Uさんの映画レビュー・感想・評価

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関心領域(2023年製作の映画)

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仕事を淡々とこなす夫、夢の暮らしを守りたい妻、無邪気に笑う子供たち
塀の内側に暮らすありふれた家族の日常を観察する
生活音に溶け込む耳を塞ぎたくなるようなおぞましく残酷な"音"が彼らの無関心を際立たせ
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ミッシング(2024年製作の映画)

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好奇と偏見、伝播する悪意、想像力の欠如
事実は歪み、希望は潰え、壊れていく日常
それでも失われた心に差し込む、救いというには淡すぎる光が人を生かす
情報に呑まれ狂っていく世界で優しさが繋がれていくこと
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

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善意から始まる悪意の連鎖
"犯人"探しよりも断罪を優先する生徒と教師
救済を謳う主人公は両者の板挟みになり孤立無援になる現実
「学校は社会の縮図」とよく言うが差別、格差、メディアの暴走を学校内だけで描
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不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

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超新星爆発の煌めきのような恋
両想いになると消えてしまう"甲野じゅん"と長谷部りのは引力のように惹かれ合い何度も巡り会い恋に落ちる
恋の痛々しさや恐ろしさを描き、それでもこの時代に恋の素晴らしさを叫ぶ
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またヴィンセントは襲われる(2023年製作の映画)

4.0

SNSで怒り狂った誰かに誰かが攻撃される。
「〜されるお前に原因がある」と被害者を煙たがる。
"目が合うと襲われる"設定はこれらを可視化しただけに過ぎず、笑いと紙一重であるほど事態の深刻さが増す。
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)がガビ(ミア・ゴス)に「オメーのクソ小説なんか読んだことねぇーよ!バーカ!」って銃で脅されながらネットの辛辣な書評を朗読されるシーンが一番面白くて怖かった。>>続きを読む

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

4.0

アンモラルな欲望を内に秘めること、それを創造することは罪なのか?
葛藤する男とミステリアスな女の不器用なラブロマンスが丁寧に描かれる一方で、その日常は遅効性の毒に侵されていくようにジワジワと崩壊してい
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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家族という呪縛、恐怖の帰省
開始1分で不愉快になる最悪の開幕
あまりに異常な非日常の世界観に混ざる妙な現実感が居心地の悪さを加速させる
襲い掛かる不条理と訳の分からなさはまさしく3時間の拷問
オチは好
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

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たった一つの真実を照らす名探偵は存在せず事実の積み重ねが人を裁く
暴かれていく"事実"ですら主観が混じり"真実"はぼやけていく
有罪を確信する者、無罪を信じる者、人の死をエンタメにする傍聴者、嘘をつか
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

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神に見放され、愛される事を知らずに育った壮絶な生い立ち
唯一の救済はどんな時でも寄り添い絆を深め合った犬たち
妖艶さの中に狂気を感じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技に見惚れる
ダグラスの心情に
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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夜空の下の街で生きる人々の星の数ほどのままならない想い
自分ではどうにもならない怒りや不安も誰かとなら助け合える
そんな僅かな希望が人を生かしてくれるのかもしれない

自転車で駆ける山添くんを、ベラン
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

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神懸かったショット、美しい音楽、完璧なラスト
親友が失踪した22年、ビクトル・エリセ監督が不在の31年
混ざり合った現実と虚構の喪失を埋めるための169分間、映画が起こす奇跡を確かに目撃した
10年、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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繰り返される日常の中に木漏れ日のように差し込む些細な変化
それに喜びを見いだせれば人は幸せに生きていける…そんな映画だと思っていた
ラストカットを見るまでは
あの表情を見た瞬間、そう思い込まなければ生
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

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アクション、コメディ、テンポ感、映像の迫力、全てがパワーアップした正統派続編
みんな大好き犬猿の兄弟バディの掛け合いも最高
王として、父として、迷いながら突き進むアーサーの姿にグッとくる
DCEUの有
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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中学生とヤクザのBoy meets Men
変声期の悩みも、廃れていく街の情景も、世代を超えた奇妙な友情も、全て「紅」に詰まっている
オフビートなユルさで描かれるシュールな日常
思わず笑ってしまう綾野
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NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

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「プラセボ」の反対の「ノセボ」
善意を装い心の隙間に侵入してくる不気味な蟲
反転する信頼、思い込みのバイアス、その全てが恐ろしい
なぜ「「彼女」」なのかが判明した瞬間、日常において目を背けているものを
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

5.0

この作品において「エモくない」は褒め言葉である
主観を削ぎ落としどこまでも客観したからこそ剥き出しになる"ツチヤタカユキ"の狂気と紙一重の純粋さ
適応できない「間違った世界」を笑わせたい地獄のような人
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

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誰かと繋がることの大切さを謳う世の中で寂しさや喪失を埋めるために繋がるという行為で地獄に堕とされる皮肉
辿り着く先が絶望でも悪意に飲まれ引き返せなくなる中毒性の恐怖
最悪な選択が災厄を招く清々しいほど
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最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

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問題児のレッテルを貼られた演技未経験の子どもたちを実際に「演技未経験」の子どもたちが演じるメタ構造
虚実入り混じる中、自己表現を知らぬ彼らが似た境遇の役と向き合うことで見えてくる姿、映画の功罪と大人た
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ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)

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人工ポッドが妊娠、出産の全てを行う近未来
性差を払拭したその先の子供の定義を巡るとある夫婦の対話と葛藤の物語
発達したテクノロジーがもたらす合理的な福音と失われていく非合理的な人間性
風刺を最小限に抑
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市子(2023年製作の映画)

4.0

無邪気で、儚くて、したたかで、悪魔
様々な人から紡がれる多面的な「市子」像
「生きたい」という普遍的な願いを叶える為の犠牲は罪なのか
壮絶な境遇は免罪符になり得るのか
覗き込めば飲み込まれてしまいそう
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シチリア・サマー(2022年製作の映画)

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怒りが込み上げてくる、嘲笑する人々に、躊躇いなく振るわれる暴力に
悲しみが湧き出てくる、大人たちの不寛容さに、自分たちの正しさを疑わない愚かさに
花火ように美しく散ってしまった彼らの恋をただの「悲劇」
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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

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赤い月の夜、自由を奪われた彼女が得た"他人を操る"力
ネオン煌めくニューオーリンズで邂逅するWitchとBitch
チョン・ジョンソのエキセントリックな怪演にみんな心を奪われる
このクソみたいな世界を
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蟻の王(2022年製作の映画)

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この国に同性愛者は存在しない、ゆえに裁く法律もない
自分たちの理解の範疇を超えたものを汚らわしいと感情的に侮蔑する醜さ
治療という名の拷問を加え、型にはめ無理矢理罪で裁こうとする愚かさ
残酷で不寛容な
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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「生きたい」という願いを蹂躙する戦禍の化身、呉爾羅
ハリウッドに負けない白組の邦画最高峰のVFX
培ってきた全てを全身全霊でぶつけゴジラを完全にモノにした山崎貴監督の集大成的傑作
シン・ゴジラを超える
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私がやりました(2023年製作の映画)

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表を見ればクラシカルな美術や音楽と華麗に成り上がるシスターフッド映画
裏を見れば炎上商法なんじゃ?という疑念が生じる
見え隠れする不穏さを圧倒的なテンポで煙に巻き真相の分からない観客たちの姿は現代社会
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理想郷(2022年製作の映画)

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澄み切った空気と美しい大地に流れるドロドロとした淀んだ憎悪
相容れない価値観、相互不理解の関係性は存在するが何故そこまで陰湿で攻撃的になれるのか
育った環境が分断を生み、感情を剥き出しにしてぶつかり合
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ドミノ(2023年製作の映画)

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SF、ノワール、アクション、クライムサスペンス
94分間に全てが凝縮された超エンタメ大作
中盤のどう終わらせるの?という疑問をパワーでねじ伏せる怒濤のどんでん返しラッシュにドーパミンが止まらない
困り
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ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

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多言語が飛び交い、多民族が「共存」するトランシルヴァニア地方の寒村
地方衰退、排外主義、賃金格差、移民問題…
決して他人事ではない分断社会の縮図
獣性を剥き出しにしてヘイトスピーチを撒き散らす群衆たち
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メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

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頭皮を切り取られた遺体、嘘と疑念にまみれた容疑者たち、探偵不在のワンショットミステリー
群像劇で真相に迫る臨場感、アーティスティックなビジュアルとカメラワークのセンスが抜群でクライマックスからエンドロ
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