花火さんの映画レビュー・感想・評価

花火

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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

意外と『デス・ロード』感は薄いというか、先祖返りしたような趣がある(というか前作があまりに突然変異だったのだろうな)。そうは言っても要所要所のアクション組み立てやビジュアル的な面白さはちゃんとあるので>>続きを読む

莉の対(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

開巻早々、最初のテロップでテーマ的なことを書き出す辺りからもうこれダメなんじゃないのという悪い予感がそのまま的中する徒労感よ。今日日民放のテレビドラマですらもうちょっと作り込むだろうという平板な画面(>>続きを読む

#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版(2024年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

机を挟んで正面からバストショットで市長を写すカメラが高度を下げてデスクスレスレの位置になる。その後カットが変わって執務席左に回って靴を磨く彼を撮り、議会に向かって歩いていく姿を移動撮影でフォローし続け>>続きを読む

ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

実際の競馬含め完全初見。なのでまずウマ娘とは何ぞや…というところからなのだけれど、冒頭のゆきよさんナレーション(いかにも映画をやりますみたいなマイブリッジを連想させる連続写真はげんなりさせられるけれど>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

誕生日プレゼントのサプライズのために軍服を着たルドルフが目隠しをされたまま家の外に誘導される、赤子の鳴き声やプールではしゃいでいる子供たちのワーキャー騒ぐ声が悲鳴というか叫び声に聞こえてくる、庭で弟が>>続きを読む

おらが村のツチノコ騒動記(2024年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ツチノコ、存在しないマクガフィン。それを現在進行系で信じているかは別にして真面目に語る村の関係者たちのインタビューが主軸となるので中心が空洞というか、やや食い切らない感じはある。むしろ蛇の専門家が、こ>>続きを読む

ちゃわんやのはなし ―四百年の旅人―(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

若干総花的というか情報で埋まっている感もあるにはあるにせよ、もう十五代沈壽官の圧倒的な人物的魅力の前には瑕疵など吹き飛ぶ。とりわけ400年祭を取材した当時のニュース映像に、その時を振り返る十五代の声が>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

ドイツ映画で問題児と大人の対峙という大筋が語られるためか『システム・クラッシャー』との既視感を覚えたのだけれど、もう全然オチをつける気のなさそうなラストまで同じでげんなりしてしまった。いや、別に全ての>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

とりわけ今年は傑作ADV「未解決事件は終わらせないといけないから」があっただけに、似たモチーフが展開されつつクオリティの低い本作はかなり観ていてしんどい。石原さとみのいかにも「熱演しています」な演技が>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

まぁハードルを全く上げずに観たという点を差し引く必要はあるとは思うしだいぶベタではあるにせよ、プロキシマのアジトに連行されるまではクドクドした心理描写より動きを主体にしてドラマを組み立てていく姿勢は割>>続きを読む

トラペジウム(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

「もう思った通りのクズの集まりでした」という、最近観た某映画の台詞がまさしくというか。まず演出がクドい。例えば事務所前で言い争う場面で主人公に使う『めまい』ショットとか、心象表現としての雨とか、どこか>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

仮に予備知識が無かったとしても、本作の被写体が余命幾ばくもないことが分かるのではないだろうか。そんなことを思ったのは、鍵盤を弾く水分の少なそうな節くれ立った指や生気のない顔のアップ以上に、ピアノの周り>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

ズタズタにされた時制や返し縫いみたいに5分前くらいの描写を伏線っぽく出す雑な脚本、高台に上がって見上げた星空の「きれい」という登場人物の台詞に対して本当に全然鮮明に写っていないデジタル撮影(若干は映写>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の多国籍な製作会社テロップが表示されたあと「presents」と続き、青々と茂る森を斜めに見下ろした空撮で前進する画面が、タイトルが表されると同時に色を失っていく。この画面づくりは中々見入った。章>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

時おり挟まれる「歴史大作でござぁい」な仰々しい演出には苦笑させられることもあって中盤までは正直そこまで乗せられなかったものの、子供のかくれんぼと大人の衣服の中に隠される行為(教会の遣いから隠す母親のス>>続きを読む

ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

英語を学ぶために東京に出て進駐軍家族の子守の仕事を得た、元々そんなつもりは無かったのにハマってからジャズ喫茶を開いた、歌が好きだったが震災後に仮設住宅を転々とする中でそんな機会もなく歌えなくなってしま>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

議論を呼ぶラスト、個人的には「何かが終わる前に立ち会えるか」ということではないかと思う。『ドライブ・マイ・カー』の家福は音の死に間に合わなかった、『寝ても覚めても』の亮平が朝子に会ったとき彼女は既に麦>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

まず音が良い。前作『ケンとカズ』は音響が厳しいところもあって勿体なかったのだが、今回はリレコなどの役職の人が入っていることによって、しっかりとクリアな音に仕上がっている。それは単に技術的な達成だけでな>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

未明のロンドンの街並みを写し出す実景ショットがボヤけていきガラスに写った男性の上半身が見えてくる。このファーストショットは、本作はガラスの演出が重要だと宣言している。実際、アダムとハリーが最初に気づく>>続きを読む

見知らぬ人の痛み(2022年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

今にも壊れそうな脆さと、それでも世界の悪意を(ファーストカットのように)真正面から受け止めるのだという、大西礼芳のあり方はかなり良い。ただ、それが個人の問題にすり替わっていくのが、テーマ的にそっちでは>>続きを読む

クラメルカガリ(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

『クラユカバ』と二本続けて。とりあえず"二作品"と銘打つなら、片方の本編前にもう片方の宣伝をブチ込むのはやめてほしい。それで『クラメルカガリ』だが、もうここまで来ると別に誰が作っても変わらないような普>>続きを読む

クラユカバ(2023年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

過去作は未見。構想10年という割にはビジュアルも筋立ても既視感が否めず、特に惹かれるものは無かった。

日日芸術(2024年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

なんといっても、被写体の動きを柔らかにフォローするカメラの動きが心地よい。特にミルカ氏に声をかけられた富田望生が差し出された手を握る光景を真横から撮ったあと、左へ歩いていく二人をカット割らずにそのまま>>続きを読む

貴公子(2023年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

『魔女』シリーズがSF仕立てかつナメていた相手が実は…系なので全体的にまどろっこしい展開な反面、今回は一応現実ベースの世界観設定なのでトロついたことが無かったのは救い。それでも不必要に各人の目的をボカ>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

バカみたいなエルヴィスとの身長差(しかもキショくてクズなうえ、交際しようとしている相手に「ママはこれこれこうだった…」とか言う神経がサイコ過ぎる、どういう心持ちなんだ)、無駄にだだっ広いメンフィスの屋>>続きを読む

霧の淵(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

大部分の場面がフィックス撮影で撮られ、頻繁に無人の実景カットを重ねたシークエンスが挟まれ、窓枠を筆頭にフレーム内フレームで人物が区切られる。そして何より寂れた村のロケーション。自然や田舎の静謐さという>>続きを読む

フィシスの波文(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

紙の上を筆記具が滑る音から始まり、子供がクレヨンでひたすらぐるぐる渦を描く様をほぼ真上から見下ろすモノクロの画面に、それに近い模様のグラフィックののち、水面に落ちた雫がやはり同じような模様を形作る光景>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

まず最初に思い浮かんだのは、すっごい下品だなこれ…ということ。バーで並んで飲んでいる三人がどういう関係なのか邪推するオフの声、中央に位置する女性へ画面が徐々に寄っていくと、カットの終わり際に彼女がカメ>>続きを読む

毒娘(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

かの傑作『ミスミソウ』に比べると流石に弱いものの、充分水準は超えている良作である。というか、ある意味で三宅唱『夜明けのすべて』以上によくこれ商業ベースに乗せたなというくらい、子どもの残虐さ/男のどうし>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

この作劇を採用したのはもうどう考えても、オッペンハイマーその人を描きたいというのは建前で、トリニティ実験を再現したいというオブセッションこそが製作の意図だろう。それは『ダークナイト ライジング』で核爆>>続きを読む

成功したオタク(2021年製作の映画)

1.4

このレビューはネタバレを含みます

観ていて妙な既視感を覚えたのだが、これはつまりあれだ。推し活という題材が真新しく見えるだけで(しかし結局のところこれは「信仰の揺らぎ」を意味しているので題材自体も古臭いのでは?)、実質的には90年代後>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

黒いゴミ袋の中から空の薬容器が取り出される。その集団を遠巻きに見つめた後、メトロポリタン美術館に押し入っていく彼らを追うカメラ。すると彼らはデンドゥール神殿前に張られた水の中へ次々とそれを投げ込んでい>>続きを読む

ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ループものといえばループしていることを分かりやすく伝えるための"チェックポイント"の設定だが、本作はそのチェックポイントが次第にズレていくのが面白く、かつループを重ねるうちに殺す側と殺される側に奇妙な>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

パロディ元が露骨過ぎるのは面白くないなというのを再認識。あのの声も『鯨の骨』だと気にならなかったものの、本人のビジュアル抜きの単体だとだいぶしんどいというのも分かりました。

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

「Lemon」で米津玄師に『Grand Bouquet』の吉開菜央をぶつけるという発想が出てくる監督だからある程度期待していたものの、正直厳しい。海外ロケはもちろん、朝日を撮りに行くために山を登る佐藤>>続きを読む

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

階段を降りてホテルのロビーを歩くエリザベス・バンクスを後ろからフォローするカメラが彼女と共に外に出ると、辺りをぐるっと囲む警備隊に遭遇する。外で抗議行動をするデモ隊は直接ではなく建物にかかる影として表>>続きを読む