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ノースマン 導かれし復讐者のこどものレビュー・感想・評価

4.7
I choose both.

『ライトハウス』では北欧神話をベースにメタファーにメタファーを重ねるような難解さで、一度の鑑賞では理解しきれなかったのに比べて、本作にそんな難しさは一切ない。
「復讐」というド太い一本筋を軸に話が進んでいくので単純明快でありながらも、ありきたりで陳腐な復讐劇に収まらなかったのは、その圧倒的な美術の作り込みと芝居で確固たる世界観を構築していたからに他ならない。

ロバートエガースが得意としていた暗喩。これを用いるということは、客の脳みそ、その理解力想像力を拝借しそれを利用するということでもある。本作ではそれを排し、純粋に視覚で全てを、ある種「反射的」に理解させてやるという意気込みを感じる。
そしてそれが成功しているからこそ、泥臭く決して洗練されているとは言い難い大男たちの戦闘に胸を熱くし、アムレートが復讐というたったひとつの綱を必死に手繰った先に導かれた新しい世界に心を震わせられるのである。
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