Cutさんの映画レビュー・感想・評価

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タイタニック(1997年製作の映画)

4.0

悲劇の豪華客船タイタニック号の沈没事故に着想を得た大作。身分差による悲恋が軸だが、自らの運命を受け入れ最期の時に立ち向かった人々の姿に胸を打たれる。船に留まった設計者、最後まで演奏を続けた楽団、ベッド>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.5

隅々まで素晴らしい。ランティモス監督の美的感覚の元に展開される、子供じみた孤独な女王の寵愛を巡る女同士の戦いが篦棒に面白い。シュールさと美しさと醜さと。女優陣の演技合戦が凄まじく、特にオリヴィア・コー>>続きを読む

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

4.5

家族は唯そこに在るもの。だから崩壊もしないし再生もしない。ウェス監督の圧倒的世界観で描かれる屈折した天才一家の物語。分かり合えずに傷つけ合い、でも同時に愛してもいて、そこに居る。だって家族だから。複雑>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

2.5

最強無敵キアヌが大乱闘を繰り広げる殺し屋シリーズ最終章。長い前置きに耐えて、怒涛のアクションを楽しむ。銃撃音と打撃音と刺殺音に浸る。最強防弾スーツに爆笑、222段の階段に大爆笑、そして犬は守られる。最>>続きを読む

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

5.0

至高の映画。心に傷を負った天才が、失意に沈む心理学者と出逢い成長していく。物事を多面的に捉えること、知識と経験は別物であること、君も彼女も完璧ではないこと。隅々まで繊細で優しい人間ドラマ。脚本も演出も>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

3.0

1972年、極寒のアンデス山脈にラグビー選手団を乗せたチャーター機が墜落。生存者たちの72日間に及ぶ壮絶なサバイバルを描く実話の映画化。容赦ない自然の猛威、想像を絶する寒さと空腹、息絶えていく仲間たち>>続きを読む

子猫をお願い(2001年製作の映画)

3.0

商業高校を卒業した5人の女性たちのその後。学歴社会、家父長制、貧富の差。それぞれに生き辛さを感じながら続く、或いは続かない関係性。猫を託す者と託される者。厳しい社会の現実を前に、夢と挫折を繰り返しなが>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.0

居心地が悪い。なんだこの伽藍堂は。門脇麦が歩くのを追い続けるカメラが孕む不穏さと緊張感。ほつれた物を修復する気力もなく、ただただ放置して、やがて諦めて放り投げるような苛立ちと無力感。男女関係が終わる際>>続きを読む

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

4.0

失意に沈む男が愛した人の記憶を消そうとする。愛した人が居なくなって辛くなるくらいなら、最初から出会わない世界線を選ぼうとして。だが記憶を消去するうちに、あの頃の大切な感情が蘇っていく。ミシェル・ゴンド>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

3.0

陰キャの大学生が全てを兼ね備えた貴族のイケメンに恋焦がれ、故あってひと夏を豪邸に招かれて過ごす…辺りまでは普通の青春映画だが、徐々に金持ち達の異様さが立ち現れてくる。と思いきや、それを上回る主人公の得>>続きを読む

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.0

良くも悪くもザック・スナイダー作品。パート1ということもあり、ダラダラとした仲間集めに付き合わされる。ツッコミどころの多過ぎる展開、魅力に欠けるアクション、ダサいガジェット、間抜けな悪者、特段面白みの>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.0

お馴染みのキャラやBGMにテンションが上がる。爽快感溢れるアクションの連続と、程よいユーモアと兄弟の絆。ゲームを意識した横スクロール展開の場面では思わずニンマリ。攫われるのはピーチ姫ではなくルイージで>>続きを読む

恋する惑星(1994年製作の映画)

5.0

王家衛が香港に掛けた映画の魔法。可憐過ぎるフェイ・ウォン、石鹸と話すトニー・レオン、金髪ブリジット・リン、一万年愛する金城武。即興的演出が捉えた時代の空気と街の騒めき。雑踏の中で擦れ違い、近付き、刹那>>続きを読む

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.5

この中にサツの犬が紛れている。マドンナとチップの与太話から始まるOPは映画史に残る格好良さ。強盗シーンを描かずに「その後」のみでこれほど面白い映画が作れるのかと唸る。冴え渡る音楽、血と狂気とバイオレン>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.0

映画の神スピルバーグによる自伝的作品は想像以上にパーソナルで沈鬱な内容。ユダヤ人である事、両親の離婚、プロムでの出来事。撮ることにより心を引き裂かれた青年時代を中心に、映画が他者に与える影響(暴力性や>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

不審死事件を機に不眠症の刑事が出会った美しき容疑者。翻訳機を介して交わす言葉、擦れ違う視線、絡まる感情。チャヌク監督の変態的演出が素晴らしい。深まる疑惑をスパイスに、気持ち悪い程の潔癖が逆にエロスを増>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

4.5

灰色の空から降り頻る雨。キリスト教の「七つの大罪」を基にした連続猟奇殺人事件を軸に、残酷なこの世界に生きる者たちの姿を描いたサイコ・スリラーの金字塔。先の読めない見事な脚本、当時のハリウッドの常識を悉>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

貴方が今この人生を歩んでいることにはきっと意味がある。多元宇宙理論とカンフーと家族愛とベーグルを、バカバカしさとシリアスさで包んで掻き混ぜて、謎のパワーで押し切る。状況を理解出来ないまま進む怒涛の展開>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.5

渋くて熱い。グッと拳を握り締めたくなる。当時バスケ業界3位に甘んじていたナイキがマイケル・ジョーダンとの契約を勝ち取り伝説を誕生させるまでを描く。ベンアフ監督の堅実かつスマートな演出とマット・デイモン>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

2.5

気軽に楽しめる王道の冒険ファンタジー。剣と魔法の世界を舞台に、癖の強いキャラたちが、ギャグと笑いを散りばめながら其々が大切にしているものの為に戦う。展開に起伏がなくやや単調ではあるが、ゲームの世界観を>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

3.5

科学考証された宇宙と映画的イマジネーションが最高レベルで融合する。現代物理学では解明出来ていない「事象の地平面」に於いて人類が見出すもの。最先端の科学に、人間愛という非科学的なものを壮大かつ大真面目に>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.5

禍威獣ラッシュに興奮し、煩いカット割りやエヴァ的要素に序盤から期待値は高まる。が、残念ながら序盤がピーク。ストーリーは淡白で、冒頭を超える表現も無く、最後までどうにも盛り上がらない。青背景前で演技する>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.5

人生の大半を刑務所で暮らした男が社会復帰を目指す。西川監督の的確な演出と堅い脚本が良い。原作にはない要素が加わったことで「世間」が強調される。その視線や態度が、純粋さと暴力性を併せ持つ主人公を困惑させ>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

4.5

マイケル・ナイマンの美しい旋律と共に描かれるロンドンの市井の人々。それぞれに異なる想いを胸に秘め、誰とも分かち合えず、時に光に飲み込まれそうになりながら街を彷徨う。バスの車窓を流れる景色に涙が溢れるの>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.5

迫らないショッカー。戦うには優しすぎる男の苦悩とヒーローとしての覚悟。ストーリーは真っ当だが演出はかなり歪。暴力装置としての仮面、妙な質感のCGや昭和特撮への愛、庵野秀明というクリエイターの想いが暴走>>続きを読む

クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

2.0

色々と残念な出来映え。イケメン吉沢亮と可憐な宮崎あおいのコンビは華がありワクワクするが、映画としては、ロマンス、ミステリ、コメディ、どの要素を取っても中途半端な印象。豪華客船の設定も活かされているとは>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

抜群に面白い。天才指揮者の転落劇。研ぎ澄まされた演出とブランシェット圧巻の演技。静かに崩れて行く富と名声。権威主義的で私利私欲に走る人間だからこそ生み出せるものが在る。本当に狂っているのは誰なのか。現>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.5

何者にもなれずに孤独と不安と焦燥に押し潰されそうだった頃。他者を笑い者にして、その矛先が自分へと向かわないように虚勢を張る。自分が特別な人間ではないことに怯えながら。多くの人が経験するであろう言葉にな>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.5

箱庭のように可愛いフランスの街で、ウェス監督の拘りと雑誌への愛が炸裂する。コラムの如く展開される各トールテイルに於いて、乾いた距離感を取る独特の視点は、個性豊かな登場人物たちの言動に対して善悪の判別を>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

虐げられた者たちが悲劇を喜劇に変えようと我慢を止めた時、社会は容易く崩壊する。社会的弱者の孤独を体現するホアキンから一瞬も目を離せない。彼を狂わせたのは何なのか。この映画が現実と化すことを我々は知って>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.0

冒頭から心奪われる。フィンチャー監督の美学と現代的な殺し屋ファスベンダーの所作を堪能する。殺人計画が失敗して・・・以降の展開はベタだが、素晴らしい映像と音と内省的モノローグで飽きさせない。終盤は中年の>>続きを読む

アメリ デジタルリマスター版(2001年製作の映画)

4.0

お洒落な映像と音楽で紡がれる妄想好きアメリの日常。些細な出来事からヒントを得た微笑ましい悪戯で周囲の人々を幸せにしてきた彼女が、自分の幸せの為に動き出す姿が堪らなくキュート。ジュネ監督らしいブラック要>>続きを読む