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オッペンハイマーのmoonのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
地図の上から人はみえない。

原爆の父と謳われたオッペンハイマーの苦悩。
原爆を作り戦争の歴史を変えてしまった男。
ずっとフラッシュバックしている原爆の燃えさかる炎と原子の描写、原爆投下後の景色。
被爆した人、灰となった人を踏んで歩く描写、目の当たりにした原爆の光。

原爆実験成功の炎が燃えさかるシーンのオッペンハイマーの表情が横からしか見えなくてはっきり見せないのにはただ成功を喜んでいるだけではない感じがした。
こんなものを世にだして大丈夫なのか、とんでもない実験を成功させてしまったのではないか、もう後戻りはできないと思っているような表情にもみえた。
広島原爆投下後スピーチの際責任を煽るかのように泣きながら喜ぶ人、笑いながら歓声をあげる人、彼の言葉を心待ちにしている人、でもその声は顔はオッペンハイマーには届かない。
そして原爆投下を決めたのは私だという大統領の言葉。
オッペンハイマーは少なくとも人間らしく、無慈悲でも冷酷でもなくただただ物理学者として携わってきたマンハッタン計画の一員だった。
キリアン・マーフィーの吸い込まれるような青い目が印象的で、オッペンハイマーの表情をアップした描写がおおく彼の頭の中を駆け巡る思考をみているようにもみえた。
映画の始まりからわりと大きな音が鳴り響くシーンが多いので苦手な方はIMAXじゃなくても要注意。

ロバート・ダウニー・Jrは嫌味ったらしい卑屈な役がすごい似合う。
この役のために額を剃り、後退している姿に近づけたらしい。
2人の関係が良好だったらこのストーリーはどうなってただろう。
アインシュタインが返事をしていたらあそこまで
汚い手を使うことはなかったのかな。

育った国、歴史によっては角度がいくつも変わりそうな作品。
日本人に向けられた視点の映画をあまり見たことがなかったから広島、長崎という言葉が有名キャストから発せられるたびにずしんと心が重くなる。
実験成功の炎をみたときは鳥肌がたったし2回やってやるといったセリフは実際にも言ったのかなーと思考を巡らせて悲しくなった。
オッペンハイマーについて調べたら1960年に来日していたらく東京と大阪だったみたいだけどどんな想いだったんだろう。と気になった。
写真みたけど確かにキリアン・マーフィーに似てる。

どうしても日本への描写が乗り気になれなくてまた見にいきたいとはなれない気がする。
けどこれが過去に起きたのは現実なのだから目を背けてはいけないと思う。
広島へ原爆投下されたシーンはわたしたちには
見えてないけどキリアン・マーフィーはじめ
キャストたちには実際に広島へ原爆投下された映像が
流されていた中での演技だったらしい。
その表情は演技だったのか感じとったそのままの
自然な表現だったのか、後者のほうであってほしいと思ってしまう。

見に行くまえ登場人物が多いから混乱すると書いてあったのでサイトで復習したけど無理だった。笑
自己紹介のみだしでてきても名前出てこなくてえーとだれでしたっけ?ってなる😂

観るまで時間があったのでNetflix監修の
「アインシュタインと原爆」を見てから挑めた。
マンハッタン計画と赤狩りは割と理解できたのでアインシュタインも含めサクッと理解したい方にはおすすめです☝🏻
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