『マッドマックス 怒りのデス・ロード』という映画があった。台詞による説明が極限まで削ぎ落とされ、ほとんどアクションのみで心臓の律動を描き出す、伝説的な映画だった。
『マッドマックス 怒りのデス・ロー>>続きを読む
私のための映画だった。面白くないと感じたのならきっとあなたのための映画ではなかったのだろう。いいえ、そうではない。きっとこの映画を観てイライラしたり不快になったりしたあなたのための映画でもあったのだ。>>続きを読む
何度だってやり直さないし、たった一つの正解を目指さない。そういう物語の在り方もありなのかと驚いた。
「これから始まる映画では、音に注意を向けてください」という誘導から始まり、ほとんどの時間で不穏なBGMや収容所からの音が聞こえてくる。例えば人間が焼却されている音や、誰かが撃ち殺される音が聞こえてくる>>続きを読む
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男性的知性を持った女性教師と、3人の女生徒が山に行ったきり戻らなくなり、大勢で探索したものの見つからなかったが、1週間後1人は戻ってきた。3人はいまだ行方不明、いなくなった女生徒2人のうちの1人と同室>>続きを読む
ラストの、画面から彼女が消えて、次におんぶして登場して、見切れて代わりに天使の像にフォーカスして、音楽が流れてきて場面が切り替わる一連の流れ、あまりにも完璧。
誇張された物語のなかに、あるいは外に、感じとることのできること。
すなわち、この上なく軽薄で、根源的なレベルで困惑していてすごく真面目。
一人一人の表情から心情が伝わってくる。
彼女がシステムをクラッシュするのではなく、システムが彼女をクラッシュさせていることも描けているとは思うが、ただ、「君は悪くないよ」という台詞を、映画のなかではっ>>続きを読む
まったくもって異世界で、この町の仕組みどうなってんだ?と思う。
ホテルと詰所と飲み屋しか存在しないみたいなミニマルな町。
繰り広げられる会話のセンスも、どこかズレているような感じ。
生き死にの感覚もな>>続きを読む
ゆったりとした尺の使いかたで、シナリオもときどき本筋から大きく逸れるんだけど、そういう「無駄」の部分もなんだか嬉しくなってしまうようで、退屈することはまったくなかった。
ジリジリと向き合って早撃ちする>>続きを読む
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最初の30秒くらいがとても良い。
あの人たちどういう関係なんだろう、でそっと視線を誘導する。そのあと、真ん中の女性が「こっち」を見返す。それでもうやられちゃったな。
残りはその30秒の注釈みたいなか>>続きを読む
2時間、3時間の映画で、映画の奇跡は1回だけ起こればいい。ほんの一瞬でもいい。それだけでいい。映画にはそういうところがあると思う。
漫然と見ていると着いていけなくなる映画だ。観客は常に頭の中で状況を>>続きを読む
男性中心主義的な性愛の経済をエイダは強い意志として恐れそれ自体はまったく筋の通っていない説明のように思われるんだけど、森や海に落ちる蒼い陰は美しく映画としてはそれで良かった。
孤独を描いた映画だったよ>>続きを読む
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救世主の到来により宗教的な熱狂が高まり、帝国の植民地主義に対抗する火は大きな炎へと変遷していく。激アツ。宇宙版レ・ミゼラブル。
ハルコネンにはハルコネンの、皇帝には皇帝の思惑があり、ポールにはポールの>>続きを読む
それぞれの登場人物の退場シーン、観終わってから「あのシーンがラストだったんだな」って全員についてそうなる。
法廷ものとして、とても面白い。
同時に、法廷ものとして面白いということが逆説的に"法廷的なこと"の問題点を強調している。
弁護人は映画の序盤で「何があったかが重要ではなく、どう思われるかが重要だ」と>>続きを読む
どのくらいの知名度かなども知らず前情報ゼロの状態で観たら、あんまりにも傑作映画なので驚いた。
道徳的に際どいラインをフラフラする物語としてのバランス感覚も奇抜なんだけど、そういった目眩の感覚を掻き立>>続きを読む
反抑圧を意識しすぎて逆に共犯関係になっているというか、教条主義的で息苦しい映画だった
魅力的な音の使い方や静止画の連続などの演出は全体的に教条主義的になってしまった映画に対する内側からの抵抗の萌芽なの>>続きを読む
諸感情は人間にも宿るけれど、光と影の中にも宿るのだということに、気づかされる。
その日の空や街並みや山々の明るさ。
室内の照明の色合いや明度や顔にあたる角度。
窓から差し込む光の質感。
理屈の上では、>>続きを読む
こういう感じ。
まさにこういう感じ。
ほとんど意味がわかんないまま、なんか世界とか周りの人たちは勝手に進行していく。
どうも私だけ知らされていない世界の法則があるらしいけど、どんなに理解しようと努めて>>続きを読む
映画が始まり終わるまでの2時間、特別なドラマはなにもなく、ただ知り合って、親しくなるだけ。
日常的(そして奇跡的)関係があるだけ。
たった2時間の映画で、人間のすべてが描けることはなく、苦しみや幸せ>>続きを読む
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実験的(前衛的という意味ではなく)な映画で、実験の目論見は成功しているけれども、実験的な部分が前面に出ているためにちょっとヘンテコな映画だった(少なくとも『ミツバチのささやき』を期待して観にくると面食>>続きを読む
登場人物たちが大切な話を「言わされている」シーンがいずれも空虚だが(ジョンについては結局なにも描かれない!)、全体的にゆったりとした尺のとりかたで映画ならではの贅沢な時間は感じた
言葉にしようとすると取りこぼしてしまいそうでうまくまとめられないな。
非現実的な設定、物語、人物だけど、そういうふうに生きているということにそれ以上の評価とかできない。
あえて言うなら、とどまること、>>続きを読む
私的な場面というものがなく、全体的に被写体と距離を感じる。
養蜂の巣箱を木の棒でコンコンと叩くシーンにこの映画のすべてが凝縮されていると感じた。
実際にはありえないことだけど、迷いながら、すべて撮って、最後にラストどうするか決めたんじゃないかという気がする。
終盤はあまりに言葉が多く、すべての発言の意図や正当性を吟味することが難しいけれど、映画>>続きを読む
映画が始まって、「この人はどういう人なんだろう」と想像する。
なんで話しかけたのかな?とか知り合いなのかな?とか。
そうやって想像するのはすごく自然なことだし、それが自然だというのはいつだって「この人>>続きを読む
本作におけるゴジラは、黒くてゴツゴツしたボディに、青白く光る背、熱線と非常にかっこよく実在感としても申し分ないが、同時に中身の詰まっていないハリボテのようだとも感じさせる。
ゴジラすげー! もっとや>>続きを読む
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あまりにも美しいラストシーン。
『キッズ・リターン』のラストを思い起こさせる。
冒頭のシーン。
寄り添う2体の白骨が発見される。
この冒頭によって、最終的な2人の死が確定する。映画のなか2人は、「死>>続きを読む
怖いという形容はしっくりこない。
怖いと苦しいから合成された、今までにはなかったような感覚。
ベースはいつもの悪魔憑依ものだが、信仰の要素を消し去り、代わりに抑うつ症状としての罪業妄想や希死念慮、そ>>続きを読む