湯水さんの映画レビュー・感想・評価

湯水

湯水

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

2.5

双子/鏡/橋のモチーフとその反復。時折出てくる自己啓発的な台詞の応酬には疑問が浮かぶが、映画としての軌道修正役として任されたっぽい共同脚本のスティーヴ・クローヴスの功績はやはり偉大。ただ、前作2作まで>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

濱口竜介総決算的な展開からネクストステージを志すラストが印象深かった『ドライブ・マイ・カー』の次作としてはなるほど妥当な意欲作。最も近しいのは『永遠に君を愛す』か。

車の後方を捉える移動ショットの執
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赤毛のアン/完全版(1986年製作の映画)

2.5

画面奥へと歩みを進める後ろ姿のロングショットによる反復。ただ、映像より語りを優先するのはいかにもテレビ映画的だなと思う。

家宝(2002年製作の映画)

4.0

130分あってこの軽やかさ!なんとなくこの前後のオリヴェイラ作品のちょうど過渡期的な時間感覚を感じる。まさしく反復される車窓の「形式的」な移動ショット、彫刻と重ね合わされるレオノール・バルダックのファ>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

1.5

比喩にしては単調すぎるし、警鐘にしては毒がなさすぎる。白い部屋への回帰構成や、サブリミナル的な死神?演出も中途半端だし、占い師がカップルの老後の風景を見せるシーケンスも謎に長い。街中パレードのショット>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

1.5

心底くだらないコント。リアリティラインどうこうより、閉所での単調な会話を持続させられないアイデアの乏しさとギアの切り替わるタイミングの間の悪さを低予算という免罪符で受け流している感じが腹立たしいし、そ>>続きを読む

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)

2.0

家を撮るなら『サイコ』でしょ、と謂わんばかりな階段と俯瞰ショットの踏襲(悲劇は2階で起こる)はいいのだが、肝心なマイヤーズ宅の2階窓から外を見るショットの変奏とラストの切り返しが全然うまくない。当時赤>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

3.5

『破局』ソロキャン編かと思いきや『未来世紀ブラジル』のようなドリーアウトからディストピアキャンプ場編に突入する短編内での異様な2部構成が最高すぎる。異様に怖いファーストショットからの『ヤコペッティの大>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.5

セット/時制の転換や横たわるベネディクト・カンバーバッチ×動き回るデヴ・パテルの対比は良いのだが、ウェス・アンダーソンとしての技巧はこれまでの短編の総まとめ感があり退屈。4つの中ではワースト。ベッドで>>続きを読む

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

2.5

動き出す老ネズミの人形、古典ホラーを模したクライマックスのネズミ殺しシーンなど。きっちりしたフレーミングや切り返しもスリリングではあるが、他と比べるとイマイチ。

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.0

冒頭の絶妙に官能的なテーブルセッティングのショットからプレゼント箱の大小マッチカットへの流れが素晴らしい。縦列駐車の隙間ゼロだけでなく駐車の横幅まで使ってくるネタの詰め込み感も良いし、車の判別からサン>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

3.0

冒頭の路上移動ショットが最高。ごみ箱シュートの天丼感をラストの退場に昇華させるのも気持ち良いし、若干外し気味な不運の連鎖もここまで徹底してスケールアップしてもらえるなら腹落ちせざるを得ない。拳銃の不穏>>続きを読む

Valimo(2007年製作の映画)

3.0

ロズニツァ『Fabrika』のような前半パートから後半のリュミエール鑑賞までの見事な移行。カットの切り替わる軽妙なリズム感は堪らないし、チケットもぎりの手元ショットなどのブレッソン感もいかにもカウリス>>続きを読む

Bico(2004年製作の映画)

3.0

アコーディオンの鮮烈な赤色!細い小道に動物や人間が現れては消えていくショットにはキアロスタミを想起。あと若干の堀禎一感。

俺らのペンギン・ブーツ(1992年製作の映画)

3.0

続けて2回観る。出オチ感は否めないが、木漏れ日の陰影や酒場での出会いにおける影の描出は流石だし、飛び込みのロングショットやラストから2カット目の隊列ショットにも抜けがあって気持ち良い。

カラビニエ(1963年製作の映画)

3.0

戦地からの手紙を読む女の反復ショット(猫!)や、一枚ずつ見せられる世界各地の絵葉書をまとめてばらまくショットにジャン・ヴィゴオマージュを感じる。このシンプルで「言い古された比喩」における寓話の退屈さこ>>続きを読む

悲しき天使(1991年製作の映画)

3.0

続けて2回観る。エッフェル塔→見上げるリーゼントの男、の冒頭のマッチカットからして素晴らしいし、それに続く小型犬も入れる店への入店拒否のショットも堪らない。懐かしいメロディのサビにおける陰影ショット、>>続きを読む

ロッキーVI(1986年製作の映画)

3.0

続けて2回観る。編集キレッキレ。特にアメリカ側のボクサー陣営がリムジンに乗り込むまでの一連の繋ぎが良すぎる。ボクサー2人が常にグローブを着けていることが活かされるラストのウクレレ!

O Night Divine(原題)(2021年製作の映画)

2.0

カメラをパンすると意中の人がいるやつ、グァダニーノやりがち。仰々しい(≒クリスマスっぽい?)群像劇の登場人物紹介、広間の使い方、クライマックスのキスシーンとかはグァダニーノっぽいけど、ストーリーと色使>>続きを読む

ロストシーバーズ(2019年製作の映画)

3.0

トランシーバー越しに話す2人のカットつなぎからいきなりロングショットになったりと、沖合の空間を活用した編集がおもしろい。アントニオーニやデュモンのような沖合のショット、神代辰巳のような撮影隊のショット>>続きを読む

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室(2023年製作の映画)

2.5

なめてたけど全然悪くない。

基本的に専門職/プロフェッショナルの仕事映画なので、無欠の理想を志向する無駄のない「運動」の連関とその波及/呼応によるチームの連帯をベースに、動ける俳優である鈴木亮平や賀
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