KenzOasis

ブラック・フォンのKenzOasisのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.5
フルフェイスマスクの目的の見えないやばいおっさんに誘拐された気弱な少年。監禁部屋の地下室にある、線の切れたはずの黒電話がなぜか鳴り響き、少年にアドバイスを送る。

随所の理由づけみたいなのの意味がわかりにくいところもあるんだけど、アイディアや展開のうまさが際立っている作品だった。

一番好きだったのは夢のなかで、過去のヤンキー坊主の悪行を追体験しつつもヒントが出てくる演出が光るシーンかな。

また、主人公の少年家族にある問題として、DVをする病んだ父親に怯える設定があったけど、この設定に主人公兄妹の「暴力」に対する対処の仕方とか性格がよく出てて、それが物語にきちんと影響がある形もよかった(父の機嫌を損ねるのが嫌で静かに行動する→誘拐犯にばれないように静かに行動できる)。

母親が持っていたっぽい能力、なぜそこまでイジメられるのか、ロビンとなぜ友達なのかとかがよくわからんところはあるけど。

少年たちに迫る誘拐と殺人の危機、超能力要素があるところなんてスティーブン・キングぽさたっぷりで、「IT」ぽい面白さ。原作がキングの息子ということで納得した。

イーサン・ホークの絶妙に作り込まれた肉体の感じとか、いくつも面がありそうな雰囲気、別に知能犯ではないが常人には理解できない謎の強い信念で行動できてしまう感じはうまいこと出てたなあ。

バランスと設定のいい映画でした。
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