atsukiさんの映画レビュー・感想・評価

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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.5

“もう一回”が無い試合=今という瞬間のための、若者たちの身振り(とくにコートを踏み込む足のクローズアップ)。だからエピソード抜粋ゆえの回想形式でも耽溺することがない。孤爪研磨の主観360°パン長回しに>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

1.0

最低。アリ・アスターという固有名詞を持て囃しすぎ。シネフィルぶった影響元を提示してガイ・マディンに憧れるのはいいけど、作家性といえば聞こえのいい表現をだらだらと3時間も作らせてしまうA24にさえ嫌気が>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

髪を切ることや服を羽織ることだったり、借りた手提袋を返したり、貰った自転車に乗ってみたり、そのように変化を物語に与えるのではなく、三宅唱の視座がなんでもないものの変容を捉えようとすること。それは「ケア>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.5

走ることのクロスカッティング——状況に足をとられたセス・ローゲンと確かな前進であるポール・ダノ。その情景——程よい暖かさのマンハッタンと残雪のみえるマサチューセッツ。コロナ禍だからこそのオンライン公聴>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.0

『ゴースト・トロピック』は全方位への善良さだったけど、もっと愛や友情を深めている。やはり古典的な切り返しがなくて、そのフレーム=その世界を生きる人だけのものであるみたい。だから冷蔵庫を空にするため、傷>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.0

この夜に寄り添えるだけの善良さを持ち合わせているからこそ、じんわりとしたあたたかみがあった。おそらく古典的な切り返しがなかったと思う。一期一会のなかで、ふと親密さが育まれる場面——たとえば大型施設の警>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.5

コットにとって走ることは逃げることであった。オープニングの捜索〜帰宅がすべてバックショットであったり、盗飲した牛乳がこぼれたあとにチャイムで校内に戻る生徒たちとは反対方向(画面奥)に向かっていたが、郵>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.0

処女喪失でモノクロからカラーへ。だいたいぜんぶ魚眼広角ズームイン/アウトのなかで、婚礼の内側の切り返しがいい。入口と祭壇でカットバックされるからこそ、バージンロードという距離の消失。ここで勝負は決まっ>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

3.0

どこからきたかわからないような小川あんがふたつの家庭(とキノコヤ)を揺蕩いながらワークショップと自主制作で映画を撮る。どちらも別離の場面でガラスやドアを介していたけど、いよいよ画面外へ消えてしまいそう>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.0

四ツ谷でジンギスカンを食べたあとに観た。とにかく飯が美味そうでなにより。原作にその気配があるらしいけど、実写化として西部劇になりそこねた佳作。北海道(と東北地方)の風景は偉大なのに、見事なショットはな>>続きを読む

サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.0

めんどくさいシネフィルの成れの果ての姿に賛辞を送りたい。そんな中年男性のミドルエイジクライシスとアバンチュール。まさにモノクロ画面でみせられる引用の露骨さがテーマであると思うけど、”古典”アメリカ映画>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

限りなく恋愛に近いブロマンス。合唱という協調性において技術と量が一定値を超えていれば、そこに必要なのは愛である。愛は与えるものと君を見てて思った。そうして変わりゆく町と声。あとすこし残されたソプラノの>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

2.0

DCEU完結じゃなくて打ち切り。事故処理案件のなかでジェームズ・ワンは最大公約数を出していると思う。その徒労に加点しておく。アンバー・ハードの義務出演感のある編集とか、動物愛護の観点から古代戦艦内のみ>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.5

カイブツと闘うものがカイブツにならないこと。あの熱烈さがつくった深淵を覗くときに深淵は見返すからこそ、そこに神様がいなければ、蹴り壊したところであるのは母親の寝室。このしょーもなさ。そうして書かれる遺>>続きを読む

裸の拍車(1953年製作の映画)

3.5

遠景(穏やかな自然)から近景(拍車)への高速パンがすべてだと思う。過去にうなされるジェームズ・スチュワートを生き急がせる拍車をもって、渓流沿いの岩山という自然空間のなかで這いつくばりながら悪役(自分自>>続きを読む

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

5.0

あまりにも破茶滅茶で面白いどころではない。共同脚本:鈴木則文。論理は感情で殴ることができるというロマンティックコメディ。加藤泰のモノクロ画面の暗さのなかでふいに溢れてくる白さ。それこそが三度の婚礼(無>>続きを読む

驟雨(1956年製作の映画)

4.5

愚痴と羨望のダイアローグ。軒先もいいけど、室内の動線とつなぎが見事。外出すれば、うざったい町内会が跋扈する。足に絡まったネクタイを無言で取る原節子の顔に影が落ちる。その予期。退職金起業計画食事会から原>>続きを読む

三人の名付親(1948年製作の映画)

3.5

すべてのモノを投げていく(あるいは捨てる・奪われる)ジョン・ウェイン。砂嵐によって命まで落としそうになるけど、赤子=約束だけは棄てられない。だからこそ育児書を実践する男たちが赤子の愛らしさに笑顔がはじ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

役所広司と女たちの交感。乱してしまうのは男。いつもの缶コーヒーが2本になること→”同僚のせい”と”姪っ子のため”という相違点。反復が蓄積であると共に減少であることをヴェンダースは知っている。影を重ねる>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

目を凝らさなければいけないぼどの暗さのなかでミルク泥棒をするスリリングな犯罪西部劇。盗みすぎて牛に好かれてしまうところ爆笑。もっとも気づかなければいけないのは優しさ。そのために多用される主観。屋内では>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

カラオケバーの出会い。見る/見られる(目を逸らす)の切り返し。すれ違う視線が美しい出会いになるのは『散り行く花』のときから変わらない。視線劇だけではなく、電話番号や名前も知らないふたりは並行していく。>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.0

生田絵梨花で加点。他人のそら似。「願いをあきらめない」というのは、”鉄人”とまで呼ばれた生田絵梨花の「私には頑張ることしかできない」に呼応する。生田絵梨花は努力の天才である。アーシャが魔法をうまく使え>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.5

被写体そのものが魅力的であること以上に、そのカメラの距離感がすばらしい。『人間爆弾』を歌ったおじさんが撮影者との対話のあと「またセッションしよう」と言っていたように、この映画を介してわれわれ観客も”人>>続きを読む

シング・フォー・ミー、ライル(2022年製作の映画)

3.5

通学と深夜徘徊をくり返しているからこそ、正しさだけでは光り輝けないという少年の無免許バイク運転までがまぶしい。裁判タックル〜旅行パッキングのアクションつなぎマッチカットみたいなやつもうれしい。

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.5

みんな話が通じ合わないディスコミュニケーションの世界。理解し始めるのは殺戮のとき。そんな過度につよいミーガンに『リアル・スティール』で対抗していてアガる。

怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.5

スプリンクラーは怪物から逃げるためではなく、雨の日に再会するためにあった。タバコを吸わせてやるところに『深夜の告白』を思い出した。後頭部をシャッターしつづけることは、ある人間の側から側へ?亀梨和也と吉>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

君たちはどう生きるかという人生指南ではなく、俺はこう生きたぞという提示。だからジブリ有識者たちがいうようなセルフオマージュや衰えや後継者問題も、宮崎駿は、それで良かったんよ、と思ってるはず。ヒミの選択>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

−(マイナス)という文字からもイメージされるような水平方向の軌跡。つまり、ゴジラの熱線に対して人類は見上げることしかできない。戦闘機に乗った敷島がその絶望に真正面から対峙すること。海神作戦(沈下と上昇>>続きを読む

ロスト・フライト(2022年製作の映画)

4.0

ハワード・ホークスは言いすぎかもしれないけど、プロフェッショナルたちがそれぞれの職務を全うしようとする姿が泣ける。機頭からコックピットではじまり、機尾からタラップでおわる。ジェラルド・バトラーの直線的>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

4.0

男は親からの過干渉によって未来を、女は親との確執によって過去に、縛られて現在地から動けずにいられる。そんなふたりに車があれば映画となる。男女の関係がメロドラマに陥ることなく、愛しさと切なさと心強さに感>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

完璧主義者なのにポンコツ感が愛おしい。だから殺し屋のあとしまつの丁寧さがコメディになっていてちゃんと笑える。

ノーバディーズ・ヒーロー(2022年製作の映画)

4.0

ふたりを親密にさせることなく、人間を集めることに力を注ぐからこそ、すべての行為が中断される。欲望が空回りしながらも群像劇としてふしぎなエモーションに襲われる。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

記録=記憶が混濁するなかで『Under Pressure』から360°パンで時空をつなげていくことにすべてを懸けている。それだけでよかった気がする。

ニモーナ(2023年製作の映画)

3.5

ニモーナがあまりに可愛いすぎる。CVもクロエ・グレース・モレッツしかありえない。変身シーンの愉しさと距離の消失感がふたりの関係性を築いていく。向けられた剣先が、手のひらに変えられたとき、他者だけではな>>続きを読む

人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

4.0

かなりいい長回しのなかで、深川麻衣が悠長に喋り出すだけで優れている。空を切り裂くような風車の仰角(オリヴェイラの遺作で見た覚えがある)からはじまる告白の顛末が「寒くなってきたから帰ろう」と呟いたあとに>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.5

「人間生まれた時からぜんぶ遊び」という戦国スプラッターコメディ。アドリブもさることながら斎藤利三と服部半蔵のケレン味とかも遊びに遊び。斬れた首の描く放物線、首のモチーフは言語化されていく。首なんかどう>>続きを読む

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