く途中、アンデス山脈に墜落。半数以上が死んだ。機体は白で、一面雪。夜中はマイナス30度になる。食料は少ない。

 さあ、どうするか?これ以上無いような
>>続きを読む

はじめから烙印を押されて(2023年製作の映画)

3.9

 本年度アカデミー賞ドキュメンタリー賞ショートリスト(第1次ノミネート)選出作品。Netflix。

 ベストセラーになったイブラム・X・ケンディ博士の原作を基に作ったドキュメンタリー。
 原作者も監
>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.5

 夫と妻、どちらの立場に寄せているのか?中途半端だから、見終わってもスッキリしない。
 要は脚本がダメなんだろう。

 偉人とその妻の家庭の破綻を描いた失敗例だと思う。
 成功例はある。それは「博士と
>>続きを読む

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー(2023年製作の映画)

3.9

 マシュー・ハイネマン監督作品。
 彼のドキュメンタリー、「ラッカは静かに虐殺されている」では、ラスト、ISに生命を脅かされている主人公がホッとして床に崩れ落ちる場面が強く印象に残っている。カメラの、
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.9

 主人公は、微温的というか、ミニマムな生き方をしていてる。
 平凡とも思える日常は、実は毎日変化していて、その変化を楽しむ。そして、お金のかからない趣味を色々持っているので、人生に満足している。病は気
>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.9

 黒柳徹子の自伝的小説を映画化したもの。原作は未読である。

 黒柳は1週間で小学校を退学となったというから、今で言うADHD(注意欠如・多動性障害)だったのだろう。
 それをトモエ学園に入り、小林宗
>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.9

 まず、このタイトルの造語が嫌いだ。欲望と正しさは関係ないだろ。善悪を超えたところに欲望はあるんだろ。こういう造語をタイトルにするセンスが嫌いだ。しかも文学者が。

 人と違って水に性的興奮を覚えるこ
>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 これまで見たゴジラ映画の中では最高。山崎貴はゴジラ映画を撮るのが夢だったという。その夢をかなえられるということで、持てるものすべてを出し切った感がある。
 何より視覚効果(VFX)と音響効果が際立っ
>>続きを読む

最後まで行く(2023年製作の映画)

3.9

 リメイクだが、本家の韓国版よりいい。脚本・演出の勝利だろう。特に藤井道人の演出は、世界に通用するレベルだ。

 岡田准一の焦りまくる表情は笑えて、コメディであり同時にサスペンス要素もある本作の最も大
>>続きを読む

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.3

 これは必見。ドキュメンタリーで、メディア側から体制を批判的に見るものはたくさんあるが、体制側に密着して意思決定過程や本人の心情などもそのまま映すものなど、ついぞ見たことはなかった。ほぼ不可能だと思っ>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.3

 韓国映画の水準を示す力作。CGをほとんど使っていないので、臨場感が凄まじい。
 政治・外交問題において一般に知られると支障が出るので当時は語られず、後から真相が明らかになるケースは結構多いだろう。本
>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.5

 石井裕也の最高傑作だろう。

 前半、現実のあまりの理不尽さに主人公の怒りは鬱積し、後半、その怒りは実家に集まった疎遠だった家族に向けて噴出する。ところが、怒鳴り合った先に、予想外の展開が待ち受ける
>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.5

見て失敗した。何でこんなのを選んだんだと、1週間ぐらい自己嫌悪に陥った。

 原作未読だが、考察を読むと脚本:原田眞人が設定を大幅に変えているらしい。
 変えた部分は、ことごとく失敗しているのでは
>>続きを読む

>|