Jeffrey

アウトサイダーのJeffreyのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1981年製作の映画)
3.5
本作は社会に適合できないミュージシャンの姿を描いたたるタルベーラ監督第二作にしてて珍しいカラー作品として有名な本作は、今年の1月にイメージフォーラムでいっきょに上映され、このたびブルーレイボックスが発売されたので購入して初鑑賞した。本作がきっかけで監督は国家と当局より目をつけられることになって、本作以降すべての作品で編集を担当するフラニツキー・アーグネシュが初めて参加した作品でもある。酒場での音楽とダンスなど、監督作品のトレードマークと言えるような描写が早くも見てとれる。日本でも80年代にヒットしたニュートンファミリーの「サンタ・マリア」が印象的に使われている。上映時間は128分で、981年のハンガリー映画である。

この作品は正直彼の作品の中でも退屈極まった映画の1つで、多分目的もなくふらふらと日々を過ごす若者の日常を淡々とカメラに捉えたと言うところがあって、少しばかり退屈感もしくは窮屈感を観客は味わってしまうかもしれない。上映時間も120分とこのような作風にとっては長めな演出方法もあるためだと思う。国立演劇専門学校在学中に撮られた作品だが、学生映画ではなくプロフェッショナルなスタジオ制作映画らしい。また本作は、秋の暦と並んで、この作家の全部で2本しかないから長編映画の1つだそうだ。

主人公の男性を演じたのは実際にミュージシャンで演技経験の全くなかった人物らしい。監督がとあるコンサートで演奏していた彼をたまたま目にして起用を決めたそうだ。彼にとっては、大スター俳優であろうがその辺の工場労働者であろうが、重要なのは人柄であり、反応の仕方だったらしい。つまり作家は、出演者選びをする際に、まず彼らの佇まいをチェックするそうだ。まだ日本では円盤化されてないが、社会的リアリズム三部作と呼ぶべき映画群の最終作がプレハブの人々というのがあるらしいがそれはまだ見れていない。とにもかくにも社会主義時代のハンガリー社会が透けて見える点において重要な作品群たちだ。
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