ゲジさんの映画レビュー・感想・評価

ゲジ

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関心領域(2023年製作の映画)

3.3

かなりドキュメンタリータッチ。
ナチスが題材の映画にして、ユダヤ人の視点が一切なく、ナチス家族の日常にフォーカスしたつくりがおもしろい。

壁一枚を隔てて、呑気で贅沢な生活と、残忍で心のない収容所が近
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永い言い訳(2016年製作の映画)

4.1

西川美和さんの作品は初めてだったのですが、かなりおもしろかったです。早く他作品も観てみたい。

人のイヤな部分を見せるのが極めて上手い。
冒頭の散髪シーンから引き込まれる。

もっくんが誕生日会で見せ
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

3.9

作品としての緩急が見事だなぁと思いました。
全体的には主人公の語りでテンポよく見せながら、大事なシーンでは映像を止めてみたり、コマ送りで演出したり。

子どもたちが何の疑問も抱かずに人殺しや強盗をする
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.2

とてもいい映画でした。食が人の心を豊かにする瞬間を見るのは、やはり嬉しい時間。

「貧しい芸術家はいません」
心を掴まれたセリフですが、料理人も芸術家だったのかとハッとしました笑。

人物の表情や行動
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.8

切り取られた自然の景観、そのそばで営まれる暮らしがまぁ美しいこと。濱口竜介監督にはこんな引き出しもあるのかと思いました。

車内での会話劇は、ドライブ・マイ・カーよろしく最高でした。ふたりの温度感がい
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スリーパーズ(1996年製作の映画)

3.5

すごく豪華なキャスト陣で、重たいテーマながらも、いつみなさんが出てくるんだ?のワクワク感アリ。特に、ケヴィン・ベーコンのヒールっぷりには感服。

ただ、丁寧につくられた映画だとは思うのですが、ストーリ
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正欲(2023年製作の映画)

4.1

邦画らしいじっとり感もありながら、
メッセージ性があっておもしろかったです。

人を慮ることは当然必要で、人の大切にしていることを踏みにじる権利なんて、誰にもないよなと強く思いました。

トーンは低め
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駅馬車(1939年製作の映画)

4.2

シンプルながら、おもしろかったです。
西部劇なのでアクションメインかと思いきや、人間ドラマで引っ張っていくところが好き。

細かいセリフや行動が小粋、飲んだくれのお医者さんがずっと最高だったな。

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田園に死す(1974年製作の映画)

3.8

死のイメージが強い恐山を背景に、生と死の両方を描いていくつくりで、そこにハッとさせられました。

寺とセックスを結びつけるのすごいなぁ〜。
性への目覚めともとれる描写が多かったことも印象的。空気女のエ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.6

キリアン・マーフィーの思い悩んだ表情が絶品でした。拍手で迎えられたオッペンハイマー、歪む視界、炭化した人間、あそこの演出も素晴らしかったです。

苦手のノーランではありますが、伝記映画というのもあって
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.4

ジャンヌを演じている女優さん、表情で語り続ける演技がすばらしい。ツーっと流れる一筋の涙も感情表現として効果的。

冠をちりとりで持ってかれそうになるシーン、物静かだけども、個人的には一番の盛り上がりで
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.5

久しぶりに観ましたが、
とんでもなくおもしろかったです。

音楽がものすごくいいですね。
テーマ曲もそうですが、かかるタイミングが効果的で。

自分を殺して、生まれ変わる話なのかなと今回は思いました。
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

3.5

東西冷戦真っ只中の時代に、こんな作品を撮ってしまうキューブリック。

水がソ連によって汚染されてるとか、フッ素を混入するとか、将軍の言い分は、ちゃんと聞いてもさっぱり意味がわからなかった笑。

博士の
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.1

脚本がダメなのかなぁと思いました。
いくらなんでも説明的過ぎる。

虐待、介護、性自認など、社会を映すテーマが盛り沢山なのはいいのですが、その内容を消化することに終始しているように見えました。

セリ
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黒猫・白猫(1998年製作の映画)

3.9

粗削りな映画ですが、その雑さが、おおらかさが良かったです。

アンダーグラウンドに続いて、2本目のクリストリッツァ映画でしたが、動物・音楽は作品の共通項なのかな。

生きていることをすごく肯定的に捉え
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.6

じわ~っと暖かさが残る読後感。
これほどの作品をつくれるなんて、邦画もまだまだ捨てたもんじゃないですね。

人と人のほどよい距離感を会社の人たちから感じました。突き放すわけでなく、世話を焼きすぎるわけ
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トラック野郎 望郷一番星(1976年製作の映画)

4.5

久しぶりのトラック野郎、最高だ!
まさかの上沼恵美子、若くてびっくり。

ジョナサン一家が北海道に集合したり、都はるみの盆踊りでお弔いしたり、付録の細かいストーリーもいい。

当て馬と振られる一番星を
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.9

うーん、頭を抱えてしまいました。
ちょっと自分には合わなかったです。

街やアパートでボーが出くわすのは理由のない理不尽さであるのに、実家で突きつけられるものは、ある程度意味が乗っていて、頭が混乱しま
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

3.9

衣装・音楽・映像抜群、オシャレな映画でした。安易に直接的な性描写に逃げてないのもいい。

よく雨の降る映画なんだけど、雨をきっかけにお互いのやり取りが生まれる所は好きですね。

同じ会話・文言を繰り返
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.1

好きなタイプの映画でした!
めっちゃ刺激的で独特ながら、根っこのテーマはストレートに伝わってくる。

人間、日々前進。ラーメン屋の貼り紙だったらケッとなる文言も、ベラが言うと自分もそうありたいなと素直
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

3.5

特にこれといって目新しさはありませんでしたが、映画自体の持つ雰囲気はそれなりに好きです。

タイトルにもなっている、ユリ畑にふたりでいるショットが大きな見せ場。

福原遥さんと水上恒司さんがふたりで喋
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アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

3.8

かなりとっ散らかった内容ではありましたが、画面から伝わってくる熱量にハッとさせられる。

圧巻だったのは音楽隊の演奏。
予告編にもなっていた、ナタリアが戦車で躍り狂うのも納得しちゃう。

内戦の戦場、
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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.2

コーエン兄弟への苦手意識、今回も払拭ならずでした。自分には難しいです‥。

人のイヤな部分、傲慢さとか独りよがりを描こうとしてるのかなぁ。作家の話題になったときのバートン・フィンク、トーク止まらねぇ。
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ある男(2022年製作の映画)

3.8

すごく豪華なキャスト陣で、そこが驚きの連続でした。特に安藤サクラさんでしょうか、泣きの演技がすばらしい。

人の身辺調査をしながら自分自身を探しているというか。人探しと出自による差別を重ね合わせていく
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.1

かなりおもしろかったです。
テーマ性、ストーリーの推進力、撮影、どれを取ってもすばらしい。

国がほんとうに不当な行いをしでかしていると分かったときに、自分は立ち上がれるだけの勇気があるだろうかと。
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さがす(2022年製作の映画)

3.7

伊藤蒼さんの演技すごい。画面に引き付ける力。これからがめっちゃ楽しみな女優さんですね。

ここ最近の重たいテーマを扱った邦画はよく出来た作品が多い。奥さんの卓球場での表情なんて。

実際の逃亡犯の足取
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.9

サブカル色が全面に出ていて、音楽・ファッション・映像がオシャレでした。

周りをちょっと小馬鹿にしてるメンタリティ。真に自分のことを理解してくれる人っていないよなって感覚もわかる。

あのバス停にバス
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赤線地帯(1956年製作の映画)

3.6

暗転多めで、場面・場面を短めに見せながらも、けっこう残酷な内容っていう。

奥さんの商売を間接的に最低と言っちゃう旦那、気が狂って歌を口ずさむお母ちゃん。

オチのつけ方が好きですね。あの初々しさも、
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

大迫力の戦闘シーン、VFX、劇場映えする作品。ゴジラが熱線吹く演出好きですね。

佐々木蔵之介さん、かっこよかった!
敷島の胸ぐら掴むシーン◎

ただ、個人的には敷島のキャラがあんまりだったかなぁ‥。
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桜桃の味(1997年製作の映画)

3.6

切り取られる風景が心に残る一本。

セメントつくる様子とか、砂利やら砂が落ちる映像がなんでこんなに美しく見えるのだろう。

作中で自殺を決意した理由がはっきり描かれはしないけれど、もとは兵士だったとか
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.7

村の空気感、言葉づかい、人々の暮らしがとてもリアル。声を聞き取りづらい場面も多いんだけど、それが臨場感を生んでるというか。

村人・自警団の暴力が、ひとりの行動からせきを切ったように始まり、見境のなく
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

素晴らしい演奏と引き込まれる人間ドラマで、とてもおもしろかったです。

人物描写が丁寧だなあと思いました。
JASSの三人だけでなく、周囲の人も。
玉田を追ってたおじさん良かった~。

ジャズ演奏も大
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(2023年製作の映画)

3.5

たけしさんの新作ということで、楽しみにしていた作品ではあったのですが。

大枠のストーリーが案外史実通りに行くんだってことで、若干肩透かし食らった感じはあったかな。

有名な武将を魅力的な俳優さんたち
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プレステージ(2006年製作の映画)

3.1

ノーランの映画はかなり苦手な部類なのですが、今回も多分に漏れずでした‥。

せっかくマジックを扱った映画なのに、そんなことやり始めたら何でもアリというか、セコいなぁと。

シリアスでまとめてきたはずが
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パピヨン(1973年製作の映画)

3.6

マックイーンの役づくりがすごい。
屈強さ、弱っていく様子、白髪頭。

ダスティン・ホフマンも演技上手い~、彼が出演してる70年代の映画って、ほとんどハズレないのでは。

随所で挿入される現実ではない描
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あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

3.9

画面中に瑞々しさを携えた映画だなと思いました。タイトルも非常に秀逸。

この頃のたけしさんは、終わっていくものというか、はかないものを切り取る力が突出してたんだろうな。

彼のサーフィンを見つめる彼女
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