きゃしーさんの映画レビュー・感想・評価

きゃしー

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それぞれのシネマ 〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜(2007年製作の映画)

3.7

カンヌ国際映画祭の60周年を記念する、
世界の映画監督30余名それぞれの「映画館」をテーマにした短編集。

短編集といえどまとめられており、
作風が徐々に独創的なものになっていく並び順には批評精神が漂
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.7

斬り込んだ社会派で、ユーモアもたっぷりだが終始ほのぼのしている、そんな作品だ。

ある日、得体の知れない何者かが地球に辿り着く。
それでも学生たちの日常は、変わらない。
その日を境に世界は変わったはず
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(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

タイトルが秀逸で、タイトルバックもカッコいい。

首。
名も残らないような者たちのそれは次々に斬り落とされ、
名を残すような者のそれはやがて栄誉の象徴となる。
天下を取れなかった明智は執着し、のちに天
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藤原義江のふるさと(1930年製作の映画)

-

85分版、国立映画アーカイブにて。
日活第一回トーキー映画。

▪️トーキーに関する備忘
半分以上聞き取りづらく、英語字幕のほうで内容を理解するという逆輸入チックな鑑賞。
(ときおり日本語で画面いっぱ
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ふたり(1991年製作の映画)

3.9

どこかで一度は感じたことのある感情が、
登場人物を通しありありと蘇る。
それは言葉にするには苦しく、
感じるには躊躇いを伴うような感情である。

150分の流れの中で、
まばゆいほど瑞々しい姉妹の世界
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.6

Filmarks試写会にて。

うらら(芦田愛菜)と雪(宮本信子)の歳の差は58歳という設定だが、
ある漫画を通して仲が深まっていくというストーリーに、
違和感なく入り込むことができた。

うららの幼
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恋は光(2022年製作の映画)

3.5

完成披露試写会にて。

予告編で受けた印象よりずっとよかった。

自然に綺麗な映像を作っているため流してしまいそうになるが、フォーカスや色合いにさりげない拘りが感じられてよい。
東雲のカメラ目線やどア
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オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)

3.7

同じ時代を生きたことがないからか、
オードリー・ヘプバーンという人は
可憐である、という印象しか持っていなかった。

また、こう思っていた。
なぜこの特段節目でもないように思われるタイミングでドキュメ
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.7

義理とか人情とか、
そんなこと考えもせずに働いてる人が多いんじゃないかと思えるこのご時世。
叶うなら巻き込まれたいほどたしかな人間模様に涙した。
キャスティングのレベルの高さゆえと思う。

なかでも、
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藍色夏恋(2002年製作の映画)

4.0

男か女か、も
好きか嫌いか、も
二択で決まるものではない。

恋人か友達か、もそうだ。

自分の価値観は?
相手をどう思うか?
そして、相手にどう思われたいのか。

全部素直に向き合って
答えになる前
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.7

アニメーションとしては初めてカンヌで審査員特別賞を獲り、ヒップホップ界隈でも名を博しているフランスの作品。漸く観られた。

恐らくずっと遠い昔、
ドラーグ人(巨大)が支配する惑星で、
人間達はちょこま
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.8

Rotten Tomatoes 100%!
バラク・オバマ大絶賛!

...これは気になると思っていたところ、
Filmarksオンライン試写会で拝見する機会を頂けて大感謝。

黒人はいいぞ、
生まれ
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.8

ほぼ全てのショットがスチル。
ともすればスライドショーだが、モノクロを生かした画角と圧巻の編集センスにより、時の流れを自然に感じる。

一貫して第三者のナレーションベースであるにも関わらず、主人公の感
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ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

3.8

ビフォア三部作の三作目。

一・二作目よりは随分現実的なお話。
二人は変わらず生産的で、ユーモラスで、愛のある会話をするが、今度は真夜中まで一緒にいられるかあやしい関係。

三作通して二人の考えにかな
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ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.0

ビフォア三部作の二作目。

一作目の観賞直後に観てしまったが故に
全くもって冷静な判断ができないが、
最高の続編である。

冒頭はありがちな設定だが、
二人の間を流れた空白の9年と
未来を動かしうる夕
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.1

これぞベスト・ロマンティックムービー。
ビフォア三部作の一作目。

二人が共に過ごせるのは、夜明けまで。

限りなく手が届きそうで、
それでいて
どこを探しても見つからない、
誰もが恋焦がれるような永
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散歩する惑星(2000年製作の映画)

3.8

ロイ・アンダーソンの3部作「リビング・トリロジー」の1作目。
なんと構想20年、撮影4年。

不景気で荒れた社会を生きる人々に降り掛かる物理的・精神的事象を、巧妙かつ大胆に暗喩しており、非常にメッセー
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それでも恋するバルセロナ(2008年製作の映画)

3.5

オーブンに反射するフアンとクリスティーナの脚がよかった。
だがもっとバルセロナに囚われ、魅了されたかった。主題曲に合わせて。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.7

幸せいっぱいに笑うとき、もどかしげに戸惑うとき...どの「佐知子」を切り取ってもその表情はとても美しく、口元が緩みっぱなしの100分だった。石橋静香、半端ない。

リアリズムの宿(2003年製作の映画)

3.7

場面切り替えの妙!

画やバックミュージックのセンスもいいし、
くるりのエンディングもいいけれど、
想像していたより半呼吸早く、
さらりとバチッと目を惹きつける場面切り替えがとっても気持ちいい。

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その夜の妻(1930年製作の映画)

3.9

妻の度胸に痺れ、夫の義理に感服し、刑事の人情に戸惑う...。

随所で手がクローズアップされ、感情が浮き彫りになるからこそ、ラストの手、腕の演出が光る。

ノートブックに何を書くか、というセンスもいい
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君が君で君だ(2018年製作の映画)

4.0

ちょっと刺さってしまった、、、

映像美とか映像のマジックみたいなものはないし感情が大きく揺れるとかもないのだけど、

龍馬と尾崎とブラピを名乗る3人組が純情なストーカーをやってるだけ(?)の話なんだ
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転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)

4.0

大林宣彦御大、昨年TIFFでの特集上映後、体調が優れず登壇中止になり、お話を拝聴できなかった。本当に残念だった。
明日NHKで特集をやるらしいのでそれを楽しみに待っている。

この作品の原作「おれがあ
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ラッキー(2017年製作の映画)

-

「つまらん雑談をするくらいなら気まずい沈黙のほうがましだ」ってかっこいい。確かに。

ハーモニカで感情を表現したり、不気味な赤色が効果的だったり。

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

-

『DUNE』の製作が失敗したからスターウォーズは人気を博したのかもしれないし、仮に『DUNE』の製作が成功していたら、スターウォーズは誕生しなかったかもしれない。
スターウォーズ、ブレードランナー、マ
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.2

技巧的なカット繋ぎの畳み掛け、
終始謎の遺言とされる「バラのつぼみ」の演出方法の秀逸さ、
さりげなく、でもどこか頭の隅に残るような伏線を張り巡らせる演出力の高さ、
いやそういえば構成だっておもしろい.
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ステップ(2020年製作の映画)

3.6

Filmarksオンライン試写会にて。

このキャスティングで重松さん原作ならもっと心に刺さるものにできたのでは...
と思う一方、めちゃくちゃがっかりすることもなくそれなりに優しい気持ちをくれて想像
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.1

4時間という長尺でしたが、全くしんどくありませんでした。すごい。
冒頭少しうとうとしたのは秘密。

上映時間の長さに躊躇したけれど、結局観に行って、観に行けて、本当によかった!

画面いっぱいに死の匂
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

3.6

締め切りぎりぎり投稿、、、

人だけではなく「街」も主役だから
引きの画を多用したとのこと。
水辺はもちろん、日常の切り取り方なんかもう、浮世離れしているみたいに美しい。

ほとんどのカットを完璧にキ
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

3.6

シニカルな会話劇が痛快でよい!

カメラ(観客)を観るというタブーを犯し、
ショットを2画面で割り、
人間の身と心を分離させて映すアレンを
"攻め"とよぶべきか、
"実験的"というべきか...。

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ヴィオレッタ(2011年製作の映画)

3.4

ヴィオレッタ、怖いくらいに美しい。

祖母の祈りと母親の右手が気になる。
なんのメタファーなんだろう。

実話と聞くと驚くが、
フィクションとしては期待ほど狂っていなかったのが残念。

ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

まごうことなき最高評価。
2019年現在、『ジョーカー』はこの世の全てを描き切ってしまった。

※直接的なネタバレはないけれど少し核に触れているので、気になる方はここまでで。
※観賞2回目で発見したこ
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.9

是枝さん次回作公開記念、
カトリーブ・ドヌーブ主演作、
かつカンヌパルムドール。

場面に応じた色彩の使い分けが非常におもしろい。それだけを観るためにもう一度観てもいいくらい。

セリフは全編ミュージ
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.8

歌や踊りを披露する生徒たちの技芸が魅力的。タレンタイムのオーディションでは審査員として参加しているような気分を味わった。これがとても楽しい。

劇中歌・挿入歌の魅力に加えて、練られた群像劇の伏線回収の
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