ardantさんの映画レビュー・感想・評価

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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

4.9

本作品が、本年を代表する一本となることは確かだ。
原作の感動の薄さと比較して、映画は映像の威力をまざまざと見せつける。
物語の設定を一つ変えただけで、これほどまでに、哀しさと感動を生み出させることがで
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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私はこの作品の完成・公開を一年以上待ち続けていたのだが。
数々のTVドラマで秀作を書いてきた坂元裕二の脚本であり、彼ならば、誰にも描けない文字通りの「花束みたいな恋」を創作してくれると思ったからだ。
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星の子(2020年製作の映画)

-

この作品自体が、作品の中で描かれている「奇妙な宗教」そのもののように思えるほど、奇っ怪だ。
成長した芦田愛菜の久しぶりの演技をみられること以外、この作品には何もない。

長いお別れ(2019年製作の映画)

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ただただ、松原智恵子の元気で美しい姿に出会えてうれしい。

21グラム(2003年製作の映画)

4.9

これが優れた作品であることは間違いない。
時間の交差した描写の中から、見る側は、その出来事の原因と結末を交互に想像し、確認する。

ギジェルモ・アリアガの脚本と、あとに『バードマン あるいは(無知がも
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

-

映画が残り1/4程度になった時、そのシーンは現れる。
女との関係がうまくいかなくなった男が、自分の母を訪ね、悩みを打ち明ける。その時、母は、失踪した夫、すなわち、男にとっての父のことを告白する。そして
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ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女(2016年製作の映画)

4.7

本作品は、歴史の波に翻弄される一人の女性を描いたものだ。
韓国併合により日本にほぼ強制的に連れてこられ、戦後は祖国の拒否により、祖国への帰国もままならなかった李氏朝鮮最後の皇女の悲劇を描いている。
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.8

この作品の物語は秀逸だ。脚本を手がけたジョナサン・ペレラに敬意を表する。
そして、主演のジェシカ・チャステインも、彼女のために作られた作品のように感じるほど、熱演。

サラの鍵(2010年製作の映画)

4.9

第二次世界大戦時のパリで起きたユダヤ人一斉検挙事件で、悲劇に遭遇する一人のユダヤ人女性の生涯を、自らの人生と照らし合わせながら探し求める一人の中年女性ジャーナリストの姿を描いたこの静かな作品は、確かな>>続きを読む

ラブストーリー(2003年製作の映画)

4.9

この作品は、同じ韓国映画でありながら、『パイラン』(ソン・ヘソン、2001)と違った意味で、哀しいが、美しい映画だ。
作品の後半、再会したシーンで、女が、男の目の前で何かを確かめるために、手を揺らす。
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チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話(2017年製作の映画)

4.7

この作品には芯があるように思える。
前半の平凡さに比較して、後半の非凡さが。
なんといっても、この作品を支えているのは広瀬すずの圧倒的な存在感と迫力だ。

麦子さんと(2013年製作の映画)

4.7

白のオーバーを着た堀北真希がまことにかわいい。
余貴美子が大好きだ。
彼女については、テレビドラマ『白夜行』(TBS、2006)でも触れた。
それ以上に、私は『白線流し』(フジテレビ、1996)で、高
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

-

本作品はベルリン国際映画祭で金熊賞と銀熊賞を取ったということだが、私には、観終わった後、何も残らなかった。その判断基準とは一体何なのだろうか。

パイラン/ラブレター パイランより(2001年製作の映画)

4.9

昔、『狂った果実』(1981,根岸吉太郎,日活)あるいは『竜二』(1983,川島透)を観た時に感じたようなやるせない感動を覚えた。
そして、この作品が描いたラストは、秀逸だ。それは、映像でなければでき
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.5

まさに、「映画」として美しい作品だ。
題名あるいはポスターから想像されるような、冷戦がもたらす悲劇ではない。
これは、お互いに愛し合いながらも、気持ちのすれ違いあう男と女の物語だ。
モノクロによる、よ
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工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.8

言い古されていることだが、国家の非情さあるいは権力を持つものの醜さが、痛烈に描かれている。

なによりも驚かされるのは、我々が北朝鮮が独自に行っていたと思っていた軍事作戦が、韓国の与党の地位にある議員
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シドニー・ホールの失踪(2017年製作の映画)

4.8

思いがけなく出会ったこの作品は、深く、哀しい物語だった。
私は、この作品が好きだ。

楽園(2019年製作の映画)

4.8

良質で緊密感に満ちたシーンが全編に亘って繰り広げられる質の高い作品だ。

杉咲花の表情が好きだ。
小学生の時、ある重要な事件の関係者となってから、彼女は、「自分だけ幸せになっていいのか」という苦悩を抱
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鈴木家の嘘(2018年製作の映画)

-

重く、暗い作品は好きなのだが、
本作品は「なんか、違うな」という気がしてならない。

帰れない二人(2018年製作の映画)

-

このような映画に期待を持つのは間違っているのかもしれない。

ラストだけはかっこいいのだが、全体の物語自体がつまらないから、もう一度、観たいとは思わない。

あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

4.7

久しぶりに映画館に足を運んだ甲斐があった。いたく感銘を受けたからだ。

今や欧米や我が国の作品にお目にかかることのない、男女間の抑制された感情の発露。

それと共に、理不尽な因習とこれもまた我が国
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離愁(1973年製作の映画)

4.9

ナチスの追求に、男はだまって、知らないと言って帰ればよかったのだ。
だが、彼は、彼女の姿を見て、そうできなかった。

この作品のラストは、何度見ても、切なく、美しい。私にとっては、最高のラストシーンだ
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フランス組曲(2015年製作の映画)

4.8

ミシェル・ウィリアムズは薄幸の女が似合う。
この作品は彼女の代表作と言えるのだ。

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

-

ミシェル・ウィリアムズがヒュー・ジャックマンに向かって言う科白、
「愛を欲張らないで。少しの善人の愛で十分よ」。

新聞記者(2019年製作の映画)

4.5

先月、フジの番組で久し振りにおすぎを見た。彼が、1980年代から90年代にかけて、本名である杉浦孝昭で、キネマ旬報などに映画評を書いていたのを、知っている人は少ないかもしれない。彼の評論は映画評として>>続きを読む

さよならくちびる(2019年製作の映画)

4.7

小松菜奈、門脇麦、成田凌の3人しか出演しない作品。引退を決めた女性デュオとマネージャの3人が、各地のライブハウスを旅する数日間を描いただけの作品だ。
元ミュージシャンでホスト上がりのマネジャー成田凌が
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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.9

人は、偶然の出会いや自分の発するほんのささいな言葉やふるまいが、他の人にとっての生きる支えになったあるいはなっているのかもしれない。

そして、自分にとっても、そのことは言えるのだ。

この作品はその
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.8

予想もしていなかったのだが、見終わった後、清々しさを感じた。

尽くす女というよりは都合のいいオンナとそれを何のためらいもなく利用する男とのカップル。とても能天気に思えるふたりだ。男は利用してるという
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運び屋(2018年製作の映画)

4.9

ケン・ローチ82歳、クリント・イーストウッド88歳。政治的には、真逆の立ち位置にいるように思える二人の、市井の人々に向ける眼差しは共に優しい。ケン・ローチが、それを、ダイレクトにラジカルに表現するのに>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.9

私はケン・ローチの作品をどういうわけか沢山みてきた。『天使の分け前』、『この自由な世界で』などの社会的弱者への暖かいまなざしとそんな社会への怒り、一方で、『麦の穂を揺らす風』、『ジミー、野を駆ける伝説>>続きを読む

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

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この作品があの過去の有名な作品と同じ構造を持っていることに気づかれた方もたくさんいるだろう。私は、被害者の地元で、情報を仕入れようとする刑事の立ち振舞を見た時、それはどこかで観た風景だと感じた。

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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

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悲しいかな、本作品を見ても、何も感じないのだ。
アカデミー主演女優賞を取ったオリヴィア・コールマンの演技が素晴らしかったのかも、私には定かでない。
ただ、彼女が、「実は自分を巡って争う女性二人を見て自
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.8

見逃していて、ずっと気になっていた本作品をDVDで見ることができた。
まさしく、「哀しい」物語だ。
雪と静寂しかない世界で起きた惨劇。そこは、ネィティブアメリカンが強制的に押し込められた世界。

同じ
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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年製作の映画)

4.5

勇気をくれる作品だ。

大泉洋は『恋は雨上がりのように』でもそうだったが、こういう役を演じても嫌味が全くなく、さわやかなのだ。それは演技ではなく、持って生まれたものなんだろう。

高畑充希も、うまい。
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マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

4.8

私は、昨年の最後の作品となったこの映画が好きだ。

他人の子供を育てるハル・ベリーの健気な美しさと007シリーズでは見ることのできないダニエル・クレイグの新しい面はもちんろんだが、この作品も、生き方を
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かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―(2018年製作の映画)

4.7

ひょっとしたらという私の思いが通じたのか、この作品はいい。
評論家松田政男流に言えば、「母ものの、お涙頂戴映画」、ただそれだけの映画とも言えるのだが、なぜか心地よさが画面から伝わってくるのだ。

監督
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