たむたむ

オッペンハイマーのたむたむのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
「我は世界の破壊者なり」
本年度、第96回アカデミー賞において、作品賞・監督賞はじめ主要7部門受賞作。

”原爆の父”と呼ばれる天才物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた、クリストファー・ノーラン監督による伝記ドラマ。
『オーメン THE FIRST』とハシゴして来ましたw

第2次世界大戦下。アメリカでマンハッタン計画が極秘裏に立ちあげられ、仲間たちと共に原子爆弾の開発に成功した科学者、J・R・オッペンハイマーの深い苦悩と葛藤を描く。

時間軸を弄り倒すスタイルは影を潜め、本作は比較的分かりやすい。ただ、原爆開発以降の水爆推進に関する会議と聴取のシーンはモノクロ、原爆開発までがカラーで描かれ、映画前半では4つの物語が並行して同時進行していくため、時系列を把握するのが難儀な印象は否めず。
鑑賞の際は「赤狩り」や「冷戦」など、当時の時代背景を事前に押さえておくと理解が深まるかと。

とにかく難しい会話ばかりで埋め尽くされた3時間でしたが、結果『ボーはおそれている』より遥かに集中できた気がする(爆)前半1時間くらいは身動き一つせず見入ってました。やはりノーラン、こういったジャンルを見慣れていない者ですら、魅了してしまう手腕はさすが。

間違いなく観て良かったと思えたけれど、率直な感想としては、本作では原爆の恐ろしさが十分に伝わって来なかった…ということ。
もちろん、あくまでオッペンハイマーの苦悩に焦点を当てた作品であることも、原爆という兵器が誕生したことで未来の平和をも揺るがす事態に陥ったことを示唆する、反核映画ということも理解できる。
だからこそ、戦争を知らない世代に歴史を伝えるなら、アメリカ視点で描かれた本作よりも、より具体的に惨状を追体験できる『はだしのゲン』を選ぶかな…と鑑賞後に思った私でした。

米・アカデミー授賞式で、本作のアンサー映画の意欲を語っていた山崎貴監督に期待( ˘꒳˘ )
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