このレビューはネタバレを含みます
ゴシック・ホラーの小品佳作。アミカスなのでセットがいかにも安っぽくハマーのようなクラシックな味が出ないのだが、ヴァン・ヘルシングふうのピーター・カッシングが田舎領主一族の呪いに挑戦する中盤以降はなかな>>続きを読む
クリストファー・リー主演、ピーター・カッシング助演によるアミカス版『ジキル博士とハイド氏』。主人公名がマーロウとブレイクに変えてあって、フロイトに心酔する学者の設定にしてある。前段に心の傷を負った患者>>続きを読む
大友柳太朗のむっつり右門第7作目にして最終作。これまでの怪奇趣味は消えユーモアも後退し、現代劇の刑事物に近いタッチの社会派作品になった。ここでの右門は組織人として苦悩し、自分の中に悪を見出すことになる>>続きを読む
振れ切った強烈個性の人間達がハイスピードで全編いがみあい怒鳴りまくっている。空間造形、カット繋ぎなど二の次で狂態へと突進する早撮り渡辺演出は暴走する機関車のよう。演出のあまりの適当さ雑さに笑ってしまう>>続きを読む
小畑実のヒット曲をベースにした歌謡映画で、香川京子と水島道太郎の恋愛を清冽な抒情とともに描く。これは凄い。メロドラマとしても歌謡映画としても結晶化された表現で完璧。嵐の中の抱擁は映像による交響詩のよう>>続きを読む
誘拐された倒幕派の公家を救出せんとする鞍馬天狗の前に、不気味な仮面の青銅鬼軍団が立ちふさがる。名作『鞍馬天狗 大江戸異変』(別題:角兵衛少年と天狗騒動)のような意欲的内容ではないものの、端正で美しい演>>続きを読む
大映長谷川一夫平次4作目(大映の前に新東宝で1作あるから通算5作目)。新興宗教に天一坊ふうの味付けを加えたスケールの大きい話で、体制による宗教弾圧も視野に入れて単純でない硬派な仕上がり。しかも女への愛>>続きを読む
オープニングから下らなすぎて大笑いした。掛け値なしに素晴らしい。傑作。本人役の方の由利徹(アラカンに明治天皇役を取られて腐っている)と弟子の人見明とのくだりは凄いね
脚本八住利雄。清水次郎長=広沢虎造、吉良の仁吉=高田浩吉、安濃徳=柳家金語楼、角井門之助=伴淳三郎他。「荒神山」の世界に田端義夫と川田晴久のコンビがさまよい込んでのドタバタ時代劇。二人はボブ・ホープと>>続きを読む
森繁久彌が歌手を目指して岩手から東京に出て奮闘する。脚本岸松雄。温かい笑いと森繁・笠置シヅ子・新倉美子の歌にあふれた音楽喜劇の秀作。ちょっぴり苦いラストも良い。エンタツ・金語楼・のり平・田中春男・坊屋>>続きを読む
脚本キノトール・三木鮎郎・小野田勇。四国に左遷された新聞記者森繁が、平家の子孫である令嬢紫千鶴と結婚する羽目になり、新婚旅行に出れば出たで、修学旅行の高校生(!!)三木のり平・千葉信男に付き纏われ散々>>続きを読む
福田純監督が撮った子供向けゴジラ映画はどれも愉快ですが、これはあまりの低予算押し付け仕事にやけっぱちになった末にメキシコのプロレス映画に限りなく接近したゴジラ映画中とびきりの怪作で、見るとワケがわから>>続きを読む
益田喜頓とその娘三人(吉行和子・中原早苗・沢村みつ子)が繰り広げるラブコメディの佳作。中平・市川・川島のような尖った作風とは反対の、善良穏やかでふんわり上品な語り口が心地よい。決して切れ味の良い演出と>>続きを読む
暴力組織の内紛を抱える地方都市に、二人の用心棒が売り込みに現れる。彼らにはそれぞれ別の思惑があった。
二谷英明と郷鍈治なので、思惑と正体がだいたい察しがついて先が読めてしまうし、細部の楽しみにも乏しく>>続きを読む
野村孝監督、二谷英明主演。ダム建設現場を舞台に労働者と工事を妨害する暴力団との闘いを描く。まるで山本薩夫の映画を日活アクション映画の形式に落とし込み読み直したような異色作で、労働者の誇りと連帯、不屈の>>続きを読む
麻薬ギャング団のボス菅井一郎は小沢栄太郎の中国系ギャング団との抗争の中、助っ人に神戸から拳銃使いの二谷英明を呼び寄せる。二谷の正体は勿論あれで、まあプロットはよくあるものだが、随所に小技を効かせた長谷>>続きを読む
高橋英樹・芦川いづみの日活アクション。これは野村監督かなり気合を入れて撮っている。所謂ムード・アクションなので最後の詰めがどうしても甘くなるのが残念だが、細部に常に工夫が凝らされていて演出家の集中が途>>続きを読む
千葉真一✕真田広之「浪曲子守唄」シリーズ三作目(最終作)。役名は同じだが、続きものだった前二作とは別の話、仕切り直しの物語になっている。前のは千葉ちゃんがムショで心を入れ替えたせいで至極ありきたりな任>>続きを読む
陸軍中野学校を題材とした千葉真一の諜報アクション。拉致スカウトから訓練そして海外での特殊作戦までが現実味ゼロの雑さで安っぽく描かれている。低予算白黒、北ボルネオの石油基地アクション部分も完全日本撮影で>>続きを読む
マトリの潜入捜査官梅宮辰夫とヤクを捌くやくざ松方弘樹の絆を描く。原作は飯干晃一。『仁義なき戦い』ヒットでそれいけやれいけと慌ただしく作られたのだろう、麻薬組織の描き方に生々しさや新しさがあるわけでもな>>続きを読む
八木正生クァルテットの音楽に東映らしからぬ洒落たタイトルデザイン。東映版黒シリーズかと思って見たが、どちらかというと梅宮自身の『わが恐喝の人生』と夜の青春シリーズをあわせた感じか。うまいメシ高い酒はく>>続きを読む
宍戸錠そっくりの食い詰めトップ屋竜巻丈次(宍戸錠)が偽札事件に巻き込まれるスラップスティックな無国籍アクション。シリーズ次作の『赤い靴とろくでなし』には完成度で劣るが、全編アクションしながら移動続ける>>続きを読む
シリーズ2作目。カラーになってセットもそれなりになった。ただ、千葉真一がムショで心を入れ替えてダメ親父を卒業してしまったので、1作目にあった批評性が消え、至ってありきたりな着流し任侠映画になってしまっ>>続きを読む
千葉真一の着流し任侠映画シリーズ第1作。健さんにも子連れ任侠映画(『日本侠客伝 斬り込み』67)があったけれど、あれより一年早く中身も異色。これはちょっと変わった作りの映画だ。
千葉ちゃんが演じる主>>続きを読む
カクテル・グラス手にキザな台詞で久保菜穂子くどいたりするんで...これはやはり健さんでなく天知茂とか田宮二郎みたいなもっと都会的な感覚のアウトローがやってちょうどじゃないかしらん。同時代の東映だと誰だ>>続きを読む
高倉健の太郎シリーズ4作目(最終作)。源氏鶏太原作に戻って、主人公は万年[胸毛]太郎に。舞台は北海道、月形龍之介ゲストで、西部劇+水戸黄門、更に更に健さん『森と湖のまつり』がからむ。いきなり、あなたも>>続きを読む
高倉健主演のサラリーマン喜劇、太郎シリーズ1作目。源氏鶏太原作。アクション度強く、健さんのキャラは後の『網走番外地』シリーズと変わらないとっぽいあんちゃんだから、サラリーマンものと言ってもすんなり楽し>>続きを読む
『万年太郎』に続く高倉健の太郎シリーズ2作目。源氏鶏太から離れた棚田吾郎のオリジナル脚本で、田舎から出てきた健さんが女性下着メーカーに就職して活躍する。久保菜穂子や岡田眞澄を話の中心に組み、見た目もお>>続きを読む
高倉健の太郎シリーズ3作目。脚本は1作目の舟橋和郎に戻った。オリジナル。これは船乗りになった健さんが日活小林旭「渡り鳥」シリーズのフォーマットの中で、海運会社のためにサラリーマン喜劇的な活躍も見せつつ>>続きを読む
有名割烹の頑固おやじ進藤英太郎と跡継ぎを拒否してサラリーマンになった長男中村嘉葎雄、二人の対立を軸としたホーム・コメディ。監督渡辺祐介、脚本瀬川昌治・渡辺祐介、『次郎長社長と石松社員』シリーズのスタッ>>続きを読む
監督が瀬川昌治に戻っての6作目。会社が下着メーカーから旅行会社に変わり、進藤英太郎も妻に先立たれて長い独身生活に悶々の設定となった。話は進藤の芸者相手の婚活下半身ネタと中村の子供相手のお涙頂戴ネタの二>>続きを読む
監督が渡辺祐介に変わってのシリーズ5作目。シミロンパンティ進藤英太郎は、ハワイのウクレレパンティ榎本健一と組んで海外販路拡大したいのだが、幼馴染榎本とは会えば喧嘩の面倒臭い仲でもあって、契約がままなら>>続きを読む
監督が飯塚増一に変わった進藤の社長シリーズ4作目。女性下着メーカーのワンマン社長進藤英太郎の娘小林千登勢が外国から帰ってきて、おむつ専門の洗濯屋を始める。監視役を任された石松社員中村嘉葎雄は、男中心の>>続きを読む
渡辺邦男が撮った『続次郎長社長と石松社員』に続く「進藤の社長」シリーズ3作目。前作から進藤英太郎が前に出るようになり、今回はさらに石松の名前はどこへやら中村嘉葎雄がありきたりなサラリーマンになって、完>>続きを読む
フィリピンロケ。フランキー一人二役。始まってすぐに安倍律子に1曲歌わせてタイアップ処理の適当な構成、真面目に取り組んでないので面白いわけがない。しかしこれはひどい映画だな。佐藤允も何のために使ったのか>>続きを読む
これは瀬川監督のナンセンス趣味が割合よく出た佳作。話はあってないようなもので、渥美清が前衛画家の素材になったり前衛音楽グループの一員になったりフーテン族に潜入してハイミナールでラリったりをアハハと笑っ>>続きを読む