d3さんの映画レビュー・感想・評価

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アポカリプト(2006年製作の映画)

4.3

序盤から終盤まで緊張感が張りつめる展開。
「日常のなかに突然入り込んだ暴力によって殺されるかもしれない」実に牽引力のある設定だ。
そして構成や見せ方も一本調子ではなく、観客を飽きさせない。

決して明
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.2

過去と現在がつながる物語においては、どちらのパートが欠けても成立しない。
本作は子役が見事であり、そのことが現代パートに十分すぎるほどの説得力をもたらしている。

原作を読んだは、「外野の人は好き勝手
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MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

3.4

続編の2を再生しかけたところ前作の人間関係が持ち込まれているようだったのでこちらを鑑賞。

ちょうど欲しいエンタメを提供してくれる良作だった。ただ、サメ映画として満足度が高かったがゆえにしばらく2はい
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.5

先ごろ観たNetflixドラマシリーズ「ジェントルメン」で楽しませてくれたガイ・リッチー監督作品は、優雅な大人のスパイアクション・コメディだった。
ジェイソン・ステイサムはスマートに任務をこなす姿がよ
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

「いい人間か悪い人間か ?」と問われ、「わからない」とマッコールは答えた。

自分こそが正義であると考えるような強すぎる信念は一見正しく見える行動の基でも危険である。

マッコールはよき人々を救い守る
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シン・ちむどんどん(2023年製作の映画)

3.9

カメラは正直だ。現場では気づきにくいわずかな挙動さえ余さず記録する。
前作に続いて非常に興味深い選挙ドキュメンタリーであった。

たとえ選挙に勝ったとしても、マイノリティの民意は反映されない。堅固な権
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劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室(2023年製作の映画)

4.0

ドラマシリーズも迫力満点だったが、さらにパワーアップした劇場版。命の現場ならではの緊張感が物語のテンションを保ち続ける。

人を助ける力を身につけるためには、みずからを高め続けなければならない。医療従
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

後悔を引きずり続けるのは辛い。それでも多くの人は過去の自分と決別することはできない。
戦うのは過去とけりをつけるため。

行動に意味を見出せる人間は強い。

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.9

鈴木亮平氏はどのような世界観の物語であっても溶け込む稀有な存在である。事前に公開されたビジュアルでは、冴羽獠役にしては鈴木亮平味が強すぎやしないかと思っていたが、シティハンターの世界として楽しめた。>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

ふだんアニメはほとんど観ないものの、本作が話題になっていたことは知っていた。配信が始まったのでありがたく鑑賞。

残酷な話で驚いた。描写も激しいシーンはあるがそれだけではなく、物語として救えないものも
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花腐し(2023年製作の映画)

3.9

不器用な人たちから目を離せない。

劇中の小道具として、別冊宝島のシド・フィールド「シナリオ入門」が登場してニヤッとしてしまった。今となっては稀少本だが、90年代から2000年代前半くらいまでシナリオ
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対峙(2021年製作の映画)

5.0

罪を赦すことがテーマとして描かれたアメリカ映画とたびたび出会う。映画というものの捉えられかたが日本とは違うのだろうなあと度量深さに恐ろしさのような寂しさのようなものを感じる。

責める、詫びる、のシン
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REBEL MOON ー パート2: 傷跡を刻む者(2024年製作の映画)

3.8

「ぼくのかんがえた宇宙せんそう」の続編。
前作を受けての本作なので観客も了承済みである。
休日にエンタメ作品として楽しんだ。

考え抜かれた世界観の設計、派手なエフェクトなど見どころはたくさんあったが
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REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

3.8

続編が配信されてから観るつもりで、しばらくベンディングしていた作品。評価の低さが気になっていたが、みなさん辛すぎではないだろうか。存分に楽しめる映画だった。

本作は壮大なスケールで描かれるスペース・
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キンキーブーツ(2005年製作の映画)

4.3

人と人との付き合いで大切なことは大きなビジョンを共有できるかだろう。

経営難に陥った田舎の靴工場は、ドラッグクイーン向けのブーツを作ることで光明を見出そうとする。しかし、ただ靴を作るだけでは駄目なの
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7

ボーイ・ミーツ・ヤクザのお話。
極道社会をカリカチュア化して描く邦画についていかがなものかと呆れてしまうことが多いのだが、本作では違って感じた。

絶対的な上下関係、必要以上に面子にこだわる、とにかく
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.8

思いがけない災難によって生活が一変すると、時が止まってしまうのかもしれない。再び時が動き、一歩を踏み出すためには過去と向き合わう必要がある。
起こってしまったことと未来は地続きだけれども、戸締まりする
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ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.8

何を考えているのかわからない人物を演じると絶品のジェイク・ギレンホールに魅了される。次の瞬間に何をしでかすのか、一挙手一投足から目が離せない。
三船敏郎や高倉健、菅原文太、ショーケンの系譜に感じてしま
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ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!(2023年製作の映画)

3.4

世界大会が舞台になると、途端に民族性を押し出してくる“らしい“作品。

いろいろツッコミどころがあるので、ツッコミながら観ると楽しい。

マリー・ミー(2022年製作の映画)

3.6

大スターと一般人の恋は、これまで幾度となく描かれてきたモチーフだ。
かつてほどスターの“高嶺の花”感がなくなってきた現代では、どのように語られるか。

スターの人間性に肉薄することで、ロマンティックな
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

魂がないステレオタイプの物語をありがたがる白人社会に怒りを感じている黒人作家の物語。

ゴミみたいな作品を発表すればさすがに社会も問題に気づくかと思いきや、ヒットしてしまうところに世間の度量の深さとい
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

事前に不死身だと聞いていたので、どれだけ爺さんが窮地に陥っても安心して観ることができた。幼きころにキン消しを叩きつけたり、限界まで腕を伸ばしたりしたことを思い出す。

妙に記憶に残る短編小説のような作
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茶飲友達(2022年製作の映画)

3.9

みんなが欲しかったのは疑似家族ではなく、居場所だろう。自分が適度に必要とされて、適度に誰かを頼れる生活。
そこに家族とラベリングしたり、社会的大義を持ってきた途端、結びつきは脆くなる。

このときだけ
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

中世ヨーロッパにおいて宗教は権力だ。教会で地位を獲得し意見力を持つことが、生きるすべてにおいて強力なカードになる。
そして、あらゆる権力は必ず腐敗していく。

苦悩から逃れ、すがる術であるはずの教会が
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.6

人と密接でありながら関係が希薄な都市生活者において、欲望が抑制できなくなるウイルスは恐ろしい。なんでも反射的に意見を発信することがネット社会の特徴だが、深慮なしの行動が体現化されるのだ。

大切な人を
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正欲(2023年製作の映画)

3.8

世の中には大っぴらに公言できるメジャーなフェチと絶対に隠さなければならないと本人が感じるようなフェチが存在する。人の数だけ欲望の種類があったとしても自然かもしれないのに。

隠さなければならないと考え
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市子(2023年製作の映画)

4.0

人物を描けている物語こそ良い映画だというけれど、まさに市子から目を離せなくなる作品だった。市子の視線の流しかたや息づかいにいたるまで不穏で空虚で底が見えない。

彼女自身は言葉数少なであるし、感情をあ
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宮松と山下(2022年製作の映画)

3.6

人の脳が忘れる機能を兼ね備えているのは、生き物としての進化の結果だと聞いたことがある。
限られたリソースに対する容量整理の側面もあるかもしれないが、大きな理由は前に進むためではないだろうか。

過去を
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任侠学園(2019年製作の映画)

3.6

少し前までなら季節替わりのたびにTV局がちょうどいい単発スペシャルドラマを量産していた。当時は気軽に観ていたが、あれは映画を作るのと同じくらいの労力がかかるものであり、現在では難しいのだろう。食卓を囲>>続きを読む

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

3.7

独自の世界観による名作を数多く残している宮沢賢治。いまでこそ国民的に愛される作家だが、生前は作家としてほとんど収入を得ることがなかった。
そう聞くと不幸だったのかと感じるが、本作では作品が売れなくても
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OUT(2023年製作の映画)

3.9

手に汗握る作品で最後まで楽しめた。
時代劇や高倉健の任侠ものが好きならハマるはず。展開はシンプルで先が読めるものだが、物語のテンションが緩まず大団円まで走りきったのは良作の証だ。

特に感じ入ったのが
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パレード(2024年製作の映画)

3.8

生きているうちは、いつか実現するだろうと根拠のない自信のようなものがあり、やらなければならないことから目をそむけたり後回しにしてしまう。
しかし、死んでしまうとそれが永遠に叶わないことが確定し、未練と
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

同じようなルーティンをこなす一日に見えても、それは他のどの日とも違う。
行動は同じで、ドラマティックな出来事など起こらないのが普通の毎日だ。しかし、その一瞬一瞬に感情の起伏は必ず訪れる。

平山は人生
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ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)

4.0

若いころは「ラブコメなんて…」と小バカにしていたが、年を重ねるごとにニヤニヤしながら楽しめるジャンルであることに気づいた。
「若い人たちはいいねえ」などと、外で発動すれば新ジャンルの「◯◯ハラ」になり
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.0

初見はレンタルしてきたVHSだっただろうか。時代が移り変わっても楽しめる名作。

実業家と娼婦の出会い。設定からして面白いが、ただのシンデレラストーリーではない。

立場の違いを乗り越え、互いへのリス
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サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

4.2

昨年俳優業からの引退を宣言したマイケル・ケインの出世作。氏が自身の俳優人生を振り返って書いた著書から、よく触れられる過去作をいくつか鑑賞していく。

人が人とつながり、過ちをおこし、気づきを得る。
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