fmkrさんの映画レビュー・感想・評価

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関心領域(2023年製作の映画)

4.3

強制収容所の隣で幸せに暮らす家族の話。
ホロコーストを題材にしながらも、完全に私たち一人ひとりに向けられた話だった。

関心を寄せても、あえて見ないようにしても、もっと優先すべき(と考えている)ことが
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.0

しみじみ、いい映画。
34歳の女性が6歳の子供のナニーとして過ごすひと夏の話。
フィジカルとメンタルともに、女性として生きる上で尽きない悩みをこんなに軽やかに描けるなんて。
子供ならではのまっすぐな視
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.8

現状に焦っているけど、自分のこともよく分からないし、どうすればいいのかも分からないし、とりあえずなんかやっても全然しっくりこない…みたいな姿がとてつもなくリアルに描かれている。すごい。

ロメール作品
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.7

公開からル・シネマで満席に近い状態が続いているのも納得。今年の邦画ベストかもしれない(今年どころじゃないかもしれない)。
含みを持たせているラストで、それまでのストーリーを振り返りながらあれこれ解釈を
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.5

バリー・コーガン、適役すぎる。
それに尽きる。

異人たち(2023年製作の映画)

3.5

山田太一の小説の映画化。
喪失感や寂しさ、孤独が様々な表現で描かれていく。
印象的な台詞がたくさんあったのに、個人的にあまり入り込めず…後でもう一度見ようと思う。

そしてアンドリュー・スコットもポー
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.8

沈黙を意識して作ったというインタビューを見かけたけど、言葉にせずに表情や空気感で表現される感情の数々に心が揺さぶられ続けて、ボロボロ泣いた。

パンフレットに載っていた監督の言葉が素敵だった。
「その
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.0

個性的なキャラクターたちと賑やかな音楽で、自国ユーゴスラビアの戦争をコメディにして描くパワフルさと、悲しい史実との対比が強烈。

作品の冒頭で出てきた「昔あるところに国があった」という言葉が、ラストに
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

この感情は正しいのか、と自問自答しながらの鑑賞。
(そもそも感情に正解不正解はないが…)

役割やその境界線はありながら、割り切れない感情や苦悩が痛いほど伝わってくる。
自身の興味と周囲の期待に応える
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.2

ピアノが自分の声で、ピアノは自分の体。
ピアノへの扱いは自分への扱い。と捉えているようにも感じた。

直感的、本能的、感情的。

言葉にしなくても意思の強さが伝わってくる。

もっと余韻、余白を楽しみ
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

これでもかと風刺と皮肉が効いたコメディ。
表面化している問題を知っただけで、全てを理解した気でいることが、さらなる偏りを生んでいる。
属性ごとに"きっと抱えているだろう"と期待されている問題以外にも、
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

ある男性の死の理由を、彼の妻と息子、状況から探る話。

その曖昧さや危うさ、主観と客観、第三者の無責任な興味。
誰のことを信じるのか、誰のことを信じたいのか、によって"真実"は簡単に変わる。

本当の
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

夜が深くなるころから空が白みはじめるまで、5つの都市でのタクシードライバーと乗客の会話劇。
愛すべき登場人物たちを、それぞれの都市の色と一緒に楽しめる。
夜に部屋を暗くしてのんびり観たい映画。

正欲(2023年製作の映画)

3.8

変えたくても変えられない自分にまつわる色々が、他から見て"普通"ではないときの、絶望、諦め、孤独。
理解してもらえるなんて思ってもいないし、できるのは見つかって晒されないようひっそりとしていること。
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.9

女友達のロードムービー。
最初と比べものにならないほど、どんどんパワフルに変わっていくふたりの姿がものすごくかっこいい。

見終わった後は悲しさと清々しさが混在して、この写真のふたりを見ると泣きそうに
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

恥ずかしながら初めての小津作品。
70年前の作品とは思えない色褪せなさ。
親子、家族はいつの時代も難しい。
若者の理想と、老いたからこその受容。
素晴らしい作品でした。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

胎児の脳を移植された女性の成長譚。
世界の心地よいだけでなく残酷な面に接しながら、どんどん変わっていくベラがとてつもなく魅力的。
社会の常識とは、女性の自由とは、セクシュアリティとは。
自分の価値基準
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雪山の絆(2023年製作の映画)

3.8

ものすごかった…
単なるパニックムービーでは絶対終わらせられない傑作。
絶望感や生への思い、信仰心まで、それぞれの感情の揺れを丁寧に描いていて、感情移入しながら見入ってしまった。
帰還者たちのその後が
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街のあかり(2006年製作の映画)

3.7

ダメ加減に思わず笑ってしまうけど、切ないよ、コイスティネン。
ほんの少し救われる結末だけど、大丈夫だろうかコイスティネン。

ほぼ無表情のキャラクターたちが作り出す余白に思いを巡らすのが楽しい。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.2

なにが善でなにが悪か、義か。
法律だけではなく社会の構造や個人の意識によってもその境目は曖昧になる。
物悲しくやり切れない作品でした。

(2023年製作の映画)

3.7

こちらで今年の映画納め。
テンション的には納まったような納まらなかったような…
暴力、死、欲望がぐちゃぐちゃに渦巻く中に、コントみたいな笑いも放り込まれて、混沌、おもしろかったー!
先に観た友人が、こ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

キャッチコピーの通り「こんなふうに生きていけたなら」でもあるし、「それでも生きていく」とも思えた。

単調な日常の中に時折起きる出来事が、葉が風で揺れるように感情を揺らし、揺れた葉で日の当たる場所が変
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ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.0

観た後の感情は、心底最悪。
それでも観るべき作品だと強く感じた。

信じたくないけど無知による酷い偏見は実際にあって、それに対して何ができるか。。

ワンカットで撮影されたことへの凄さも観て改めて分か
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.7

初めてのアキ・カウリスマキ作品。
面白かった!
ローテンションなキャラクターたちの感情の動きが時々垣間見えるのが楽しい。

ただ、
夫よ、しっかりして。

クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

2.7

素敵な台詞も散りばめられながら、もっと坂元裕二っぽさを見たかったな、という気持ち。

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

中国の農村部を舞台に、貧しい農民の夫と体に障害がある妻の生活を描いた作品。
エンドロールを眺めながら、エンドロールが終わっても、いつまでも余韻で心が揺れる。

ラストシーンでは涙が流れたが、なぜ涙が出
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(2023年製作の映画)

4.0

4日間を締めくくる今作も最高!
固定アングル、表情と声だけで緊張感をビシバシ伝えるカンバーバッチ、すごかった!

秋の夜長に贅沢な4日間を楽しませてもらいました。

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.7

今日の作品は、ちょっと不気味でダーク。
人間とねずみの境目が曖昧になる演出が面白い。
こちらも濃すぎる17分。

白鳥(2023年製作の映画)

3.8

2本目の白鳥。
ロアルド・ダールとウェス、なんでこんなに相性がいいんだろう。
短い作品なのに、物語の奥行きと音楽がなくたくさんの仕掛けが続く映像で、独特の世界にどっぷり浸かれる。

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.0

今日から配信が始まったNetflixでのウェス・アンダーソンの短編第1弾。
原作がロアルド・ダールという、それだけでワクワクなのに、本編も最高。
朗読劇かと思うほどの台詞量に夢中になっていたらあっとい
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

楽しみに待っていたウェスの新作!
いつも通り、ポップな世界観に反して、次々と早口で繰り出される台詞と、感情の抑揚の少ない愛すべきキャラクター達。

どこか物悲しい大人たちと素直な子供たちのコントラスト
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