ふかいさんの映画レビュー・感想・評価

ふかい

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関心領域(2023年製作の映画)

4.3

ミカ・レヴィの独特すぎる音響感覚が凄すぎる、それだけで映画館で見る価値はある
基本は淡々としたホームドラマなのだが随所に見える差別意識がおぞましい
子供達がアウシュビッツの真似事をしているような部分と
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.4

本当に吉田恵輔はオールウェイズレベルの高い作品を提供してくれるな…
「空白」に引き続きシリアス路線だけど、笑っていいのかわからない、でも笑っちゃう小ネタが随所に盛り込まれていて飽きさせない。緊迫した場
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不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

4.2

松居大悟は何を撮っても面白いという確約ができつつある。ある種マジックが起きているという点で思い入れ度は「ちょっと思い出しただけ」の方が上だが、脚本力、映画としての見せ方という点では確実にランクアップし>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

3.6

いくらなんでも長い気がするなあ。「寝ても覚めても」のラストはここから来てたのか。ハイキングの途中でトラックの荷台に乗る愉快なシーンがピーク?

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.4

以前シモキタk2で途中まで見たのだがトラブルで止まってしまったのでリベンジ。
冒頭の結婚式駆け落ち(まさかの女性同士!)から濱口節全開。今回も奇跡のような瞬間がたくさん撮れている。「パリテキサス」ぽい
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ヒア アフター(2010年製作の映画)

4.5

傑作だなあ…!語り口はこれ以上ないほどスマートな群像劇で、基本的にはストレートに話が進んでいくが、冒頭の津波や途中のテロなど、非日常な瞬間が何の前触れもなく訪れるので、その対比が素晴らしい。
料理教室
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(1960年製作の映画)

4.1

鍵穴からの潜望鏡ショット、どうやって撮ったんだ?ひたすら床を砕く、流石に音立て過ぎ。小包の渡し方のクセ!肩の上に立つところサイレント喜劇っぽい

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.0

「突然炎のごとく」というタイトルそのものでしかない衝動。突然プールに飛び込む、突然川に飛び込む。テンポのいいカット割りと棒読み演技はわりと好き。ただジャンヌ・モローよりもマリー・デュボワの方が圧倒的に>>続きを読む

夜霧の恋人たち(1968年製作の映画)

3.9

娼館に行くタイミングが自分の兵役除隊と雇い主が突然死した後。テンポよく話が進んでいくのでトリュフォー作品の重苦しさは無い。花瓶自体じゃなくて花束だけ投げるの面白すぎる。
栓抜きが婚約指輪。
ストーカー
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.3

昔から映画に「重み」付けを直感でしてしまうクセがある。例えばPTAの映画だと、「ゼアウィルビーブラッド」は圧倒的に重くて、「インヒアレントヴァイス」は軽い。
近年の濱口作品では、「ドライブマイカー」が
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

ドラッグ描写が大変見事。あそこから虚実の境目がどんどん曖昧になっていき、唐突な場面転換が何度も起こる。
死んだ両親との再会という最もドラマチックになりそうな部分を何の説明台詞もなくサラッと描く大胆さ。
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.6

アジア人と西洋人の関係性を一方的に推測する第三者の視点から入るのは良かったが、そこからは特に新しさを見出せず…あまり良くない意味でふつうの映画だった

マグノリア(1999年製作の映画)

3.6

高校時分に見た時はその語り口の斬新さで圧倒されてたけど、今見返すと明らかに失敗作だなってことがわかる。PTAも後々あと20分短くすればよかったって言ってるように、もっとコンパクトに出来たと思う。ラスト>>続きを読む

ザ・マスター(2012年製作の映画)

4.5

高校生ぶりに見返したけど、こんなに面白かったのか…!!
「ブギーナイツ」の系譜で、マスキュリティでがんじがらめになる男をPTAは描いてきたけど、この究極形が出来たから次作から別のモードに入ったんだな…
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.3

急に見返したくなって10年ぶりくらいに再見。
こんなにもストレートな一代記。ダニエルにとっておそらく1番脂が乗っていた(文字通り!)時期をバンバン省略して、色々な不幸が重なる場面をピックアップしてるか
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.4

次々に強い仲間を引き連れていくところとか、王道のチーム映画として存分に楽しめた前半。映像としてのIMAXの必然性はそんなに感じなかったが、音がやはり重要なんだなということを実感した。矢継ぎ早の台詞回し>>続きを読む

みんな〜やってるか!(1994年製作の映画)

4.1

10年ぶりくらいに再見。
やはり殺し屋の展開くらいまでは超絶的な面白さ。「ソナチネ」というある種北の映画の完成系のような作品の後にこのナンセンスギャグ連発みたいなのをやりたかったのも痛いほど気持ちがわ
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わたしの見ている世界が全て(2022年製作の映画)

3.2

構成や展開は「ひとよ」とか「ハッシュ!」とかを連想した。俳優たちの演技も特に響かず…

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

世界で1番過ぎるのが早い166分だった。
もはや人智を超えた驚愕映像のつるべうちで、これが最初は1人の人間の頭の中から生まれたものだという事実にまた唖然とする。シャラメがサンドウォームに跨る場面で叫び
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市子(2023年製作の映画)

3.3

面白くなりそうな瞬間は多々あるのに、それがどうも途切れてしまって引き込まれない(時間軸のばらつきがあるからしょうがないともいえるが)
似たテーマで言えば「さがす」の方がよっぽどエンタメ度は高かったし、
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

「エル・スール」を連想させる階段から転げ落ちるボールのファーストショットは上下関係を表す表現としてはやや類型的な気がしてウッとなったが、そこからは脚本の力だけで押し切るような映画にシフトチェンジするの>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.4

「哀れなるものたち」はルールの中で無茶苦茶やってるって感じがめちゃくちゃハマったけどこっちは無法地帯すぎてちょっとのれなかった
あと自分が普段見てる夢に近すぎて起きてるのか寝てるのかよく分からない時間
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.2

つまらないと言いづらい雰囲気があるが流石につまらない。ラストシーン以外は特にオッと思わせる箇所もなく、ただただ平凡な会話劇で退屈。エリセだからどこかにいい所があるだろうと頑張って探したけど、特になし。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.8

言葉を選ばずに言うと、こんなにニュートラルで色が無い題材ながら、三宅唱節としか言いようがない映画に仕上げてしまうその作家性(その多くは16ミリフィルムの質感に依っていると思われるが)に驚く。
暗いオフ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

ここまで破茶滅茶ながら全てが整然とされている映画は見たとがない。全てが未体験の映画ながら、どこか懐かしさも感じさせるという奇跡的なバランス(ダンスしながらのドタバタとかチャップリンみたいだし)
表現っ
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.2

やっぱり小津はカラーの方が圧倒的に映えると思う。成瀬に対してはそんなこと思わないのに、なぜだ。
いつもの小津作品とは異端のものが多く登場するので、見応えがある。突然の外国人の彼氏や、森繁久弥の芸達者っ
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東京暮色(1957年製作の映画)

4.0

こんなに重くて暗くて長い話なのになぜ集中してみつづけられるんだろう。恐るべき小津マジック。有馬稲子はあまりにも肝が座りすぎているし顔も超整ってる。布マスクを外すまでの間がすごい。珍珍軒の親父と、お見合>>続きを読む