iki4go9さんの映画レビュー・感想・評価

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蛇の道(1998年製作の映画)

3.5

ずっと不穏で気味が悪い映画だった。何かがおかしいはずなのに、はっきりと言語化ができない。まとわりつく嫌な湿度の高さを感じる。

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

この映画が、よりによってこのタイミングで公開されたこと自体がもう恐ろしい。
無関心でありつづけることの残酷さ。どんなに凄惨なことでも人は慣れてしまう。
確実に今映画館で観るべきだったが、もう二度と観た
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

ずっとしんどかったが、映画館じゃないと観る気になれなかったかもしれない。
この作品で描かれたことが全てではないとはいえ、忘れられないし忘れたくないと強く思った。
いったい何のための正義だったのか、そし
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中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)

3.6

言葉にしなくても伝わるこの雰囲気、兄弟ならではの空気感。事情にそれとなく気づきつつも、何も聞かず「また帰ってこいよ」と弟を送り出す兄の背中が大きかった。

ラッキー(2017年製作の映画)

3.6

40歳を過ぎて、目に見えて身体が衰えてきたら実感が湧いてくるのだろうか、と思った。まだまだだなあ。

男の優しさは全部下心なんですって(2019年製作の映画)

3.4

恋はしたいが、揃いも揃ってクソ野郎である。
みこの目から次第に光がなくなっていくのがつらい。

ミーン・ガールズ(2004年製作の映画)

3.7

ザ・アメリカのティーンエイジャー。不思議とあまり陰湿さを感じなかった。一周して最近また流行っているファッションが多いので、関心の高い人はより楽しめそう。

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

3.7

全てありのままで、むき出しだった。思い描いていた人生から程遠い現実でも、うんざりするくらい自己嫌悪することばかりでも、自分を愛していようと背中を押される。
生理や中絶に伴う出血の描写が生々しく、大半の
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異人たち(2023年製作の映画)

3.9

人は皆、ひとつひとつの孤独な星なのだと思った。
アダムが両親といるときは表情がちゃんと子どもで、レストランのシーンは涙無しには観られない。

辰巳(2023年製作の映画)

4.0

昨今の韓国ノワールですらも損なわれつつある、無骨さや荒々しさが充満するこってり犯罪ノワール。葵が護られるだけのヒロインではなく、ガンガン戦うのがかなり好き。
この作品よりもっと手堅くつくられているはず
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

3.7

25年監禁されていて、親だと思っていた人は誘拐犯で…って入りが相当しんどいけど、ここからハートウォーミングになるって信じていいの?と思いつつ鑑賞。
閉ざされた世界の中で唯一であり全てだったブリグズビー
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.8

タイムリープもの自体はごまんとあるが、今作は新しいアプローチだったので興味深く観られた。設定をあえて深堀りしないことによって生まれる余白も自分は好きだった。

ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.5

非情なほどに現実的だった。芸術は必ずしも正しく、美しいわけではないことがしっかり描かれている。

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.4

お米10kgくらい全然持てるし、妥協して一緒に居続けるくらいなら1人でいいなあ、と思ってしまった。多少は目を瞑ればいいかってレベルじゃない。

裏ゾッキ(2021年製作の映画)

3.7

かなり見応えのあるドキュメンタリーだった。
「今日撮影なんて聞いてないぞ」「こんなのに税金払えるか!」っていう怒声が現実にあったことだから胃がキリキリする。芸術というものは、不要な人にとってはとことん
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ゾッキ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

サブスクで入り始めてすぐの頃にも観たので2回目。やはり一部のミニシアター好きにしか刺さらなさそうなコアっぷり。ところどころついていけない部分はあるが、概ね楽しめる。

『伴くん』パートが特に良すぎる。
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

3.6

ちょっとオチが読めてしまったが、自分が何者か、どんなことをしたのかわからないままで、あのラストは後味が悪すぎる。罪悪感で記憶に蓋を閉めて、老いて認知症になって弱ったところを利用するって、なかなかグロい>>続きを読む

ウェイターはつらいよ(2005年製作の映画)

3.4

この露悪的な下ネタ全開コメディに、なかなか無駄に豪華なキャストが集まっているのが既に面白い。
閉店時間が迫って「誰も来るな!」って念じるのわかりすぎて笑った。学生時代のバイトを思い出す。

一分間タイムマシン(2014年製作の映画)

3.6

2人ともタイムリープしてそうとか、それくらいの予想ならつくけど、それ以上のカラッとした恐さがあって良かった。6分弱でこの満足感。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』って全然わかりやすいし、アリ・アスター作品の中では序の口だったのか…なんて愕然とする難解さ。ヨブ記について事前に調べたとはいえ、ギリギリついていくのがやっとだっ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

前半はやや退屈な時間が続くので、期待しすぎたかと思ったが、中盤でのギアの上がりかたが凄まじい。口論が生々しくて胃がキリキリする。
客観よりも主観の方が真に迫っているように見えてしまう人間の浅はかさを突
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

ささやかなプレゼントのような映画。季節でいうと秋に差し掛かった頃の人生。余計な台詞がなく、厳選された言葉たち。静かにゆっくりと触れ合う小さな愛が美しい。やはりカウリマスキは映画をつくりつづけるべき人で>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

劇的なことはなく、事件も起こらず、淡々と過ぎゆく日々を見つめているだけなのに全く飽きない。病気や障害をエンタメとして消費しない、男女を安直な恋愛に結びつけない描きかた・展開をみて、邦画界に一縷の希望を>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.5

以前から観ようと思っていたが、先日観た『哀れなるものたち』と比較でしばしば挙げられているので、取り急ぎ鑑賞。
こちらの方がややミサンドリーの色濃い描写が多かった気もするが、共通するのは「それでも私はこ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.6

気安く他人には薦められない。が、映画館で観るべき映画だった。脳が掻き乱される。我々が抱く嫌悪感や羞恥心でさえも舞台装置となってしまう。
男性たちの支配欲を知性でぶっ飛ばし、自由へと突き進んでいく姿が爽
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ぱん。(2017年製作の映画)

3.5

こういうテイストの作品も撮っていたのか…という驚きが大きい。

べー。(2016年製作の映画)

3.4

「予算3万でつくられたらしい」とか「血糊に吐瀉物を混ぜてよりリアルにした」とか聞いて、本当かどうかはわからないけど後者に関してもやりかねなさそうと思ったし、阪元監督の才能を末恐ろしく感じた。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

しっかり怖かった。軽い気持ちで降霊術なんてするもんじゃないですね、当たり前に。
ミアは特段良い子ではないし、可哀想ではあるけど、いまいち同情ができない。依存性が強く、どこにでもいそうな普通の若者なのが
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.7

誰かを笑かしたい衝動に取り憑かれるものの、社会には迎合できないという乖離。こんな悲劇的なことはない。才能ゆえの地獄。他の追随を許さぬ没頭には誰にも敵わない。胸がヒリつく生々しい映画だった。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.6

原作既読。映像化によってさらに解像度が上がるのはすごい。原作になかったシーンが、まるで元々あったかのように描かれており、野木先生の手腕が光っていた。
中学生の不安定さがリアルで、大人になればなんて事な
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.5

皮肉と風刺が満載のブラックコメディ。エロなしで殺人シーンもわりとマイルド。観やすいスプラッター。不謹慎だけどハムが本当に美味しそうだった。
ヴィーガンと環境保護活動家が一緒くたに扱われていたのは、あえ
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13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ(2004年製作の映画)

3.5

先の読める王道ラブコメなのに、不思議と退屈しなかった。自分を大切にしてくれる人を大切にすべきだし、幸せは案外すぐそばにある。

セブンティーン・アゲイン(2009年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

タイムスリップではなく、主人公だけが若返って、現代の家族たちと交流する設定が意外とないものなので、斬新さを感じた。
良い話風に終わったけれど、約20年もの間、子育てや家事に関しての責任を妻に押し付けて
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

どうしても企業案件臭さは否めないものの、変わり映えがないようで、少しずつ移ろいでゆく日々の美しさを眺める、優雅な時間だった。役所広司がふと微笑むだけで映画になる。

正欲(2023年製作の映画)

3.8

理解されにくいマイノリティ側の苦悩ではなく、理解できないマジョリティ側の辛さがよく描かれていた。

多様性のある社会とは、自分にとってはどれだけ大事なことであっても、他人からすれば全くどうでもいいこと
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恋愛小説家(1997年製作の映画)

3.9

実際は人並み以上に親切なのに、余計なことばかり言って顰蹙を買う、メルヴィンおじさんを愛でる映画だった。この偏屈おじさんがベストセラーを連発する恋愛小説家だなんて、にわかに信じ難い…(笑)