渉さんの映画レビュー・感想・評価

渉

映画(37)
ドラマ(5)
アニメ(0)

ミッシング(2024年製作の映画)

4.7

傑作『空白』(Blank)からまたさらに次の段階へ到達した吉田作品のマスターピース(Masterpiece)になるであろう大傑作。『空白』における、手遅れ状態からいかに関係者が希望を見出していくのかと>>続きを読む

ジョー(1970年製作の映画)

5.0

オッサン同士の関係性が『釣りバカ日誌』的で、こちらは竿じゃなくて銃がアイテムになっている。よーするにどちらもペニス。スーさんピーター・ボイルと出会わなくて良かったね。  

いわゆるアメリカン・ニュー
>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.3

劇場で見なかったことを深く後悔。スクリーンで観たかった画がずっと続く。70年代っぽいタイトルロールからずっとルックが最高。全体のトーンも落ちついているしオスカー・アイザックの色気もツラも素晴らしい。シ>>続きを読む

正義の行方(2024年製作の映画)

4.4

執拗にインサートされる森と三叉路の空撮が30年に渡る深く暗い迷宮と運命の分岐を象徴していて見ているこっちも呑み込まれそうになる。同じく何度もインサートされる「正義」の女神像もまた然りで、常に映像に不穏>>続きを読む

WHO AM I?(1999年製作の映画)

4.2

デイモンのジェイソン・ボーンが始まる3年前なのか。リアリズムを追求したアクションで史を塗り替えたボーンシリーズとサスペンスのネタは似ているけれどなにせジャッキー映画なのでとにかく大掛かりな活劇が楽しい>>続きを読む

ナイスガイ(1997年製作の映画)

4.0

シンプルなサスペンス要素にアイデア満載のアクション大洪水。好みの別れるサモハン監督印のコメディ要素も微笑ましく観た。料理人設定がだんだん宙に浮いていくのが気になるけれどラストはダンプカーで一丁上がり。

レッド・ブロンクス(1995年製作の映画)

4.5

90分ちょいの中にアイディアぎっしりのアクション大洪水。NYブロンクスの治安悪めなストリートの画も良しで、空間移動と乗り物系のアクションも活きてる。ジャッキー映画のひとつの到達点なのは間違いない。そし>>続きを読む

EVE/イヴ(1991年製作の映画)

3.3

あの有名な寓話「長靴をはいた猫」を想起させるキャッチコピー「ハイヒールを履いたターミネーター」に惹かれて鑑賞。思っていた感じとは違っていたけれど、かといって想像を裏切るようなストーリィでもなく、案外シ>>続きを読む

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

4.1

カルロス・ベルムト監督がまたえげつないモンを産み落としてきた。ジャパンカルチャー大好きアピールも健在で、常に因果のつきまとう不穏なストーリテリングもさらに研ぎ澄まされつつある。個人の嗜好やそこから発展>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.9

あのハーヴェイ・カイテルの生々しい裸体をスクリーンで喰らえるなんて!てなわけで、しかとその目に焼き付けてきた。基本的にはどうしようもなさ過ぎてもはや笑えてくるダメさをここまで人間臭く体現してみせるカイ>>続きを読む

五福星(1984年製作の映画)

3.6

ジャッキー、めちゃんこつおい!
サモっちまくんも!

ハンガー(1983年製作の映画)

3.8

『ハンガー』に始まり『アンストッパブル』で終わるトニー・スコットの怒涛のフィルモグラフィ。思えば2作品ともほぼ同じランニングタイムなのに時間の操り方が全く異なる。次作がトム・クルーズとデンジャー・ゾー>>続きを読む

イーストウィックの魔女たち(1987年製作の映画)

4.0

フュリオサの公開も近いので。こちらはイーストウィックという町に住む3人のフュリオサと突如町に現れる1人のニコルソンが最終的に対峙をする、郊外の朗らかなマッドマックス。いつもはエネルギッシュなミラー監督>>続きを読む

魔界転生(1981年製作の映画)

4.7

深作欣二のエネルギッシュでアナーキーな時代劇。千葉真一もジュリ草四郎も若富様もそれぞれが持つエネルギィが燃えに燃えている。江戸城も燃えに燃えている。圧巻。深作欣二を始めとして、大の大人達がこんなことを>>続きを読む

釣りバカ日誌3(1990年製作の映画)

3.0

ハマちゃんスーさんの掛け合いもかなり軽快に。三國さんがコメディの演技に馴染んできた感じが心地良い。そんな軽快さとは裏腹にハマちゃん夫婦にとっては大きなテーマが設定されており、そのあたりの苦悩も描かれて>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.6

あのちゃんといくらちゃんの職業声優じゃないからこその心地良い会話のリズム感とトーンがしっかりと浅野いにお作品の解像度を上げていて良かった。SF要素よりかは単純にシスターフッド物としてのシーンが好きかな>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

3.5

遠藤雄弥のツラ構えと潤いの無いドラマの空気感は好き。

アメリカン・パロディ・シアター(1987年製作の映画)

3.5

笑えたパートもそうでもないパートも総じて楽しめた。娯楽の王様としての「テレビ」を用いた構成の「映画」なのがミソではあるけれども時は経ち映画もテレビも娯楽の王様ても何でもなくなってしまった今となってはテ>>続きを読む

波紋(2023年製作の映画)

3.4

かなり久々に見た荻上直子作品の現在地が意外で驚き。ここまで切実なテーマを地続きの日常から切り離さずに描いているのが意外に思えた。枯山水を手入れすることで必死に自分の世界の秩序を守ろうとする「平凡な主婦>>続きを読む

SF最後の巨人(1975年製作の映画)

4.0

エスケープ・フロム・ニューヨーク2012、(今となってはもう過ぎてしまった)近未来を舞台にしたディストピア・ウエスタン。堂々たるユル・ブリンナーの立ち振舞とツラ構えが素晴らしい。低予算だしロバート・ク>>続きを読む

続・荒野の用心棒(1966年製作の映画)

4.5

泥濘んだ地を歩く血と暴力と汗と泥にまみれにまみれた男たちの汚らしいツラがまず良い。アメリカン・スピリット溢れる精悍さや逞しさとは異なる泥臭さと漂う死の匂い。そして死の象徴の棺桶に秘められたアレ。全体的>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

3.0

毒気こそないけど押見修造を強く感じる作品。抜けの良い声で飛んでくる「世界の終わり」がなんか新鮮で良かった。

不思議な世界・未来戦争の恐怖(1969年製作の映画)

4.0

ナンセンス・ギャグは面白かったり面白くなっかりで痛快さは無いけれど、レスター監督のシュールリアリスティックな画作り、ディストピアのイメージは凄く好き。文明社会のバカバカしさは世界が終わってもバカバカし>>続きを読む

鬼畜(1978年製作の映画)

4.8

父が子へ、子が父へ、志麻が子へと、それぞれがそれぞれに向ける眼差しに見てるこっちの心も掻きむしられるような感覚に。どこか是枝監督的な匂いもある。もちろん子役をここまで追い詰めるアプローチは現代映画でや>>続きを読む

釣りバカ日誌2(1989年製作の映画)

3.2

何事もなかったかのように始まる「2」。フランチャイズ化のための雛形がここで完成。二人の掛け合いもうすっかり出来上がってて楽しい。

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.2

アモルト神父ことラッセル・クロウの体躯が良い。彼と彼の体躯の魅力でもってホラー回のニュースターが爆誕といったところ。ただフランチャイズ化の欲がミエミエな感じには若干冷めつつ見てしまった。まぁフランコ・>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.7

自分の父のことを思い出した。幼少期よくプロレスごっこをした時に父エリックの真似をしながら父親がアイアンクローをかけてきた。遊びのプロレスだけど父と子のコミュニケーションの触媒としてプロレスという存在が>>続きを読む

大陸横断超特急(1976年製作の映画)

4.0

ミステリィ、サスペンス、コメディ、ラブロマンス、ネッド・ビーティ、リチャード・キールと重量オーバー必至なトピックを積載して突き進むノンストップ娯楽超特急。リチャード・プライヤーの登場から一段ギアが上が>>続きを読む

戦慄!プルトニウム人間(1957年製作の映画)

4.0

放射能の影響によって人間がそのまま巨大化していく悪夢。ウルトラQを始めとして日本の特撮でも人間が巨大化するエピソードはたくさんあるのでその先駆ともいえる。荒唐無稽なアイデアながら話運びはしっかりしてい>>続きを読む

汚れた天使たち(1987年製作の映画)

3.3

イノセントと狂気の狭間を往復する青春サスペンス。ティム・ロビンスとジョン・タトゥーロはもちろん良いけどジョディ・フォスターが神がかり的に可愛らしい。タトゥーロがペンギンあげたくなっちゃうのもわかるよ。>>続きを読む

タイムコップ(1994年製作の映画)

3.0

立場を入れ替えながら追う者‐追われる者のスリリングなサスペンスを繰り広げる、職人ハイアムズの十八番的な娯楽映画。タイムトラベルを扱ったクライムサスペンスはそこそこあるけれどドヤるヴァン・ダムの股割りは>>続きを読む

大空港(1970年製作の映画)

3.4

いわゆる「パニック映画」的な展開に入っていくのは中盤以降、前半部はグランド・ホテル方式でエアポートにて交差する人間模様を時間を掛けて描写しており良く言えばじっくり丁寧、悪く言えばテンポ感と緊張感に欠け>>続きを読む

釣りバカ日誌(1988年製作の映画)

3.8

フランチャイズになる前だけに、出会いと別れの季節にぴったりなエモい名画。酸いも甘いも噛み分けた中年と壮年の甘くて酸っぱい2周目の青春ムービー。みんな良いツラしてらぁ。

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.9

不屈な男のツラはやはり良い。不死身なんて言われるとご都合主義な映画だろうと高を括ってしまう自分もいるが、ここまで淀みなくやってのけると文句ナシ。この男はマカロニの系譜にいる男だ。優しいツラの白髭サンタ>>続きを読む

蘇える金狼(1979年製作の映画)

4.6

欲望に忠実、快楽に正直な至高のピカレスクロマン。それはそれはたまらない。恍惚感に満ちたテーマとアバンタイトルから心を奪われる。時代が有するエネルギィも半端じゃない。
そして、座長の優作は勿論の事、成田
>>続きを読む