前作がコアな映画ファン向けだったのに対して、今回はもっと大衆受けを意識している感じが随所に見られた。そして一人の人間の半生を描くには、2時半は短すぎる。
「若さはきらきらしてない」のかなりリアル版。独り言の延長だけでつるむような仲間。面と向かい合うのは、喫茶店のあのシーンを除いて対立しているところばかり。
あの家族を観察しているような感覚になるカメラの距離感が良かった。主役の二人から、家族や夫婦の愛をみじんも感じなかった。結局は関心があった領域は己のみ。まあだからこそあんなとこに住めたんだろう。見えない>>続きを読む
震災は大きな事件だったけど、その前後にも物語はしっかりあったんだと当たり前のことを考えさせられた。タイパベースの動画至上主義の時代だからこそ、ゆったりと耳に流れてくる情報は沁みる。
世直し的な「伝えたいこと」がかなり前のめりになっている気がした。モラルなき町の人たちもちょっと露骨だった。
真グレー色を白か黒の必ずどちらかに分けなさいと言われたらどっちに入れるか。たぶんだけど、どんどんと薄いグレーも黒に分けられてしまう時代に向かっていると思う。
マーケティング的な理由もあると思うけど、日本語タイトルのセンスが光る。境界のひとたちは心無くすか、もともとないのか。心ある人間は頭がおかしくなっていく。もっと残酷なのは、たぶん見ないようにしている境界>>続きを読む
似たような経験があり身に沁みる。年を取ると人はかたくなってしまう。限りある時間と若さ。どうしても優先順位をつけなければいけなくなってくる。あんなに大事だと思っていたことを簡単に忘れてしまう。
こういうテーマをもっと多面的にもっと複雑かつ印象的に作れるのは、アジアでは今のところ韓国だけなんだろうなあ。残念。言論・表現の自由が規制されている国、自主規制している国の限界を思い知らされた。映画とし>>続きを読む
プロットも過不足なく、登場人物にも簡単に感情移入できる。それがあってのあのリアリティ。ハラハラ・ドキドキのお手本のような映画。
え、劇映画ですか?って思うシーンが何度か訪れる。特にあの横に並んで作業しながら青い言葉が飛び交うシーン。やっぱり実生活に勝てるものはない。一方で改めて思い知らされたのはスマホの存在。スマホを操作してい>>続きを読む
監督の描きたかったことが割と明確に伝わった。憧れの「線」を越えてみたけど、それ以降はノープランの二人の末路。スティーブ・ブシェミ?と思ったら兄弟だった。
グローバル化で人の移動が簡単になったというのは本当だけど嘘。本当はもっと絶望的なんだと思う。
悪は存在しない、動物と自然が存在してるだけ。慣れ親しんだ善悪の分かれ道にそう簡単には行かせてくれない。気持ち良くなりたかったらマッサージにでも行けばいい。後半あたりから罠と気づいていながらも近づいてい>>続きを読む
伝えていただいた。では受け手はどうか。自戒を込めて。当時ニュースをあんなに必死で見ていたのに、町の名前すら忘れかけていた自分を恥じながら見た。
雑なところもあったけど、一方で豪快なもっていきかたに何度かはっとさせられた。客席から笑い声も鼻をすする音も聞こえ、まさに笑って泣かせる人情映画。だけじゃなく、何でも要領良くできてしまい、同じようにでき>>続きを読む
成功者の悪いところは、自分みたいにand/or自分の言う通りにやれば、同じように成功すると信じきっているところだな。悪意がないからある意味恐ろしい。筋肉鍛えても内臓や心は鍛えられない。
卒業後、正解のない社会でさまよう姿がとても良い。みんなといるとき、2人でいるとき、ひとりのとき、どの自分を大事にしたいか考えた。
人間、自由を求めながらも、根本では「寂しさ」を埋めるために必死にもがく動物たち。かさぶたは自分から剥がすんじゃなくて、自然に取れるのを待つべきかもしれない。火災報知器が鳴った訳を考えると、切なさが倍増>>続きを読む
大いなる後悔。姉だけのことではなく、自身が謳歌した若き日々に対しても、ほんのわずかだがあったのではいだろうか。
時代の変化を感じずにはいられなかった。たぶん里伽子みたいなキャラクターは、今の世の中だと受け入れられにくいんだろうなあ。ちょっと残念。地方の進学校という設定が好き。言葉と態度のずれがなくなってくるのは>>続きを読む
美しくたくましい自然。そんな上で暮らす醜く弱い私たち。包み隠さずお見せします、これが我が国デンマークですってか。あっぱれ!
余韻よ!間よ!これぞ映画の醍醐味。見つめ合っていないときの視線がすべてを物語る。3者の気持ちが同じように分かるからこそ、切なさが胸を締めつける。運命とか神とかのせいにしたくなるよね、本当。
1回目の感想。やっぱり俳優という職業は、生まれつきどんな顔をしているか、そして、どんな目をしているかがとっても大事だと改めて思わされた。目だけで言えばキリアン以外の人はこの役に該当しなかったのでしょう>>続きを読む
普段縁のないウイスキーのことを学べてふむふむだったけど、自分には主人公への共感が難しかった。特にやりたいこと、やるべきことがある人に嫉妬するところ。
ぐるぐるまわり、どこにも行かない。そもそも行く必要があるものなのか。
何かしら穴の空いた人たちが、他人にその穴埋めを求めるが、やっぱり自分で埋めなきゃなという感じの映画。
こんな生活一度は憧れるけど自分にできるか自身がないから、疑似体験できてよかった。どこに行ってもやっぱり人はひとりでは生きられない。
前作に続き、想像を超えてくる視覚的な仕掛けは健在。一方でストーリーは、いつかどこかで聞いたことがある印象。長さもやや気になった。とはいえ、見応えあり。カリスマへの過度な期待の恐ろしさを感じずにはいられ>>続きを読む
見逃さなくて良かったが、見終わってからの第一印象。最後のチャプターが美しい。映画監督志望の青年みたいな人、自分の経験上、絶対いいやつ。社会批判の部分もあるが、青春はときに残酷ながらも、でもやっぱり眩し>>続きを読む
胸アツのストーリー。と同時に、約束を果たさないと自分が蝕まれていくという善なる心の恐ろしさも垣間見た。
タイトルセンスに拍手。音楽もこれ以上ないほどぴったり。笑ってばかりいる東出さんに「もっと怒っていいよ」と言いたいけど、本人はすでに別のステージにいる。見たくない物に目を向け、回避できる葛藤を抱えながら>>続きを読む
最近、セリフ少なめの映画を好んで見るからか、セリフがパンパンに詰まってた印象。ジェンガの後半みたいに、人間関係でも、このピース抜いたら崩壊しちゃうよ、みたいな言葉あるなあと感じた。