A8

オッペンハイマーのA8のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
今年のアカデミー賞の作品賞をはじめほぼ無双状態だった話題作“オッペンハイマー”。

本国公開から約9カ月おくれての日本公開。
その背景には“原爆の父”と言われた者の半自伝作品で原爆をテーマにあげたから、、?

とにかく多くの話題を呼んだこの作品をいよいよ劇場で鑑賞👀




“原爆”又は“水爆”の怖さを直接的な表現で表すというより、、
本作の主人公“原爆の父”オッペンハイマーを通して間接的に描いていた。
原爆のシーンはロスアラモスでの実験のみ
原爆の悲劇や怖さは
彼のその歴史を変えてしまった“前”と“後”の世界をみれば容易に想像できるはず。

これはあくまでもオッペンハイマーの半自伝作品。
彼の人生に焦点を当てるところはしっかりブレずに保ちつつ、原爆を直接的には描かないものの、彼の表情や周りの扇動、様子、民からの間接的な姿から確かにそして“リアル”に原爆の怖さを描いていた。

何十万人もの命が犠牲になっても
成功!英雄!として崇められる事になった結果と、心にのしかかるその罪、責任、、
そして赤狩りにより転げおちる人生の転落。
“原爆の父”と呼ばれた彼の数奇な悲劇を描いている。

原爆が落とされ、日本が降伏し、
結果的に戦争終了の立役者となったオッペンハイマーを“原爆の父”賞賛していた者は、まるでおろかにみえるのだ。
何十万人の命の犠牲を言い訳にできる正義はあるわけが無い。
だが、実際問題これが現実と思うとかなり恐ろしいのだ。
二度言うがこのように間接的だからこそ、その“愚かさ”、そして人間の恐ろしさを“リアル”にうまく描いていたと思う。

目にする前にいまから訪れようとするその“恐怖”を想像してほしい、、

印象的だったのは、
原爆を落とす都市をきめる幹部での会議。
丸を囲んだように椅子に座った政府の重役たちが、この場所は新婚旅行で行った綺麗な場所だから外そうだとか、なんだとか、、
まるで悪魔を具現化したようだった。
ここまで人間はおそろしくなれるのかと、、



冒頭、ある池の前でオッペンハイマーがアインシュタインに向かって何かをささやくシーンがある。
アインシュタインはその後別人になったかのように、人の挨拶にも応えないで颯爽と歩いていく🚶
誰もが認める天才学者アインシュタインのそんな態度をとった“理由”とは。
その理由を、大事な最後に持ってくるあたり、この「オッペンハイマー」と言う作品が
本当に伝えたかったこと
それを強烈に表していると思った。

→彼は「世界は破滅している」そう言った。
原爆を作る数年前、ある科学者が爆発させた時の衝撃を計算した結果、、
“世界が破滅する”可能性があることがわかる
それは限りなく低い数字であるが
彼はそのことを気がかりに
ある日アインシュタインのもとを尋ねる
結局、その計算は当てししなかった。

しかし、原爆が世に放たれたらこの世の中、
計算は当てにならなかったが
原爆によって彼の言葉通り「世界は破滅に向かっている」のだった。
その瞬間ゾッとした、、

この最後にガツンと怖さというか強烈さを持ってくる表現法に
さすが、クリストファーノーラン
そう思った。

キャスト陣はいうまでもなく良き。

世界の永遠の悲劇で
永遠のテーマとなっている問題を
オッペンハイマーという1人の男を通して
うまく描き切ったな、、
さすがクリストファーノーランだなと思う。
A8

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