よっすぃ

オッペンハイマーのよっすぃのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
制作が決まってからずっと自分の中で1番見たかった映画 oppenheimer
自分を映画好きにさせてくれた監督の最新作
日本公開が決定した時はほんとに嬉しかった

公開初日 そして今日も 鑑賞しました。
度肝を抜かれた… ここまでの映画作れるのか… 観終わったあとに つーっと涙流れてきた。多分感動以外の感情で映画で泣いたのは初めてかもしれない。

今回まず言いたいのが待ちに待ったノーラン監督作品初のキリアンマーフィ主演の物語。
インセプションダンケルクといい数多くのノーラン映画に主要な役で出ていたキリアンマーフィ
今作演技力が桁違いだった。キリアンマーフィではなくオッペンハイマーという人物として認識してしまった。 終盤あたりはこのオッペンハイマーの苦悩が表情だけで身に染みるほど伝わってきて視聴者までも辛くなってくるほどの怪演。
アカデミー賞生で見てたけど本当に主演男優賞おめでとう🎊

そして今作第2の主役と言ってもいいストローズ これを演ずるロバートダウニーJr。 今までの経歴的にアイアンマンが重視される彼だけれどもこんな役も出来るんだぞと証明してくれた。 アカデミー賞助演男優賞取ったけどそこまでなのか?と少し懐疑的な感情も正直あったけどそれが申し訳なく思うくらい素晴らしかった。終盤のオッペンハイマーへの本音をさらけ出すシーンなんかはうっわすっごっとなってしまうほどの演技力…

でもやっぱり1番言いたいのは監督クリストファーノーラン。
自分を映画好きにさせてくれたきっかけであるノーラン監督の新作ということで期待いっぱいで見たけどもその期待を大幅に越してきた。
今作も時系列並べで上手く観客を引き込ませ続ける作り方にしていて、尚且つ重要なシーンではIMAXで映える広大で迫力のある映像と重低音を中心とした音楽で多分視聴者のほとんどの鳥肌を立たせたと思う。
最後の終わり方は伝説的だと思う。1回目は泣いちゃったし2回目も鳥肌止まらなかった。
今作自分の好きなインセプションインターステラーテネットのようなSF映画ではなくまあ言ってしまえば会話劇。自分は淡々と進む伝記もののような映画は苦手な傾向があるけど今作終始惹き込まれた。 さっきも言ったように時系列をバラバラにしかつ音楽音響映像で全く飽きさせない展開を創り出したノーラン監督には脱帽… 体感早かったなぁいつの間にか終わってた。

この映画自分は終始眉をひそめながら見ていた気がする。
冒頭からいきなり時系列ごっちゃの展開で始まる(青年時代や戦争後等) 何故か白黒がいちばん新しい時系列だけれども(そこがノーランの面白いところ)、一応戦時中戦後の経歴を覚えていたのですんなりと理解出来た。この映画終始教養単語(?)というか昔の出来事名がいっぱい出てくるけれども、多分1番自分が世界史選択で感謝した日かもしれない。 嫌味とかじゃなくて運良くほとんど理解出来たからこそこの星5の評価を付けれたと思う。多分分からない単語いっぱい出てたら途中でオーバーヒートしてた。(実際に何個かその経験ある)

そしてフローレンスピューさん…まさかこんな役で出てくるとは…
r15しっかりしてた。 この2人の絶妙な関係結構好きだったなぁ
あの黒い手はそういう事なのか?…
だとしたら悲惨すぎる人生だよ…

マット・デイモンが出てからは結構展開が進み始めて科学者のリクルートからトリニティ実験まで体感秒で進んじゃう。 この間にも戦後のモノクロを挟みながら観客に整理させやすい展開を作ってて感心した。

物語のトップシークエンスのひとつ トリニティ実験。これには度肝抜かれたなぁ
IMAXで鑑賞していちばん良かったと思えるシーンかもしれない。 見てるこっちまで緊張感が半端なかった。カウント数えるシーン本当に心臓に悪い。 あと衝撃波の音が来るまでずっとビクビクしてた。
成功した後のみんなの歓声にはやっぱり日本人として複雑な感情になったなぁ 祝福なんて決してできなかった。自分たちはこれが広島と長崎に落とされることを知ってるから。

この実験の後のオッペンハイマーの演説シーン ここには震えた。 今まで見た事のない演出 背景だけを動かして心の奥に抱える膨大な後悔を伝える描写… 流石にやばいって…
ここで被爆した女性役に自分(ノーラン)の娘に演じてもらった事を知ってノーランのこの物語への覚悟が伝わった。
黒焦げになった死体を踏む描写は自分の中で本当にキツかった。去年の今頃原爆資料館で色々なの見たからかなりきちゃったなぁ

映画を楽しむために最近書店に置かれた伝記本含め前情報を一切入れずに見たので、まさかこの物語が戦後の水爆賛否の所まで行くとは思っていなかった。 オッペンハイマーが水爆に断固として反対な意志を心の中に抱いていた描写はすごい日本人としてというか人間として嬉しかったな。
尋問の不当なシーンで溜まったイライラを最後の3分ほどで解消させてしまうのは流石。 エミリーブラント良い演技してたなぁ

ラストシーン。
自分は今まで観た映画の中でラストシーン(終わり方)で感銘を受けた映画を上げるとしたら数個しか浮かばない(インセプションは自分の中でかなりトップ)が、今作ラストシーンでの衝撃はもしかしたらいちばん強かったかもしれない。
この3時間を通してほぼ完全に理解できたオッペンハイマーの思想感情とリンクして最後の表情だけのシーンでとてつもなく大きい何かを自分も実感できた気がする。終わった後は感動では無いまた違う涙が流れてきた。

〝I belive we did〟


原子爆弾を落としたら大気中で連鎖反応を起こし世界中燃え広がるんじゃないのか。
確かに燃え広がった。 各国が核を作り出し軍拡競争へと進む連鎖反応を起こして
この映画を見たら今生きてる世界がいつ終わってもおかしくない世界ということを酷く痛感させられた。


クリストファーノーラン監督そしてキリアンマーフィを筆頭とした大勢の作り上げた人達に感謝します。
自分の中で1番の映画に出逢えました。
よっすぃ

よっすぃ