オクターヴさんの映画レビュー・感想・評価

オクターヴ

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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.1

面白かったが、前章よりパンチが弱かったというのが率直な感想。キャラクターや世界観への慣れもあるが、前章を超越する意外な何かがほしかった。この作品に意外性だけを求めちゃいけないのわかるが…期待感との乖離>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

あのオープニングじわるよな〜人生の大事なものが引き算みたいにどんどんなくなっていって感情も奥底に抑圧されたんだなとわかる虚無感たっぷりの西島秀俊の横顔がたまらんな。そこに穏やかな瀬戸内の海が優しく現れ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.4

まず1話目、やはり移動中の車内の後部座席は最高だよね。決まって街灯がともる夜がいい。その瞳が涙でキラキラするだけで、もうその会話劇にオチは必要なく、なんとなく我々はその先のドラマを想像しつつも彼女の豊>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.6

失踪した恋人と同じ顔を持つ男性を愛する異色ラブストーリー。二役を演じた東出昌大が最高。一歩でも間違えたらサイコな映画。夢にしても現実にしても天国と地獄が待っていて、それがジワリと伝わってくる描写が生々>>続きを読む

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)(2023年製作の映画)

3.6

シティハンターってこんなテンポとノリだっけ?という戸惑いと懐かしいと感じるまでのブランクを埋める脳内処理をしている途中でアンジーに惚れてしまう。我々の大好物なキャラクター設定をしちゃってる。これはアン>>続きを読む

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.9

夜の新宿歌舞伎町で暴れる前半が最高で、それで満足しちゃった部分がある。この作品はあの夜の時間帯と場所が大事なのよ。鈴木亮平も良かったが、香役の森田望智が素晴らしく、あの世界観を崩さなかった理由にもなる>>続きを読む

座頭市血煙り街道(1967年製作の映画)

4.4

雪の降らせ方がうますぎるわ。雰囲気がむちゃくちゃいい。訳あって座頭市と戦うことになる近衛十四郎演じる赤塚多十郎もいいのよ。殺陣が素晴らしい。ふたりを観ていても最後に激突する流れがわかるし、その瞬間に立>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

グローヴスと初めて対面した時に起きた科学者としての興奮が破滅へのカウントダウンにつながる。この映画史上最悪の意気投合において演出による興奮があるのと同時に成功に歓喜してはならぬという抵抗感が交錯するこ>>続きを読む

ランドシャーク / 丘ジョーズの逆襲(2017年製作の映画)

4.1

オープニングとなる夜の遊園地のロングショットを観れば、これは間違いなく映画がわかっている者が撮っている画面だとすぐにわかるはずだ。次に薄暗い砂浜を一人で歩く水着姿の女を画面の中央に置き、これが最初の犠>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.4

門出と凰蘭の二人がとにかく個性的で面白いし、どんどん好きになる。門出と担任の先生のくだり、なかなか良かった。日常系であのような展開は珍しい。凰蘭も複雑な部分はあるものの、ちゃんとしてる。この二人、後章>>続きを読む

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

3.7

長澤まさみ演じる弥生の奇想天外な行動に何の疑問も持たないほど純粋な心が我々に残されているか?が問われるのだが、愛されたいがための駆け引き?がサイコすぎると思ったのは私だけか?めんどくさい人というか、も>>続きを読む

東京暮色(1957年製作の映画)

5.0

扉の開閉がやたら多い作品なんだけど、上野駅で山田五十鈴が開けた車窓を中村伸郎が閉めるところで「あぁ、終わりか」と思った。その時の明治大学の校歌がクセになる。あと、笑顔が最高な原節子の無表情が最高に残酷>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

5.0

「美人哀愁」の次に長い144分の上映時間だけど池部良と淡島千景は、ずっと見てられる。岸恵子が演じるイタイ女も良かった。会社の廊下でズームが2回あった?小津のズームは妙に不吉だわ。あと、出たね名曲サセレ>>続きを読む

ドクター・ブル(1933年製作の映画)

4.5

街のために20年間も頑張ってきたけど、時代の流れもありヤブ医者扱いされちゃうところが切ないのよ。でも、フォードがそんな切ないだけのままで終わらせるわけもなく、しっかりと娯楽映画に仕上げてくる。しっとり>>続きを読む

鄙より都会へ(1917年製作の映画)

4.6

サイレント映画。富豪に奪われた婚約者をニューヨークまで行って連れ戻そうって話。仲間のカウボーイがニューヨークの街を激走するシーンがむちゃくちゃかっこいい。このあと大乱闘になるんだけど、この物語はこれし>>続きを読む

虎鮫島脱獄(1936年製作の映画)

4.9

リンカーンを暗殺した犯人とは知らず骨折の治療をした医師が共犯扱いされ投獄されてしまう。最初は脱獄ものとして展開されるが…フォードは人間の持つ個の力を通して、まわりの集団を動かすということをよくやってく>>続きを読む

果てなき船路(1940年製作の映画)

4.5

船上シーンって密室劇みたいなものだからダレ場に感じやすいんだけど、終盤に上陸先の街でひともんちゃくあって、夜のシーンなんだけど、それがフィルム・ノワールっぽい雰囲気があってめちゃくちゃいいのよ。若きジ>>続きを読む

タバコ・ロード(1941年製作の映画)

4.6

ジーターが地代を工面できずに神頼みする時のロングショットがたまらんし、あの老夫婦がタバコ・ロードから離れて救貧院へと歩いていく姿をとらえたロングショットもたまらない。とにかく一つ一つの画面の動かし方が>>続きを読む

最後の一人(1930年製作の映画)

4.7

密室劇は苦手なんだけど、導入の酒場のシーンから面白くて、どうやって船内から脱出するんだ?という興味だけでも最後まで面白かったね。さらに潜水のあたりからは、より引き込まれた。ラストの展開は最高に良かった>>続きを読む

鍬と星(1936年製作の映画)

4.9

とにかくバーバラ・スタンウィックが美しい。美しい女優を美しく撮れば映画になる。基本中の基本。決起集会のバグパイプも良かったし、公園のシーンも素晴らしい。屋根の上の銃撃戦なんて名シーンだらけ。で、ユーモ>>続きを読む

ハリケーン(1937年製作の映画)

4.8

ラブロマンスから始まり、脱獄もの、漂流ものを経て自然災害の脅威を圧倒的なスケールで描いている大作。フォードって西部劇のイメージが強かったけど、もうまったくイメージが変わったわ。映画の神様、これどうやっ>>続きを読む

香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

5.0

無声映画、伴奏なし。72分間まったく音がない体験は初で、同じ空間にいる観客の笑い声だけが聞こえる。これが無声映画の時代か…すごいな。映画も最高に面白く、これどうなるの?という話なのよ。競走馬が主人公で>>続きを読む

リバティ・バランスを射った男(1962年製作の映画)

5.0

見せ場いくつあるの?ってくらいの展開で、ジョン・ウェインは出てくるだけで空気を変えてしまう存在感がある。そんな空気の中に大好きなリー・マーヴィンがいるのは、なんか嬉しい。いろいろと思うところがある映画>>続きを読む

捜索者(1956年製作の映画)

5.0

時間の経過が濃厚で重いのだが、気づいたらもうラストシーンになっている。悲劇の中にも喜劇が散りばめられており、我々の心を虜にしてしまうのだ。大仕事を終えた後のジョン・ウェインのちょっと弱々しい後ろ姿が忘>>続きを読む

ウィリーが凱旋するとき(1950年製作の映画)

5.0

戦争コメディ映画の大傑作。街で話題になった志願兵なのに軍の事情で最前線に呼ばれない悲劇と喜劇の前半から予想もできない大冒険がいきなり始まる。フォードはコメディ映画の天才でもあったことがよくわかる。もっ>>続きを読む

NOVO/ノボ(2002年製作の映画)

4.8

5分で記憶が消える男に恋をするというありえないラブロマンスなのだが、何度でも恋させるというめちゃくちゃ熱い展開になっていくんだけど、これすげえかっこいい映画なのよ。

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.7

10歳のジョジョの人生がハードモードすぎてほとんど笑えないし、物語も不謹慎なのだが、戦争映画の新しい可能性を示した傑作。どうやって悲劇を乗り越えるか?そのためには希望を描くしかないのだが、喜劇であるこ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.2

これダメだった。どの登場人物も好きになれない。サンドラの弁護士が一番ダメ。違和感や嫌悪感の連鎖で成立させてる部分、その演出方法も狙いすぎてる。けっきょくはバランスを取るために子役や犬に頼っちゃう。まる>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

なんか登場人物がみなドライなんだよね。あと、どちらの奥さんもタフで強いし、一つも取り乱さない。表向きは。死地すぎて生還率が低すぎるミッションなのに、あの勇気はどこから来るの?という戦争が人を狂わす感じ>>続きを読む

ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

4.9

これ好きだ〜この暗黒時代にこんな陽気な映画を観れる幸せ。よくぞ撮ってくれた。皮肉もなければ説教くさくもない今をひたすら楽しむだけの95分。シリアスな場面でもスタンスが一緒ってのが良かった。まさに世界に>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.8

実話に基づくスポ根ものの王道展開にタイカ・ワイティティ監督らしい軽めのタッチとノリが融合され、さらに人生の苦みと深みも加えてくる今年を代表する傑作。「ジョジョ・ラビット」のように悲しいシーンもサラっと>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

4.7

20分間のゴダール劇場であり、急に「アワーミュージック」をぶっ込んでくるあたりもゴダールらしい。静止画と無音から始まるオープニングもゴダールだし、唐突に流れる不穏な音楽もゴダールだ。ゴダールはゴダール>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

5.0

(鑑賞当時)疲れていたせいかサーモグラフィーみたいな映像でさえも良かった。戦争は世界の法則ゆえに神聖、新時代を生きる術は芸術、これらの皮肉みたいな言葉も腑に落ちた。とんでもなく美しい雲!あれだけ畳み掛>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

開始早々で、こんな感じのが続くのねって覚悟を決めて、じゃあ乗れるシーンあるかな?って思ってたら外科医の自宅の庭で変な男が走り回ってるところとか、あの家の変な娘も良かった。あのへんから乗れた。あの家と庭>>続きを読む

すべて、至るところにある(2023年製作の映画)

4.3

オープニングの東京、都会の夜景が見える高層ビルの屋上、ライトが夜空を照らしている。彼女が空を見上げると、ゆっくりとカメラが上に向けられる。その間に映画の世界へと吸い込まれていくのだ。これがラストにつな>>続きを読む

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)

4.1

こんな映画があるなんて、すごい時代だと思う。むちゃくちゃやってるようで、ちゃんとした映画なんだよね。70年代前半って、もう映画の時代が終わってる感すごかったんだろうね。漂ってるヤケクソな雰囲気が面白い>>続きを読む

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