くまちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

RRR(2022年製作の映画)

4.1

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「バーフバリ」を超えるエクストリームアクション。
これほど力強く、血肉湧き躍る熱量はまさに映画館で体感すべきだろう。

進化し続けるインド神話の継承者S・S・ラージャマウリ監督が挑むのは1920年代、
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伝説巨神イデオン 接触篇(1982年製作の映画)

3.5

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39話を1.5時間にまとめるのは中々難しい。
そのため各々の精神的成長過程が見えづらく、場面が変わると少し大人になっていたりする。しかし、その繋ぎの部分で劇的場面や要素を的確に押さえており、編集の妙と
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百花(2022年製作の映画)

3.3

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川村元気は自身の体験と当事者たちからの綿密な取材を通して小説「百花」を書き上げた。彼の作品は以前にも映像化されている。「世界から猫が消えたなら」「億男」どちらも主演は佐藤健をむかえメガホンはそれぞれ永>>続きを読む

マガディーラ 勇者転生(2009年製作の映画)

3.2

多くのインド哲学では「再生」「生命、物質、存在の周期性」とする基本理念がある。
「輪廻」とはサンスクリット語のサンサーラに由来し周期的な変化を意味し、それはアートマン(真我)の旅と定義される。
ヒンド
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.0

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切開され、剥き出しで鼓動する心臓のアップから始まる今作。ヨルゴス・ランティモス監督はなんとも観客の不安と不穏と不快感を煽るのがうまい。

外科医スティーブンは眼科医の妻と二人の子供と暮らしているが、多
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ロブスター(2015年製作の映画)

4.0

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近未来という舞台ながら、作品世界を構築するCG等を一切使用せず、映像と音楽とプロットで見せる、流麗な秀作。

独身者はホテルのような療養施設へ軟禁され、45日以内にパートナーを見つけなければ動物に変え
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

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シュールで前衛的、ゴダールのようなアート性が垣間見える。
今作を鑑賞してしまうと「ロブスター」も「聖なる鹿殺し」もより娯楽性に富んでいた事がわかる。
ヨルゴス・ランティモスという映画人を濃縮還元したの
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.0

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原作者平庫ワカは宮崎駿や井上雄彦バンド・デシネ、グラフィックノベル等の幅広いジャンルから強く影響を受けている。
それは語らせすぎない、絵を映像として魅せる作風に繋がり、結果として映画のような性質を持つ
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ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.5

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1971年、ルパン三世のTVシリーズが放送されると、当時としては異色のアダルティな雰囲気に視聴者が追いつけず、対象年齢を下げるという元請けの要求も飲むことができなかった監督大隅正秋は番組降板を余儀なく>>続きを読む

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.3

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ガリレオにせよ新参者にせよ多くの東野圭吾作品はミステリーよりヒューマンドラマとしての価値が高い。
奇抜なトリックやどんでん返しより犯行動機にこそ深淵なドラマ性が付与されている。「真夏の方程式」や「祈り
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アテナ(2022年製作の映画)

3.8

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とある警察の不祥事に端を発する暴動。
そして鎮圧までを生々しく描き出し、ワンカット風の演出により、観客自身が渦中に立たされているかのような没入感がある。こういう作品はせめて劇場で公開してほしいものだ。
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LOU ルー(2022年製作の映画)

3.3

内容や設定はありがちで平凡。
「ボーンシリーズ」「96時間」「スパイ・レジェンド」「イコライザー」「ロックアウト」
元CIAという肩書に限定しても、枚挙に暇がなく、元〇〇の幅を広げれば「コマンドー」や
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.6

1960年代後半、フランスでは女性の権利と地位向上、人工中絶の合法化、家父長制や性役割からの開放等、女性の解放運動が活発だった。
五月革命が起きたのは1968年だが女性民主主義運動(MDF)が結成され
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リオの男(1964年製作の映画)

3.4

「大盗賊」で誕生した奇跡的名コンビ、
フィリップ・ド・ブロカ×ジャン・ポール・ベルモンドによる冒険活劇。

内容はブロカ監督らしく機知に富みコミカル。それでいて奇想天外なのは「タンタンの冒険」を元にし
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ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV(2021年製作の映画)

4.0

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コロナ禍で落ち込んだエンタメ市場のさなか、不撓不屈のハングリー精神で伝説は帰還する。
彼の名はシルヴェスター・スタローン。
コロナで暇すぎて未使用フィルムを再編集した所、またもや名作を生み出してしまっ
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.3

信頼できない語り手、もしくは自身を信用できなくなる設定は古今東西多く存在する。「カリガリ博士」や「バルカン超特急」がいい例だろう。
ミステリーやサスペンスの定石の一つと言っても良い。
ストーリーや設定
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マタンゴ(1963年製作の映画)

3.6

イギリスの小説家ウィリアム・ホープ・ホジスンの短編「夜の声」を原作とし翻案、脚色した怪奇映画。

マタンゴの声は後に「ウルトラQ」「ウルトラマン」のケムール人やバルタン星人へと流用される。

「仮面ラ
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.4

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伊坂幸太郎の作品はどれも東北を舞台にすることが多い。
今作ももともとは東北新幹線が舞台だったのが京都行きの東海道新幹線(を元にしたと思われる)に改変されていた。海外では東北より京都の方が知名度、人気共
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ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.6

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ロッキーシリーズの中で盟友アポロの死という大きな転換期にありながら、ドラマ性が減り、スポ根要素が増える一方で政治的な色が非常に濃い。よって全体的に歪さが際立っている。

ポーリーの愛人、しゃべるドラム
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ロッキー3(1982年製作の映画)

3.5

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成金スターの栄枯盛衰。
「レイジングブル」にてスコセッシが130分で描いたことを100分以内に収めるという挑戦的な試み。

もともとセンスのないロッキーが財力を手にすると、豪邸や家具、ファッション等に
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ロッキー2(1979年製作の映画)

3.7

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ファイトマネーにより多少の収入があったロッキー。メディアも放っておくはずがなくCMのオファーが来る。
不器用なロッキーはセリフを上手く言えず降ろされる。
シルベスター・スタローンは生まれつき顔面麻痺や
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ロッキー(1976年製作の映画)

4.2

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長い下積みの渦中、「モハメド・アリvsチャック・ウェプナー」を観たスタローンがこのレベルの脚本を3日で書き上げたというのだから才能以外の何物でもないだろう。
幼少時より培ったハングリー精神と映画に対す
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アキラとあきら(2022年製作の映画)

3.8

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福澤克雄が演出、監督を務める池井戸作品は過剰に振り切った演技、歌舞伎のような見栄、時代劇のような勧善懲悪と、一見すると漫画のような演出がなされるものが多い。

今作では監督を三木孝浩が担当し、過剰演出
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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.6

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人生の悲喜こもごもを緩やかなテンポで映し出す。沖田修一監督らしさと言うべきか。

「好き」という感情は何物にも勝る激しく強い原動力。
それに近づいた者は巻き込まれ感電し、時には人生を変えられてしまう。
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人斬り(1969年製作の映画)

4.2

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司馬遼太郎の短編を下敷きとして、橋本忍が脚本を、五社英雄がメガホンをとった今作。

荒々しく獰猛で野獣的な太刀筋。
それとは裏腹に繊細で無知が故政治に振り回された純粋過ぎる剣豪岡田以蔵。
決して座頭市
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CAT'S EYE キャッツ・アイ(1997年製作の映画)

1.0

ダサさが充満している。
だからこそもはや愛おしいのかもしれない。出来の悪い子ほど印象深いものだ。

全く知らない「キャッツ・アイ」の世界がそこにあった。

序盤のアニメーション演出は意味がわからない。
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暗殺者(1995年製作の映画)

3.9

「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が脚本を手掛け、「スーパーマン」「リーサル・ウェポン」等のヒットメーカーリチャード・ドナーがメガホンをとった今作。
そこにスタローンとバンデラスとくれば高級食材を
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星の子(2020年製作の映画)

3.6

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今作に大きな事件もドラマチックな展開も何も起こらない。
林ちひろの日々にフォーカスしたドキュメントに近い日常ドラマだ。
両親が新興宗教に傾倒していることを除けば本人はいたって健全な受験生である。

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エクストロ(1983年製作の映画)

3.5

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クリーチャー造形だけで一見の価値はある。
地球外生命体が地球や人間を侵略しにくる話はよくあるが、今作はその中でも特にミニマムと言える。
父親が息子を迎えに来るだけの話だからだ。

光に包まれ、父親であ
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バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版(2022年製作の映画)

3.0

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ドラマ版のシャーロックは原作での語られざる事件「アントールドストーリーズ」をパスティーシュと言う形で拡げたものであり、現代に舞台を移した類似作品は世界中にある。

だが、なぜ日本なのか?

劇場版公開
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処刑人II(2009年製作の映画)

3.1

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前作とはテイストが変わり青春映画のような趣がある。

犯人を追うユーニス特別捜査官は、前作におけるスメッカーのように頭脳明晰でプロファイリング能力に長ける。
しかし中盤でマクマナス兄弟の信者であること
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処刑人(1999年製作の映画)

3.8

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彼らは怒りを抱えていた。
マクマナス兄弟は虐待や暴力が蔓延る社会に対して。
ロッコは自分を見下す者たちに対して。
ポール・スメッカーは殺人を繰り返しながらも世論では英雄視されている犯人に対して。
各々
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コブラ(1986年製作の映画)

4.0

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ベトナム帰還兵であるランボーほどの悲哀はないが、やってることはほぼランボー。
何も考えずに楽しめる80年代のマッチョイズムが爆発した娯楽映画。

細かな設定や演出で情報過多な現代の映画と比べてもいたっ
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バイオレンスアクション(2022年製作の映画)

3.0

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原作の1巻に収録されている独立したストーリーを無理やり一本にまとめた感じ。無理やり繋げれば歪になるのも仕方があるまい。

流れる洋楽との親和性は高く、やりたいことは伝わる。本来肉体ではなく映像で見せる
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微温(2007年製作の映画)

3.5

今泉力哉の原点は自主制作した短編映画にある。当時は友人に出演してもらったり制作費1本10万円程度で作っていたそうだ。
予算がなければ凝ったエフェクトや大掛かりなセットは使えない。
今作に登場する小物も
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劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-(2013年製作の映画)

4.7

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社会人は常に仕事や家庭に振り回され、理想と現実の齟齬に悩み続ける。
理想を優先させれば非常識だと淘汰され、現実を優先させれば夢がない、目標がない、やる気がないと思われる。

何事にもそのバランスが重要
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