世界初の原子爆弾を開発した"原爆の父"と称されるアメリカの理論物理学者"Ｊ・ロバート・オッペンハイマー"を題材にしたヒューマンドラマで人類に原子爆弾という存在をもたらした男の生涯を描きだす。まず世界を滅ぼすほどの兵器や脅威がとてつもなく精神の脆弱で不安定な男につくられた、という根源の恐怖を考えさせられる。また肝心の日本公開が成され、ようやくすべてが完結した。オッペンハイマーの一瞬一瞬の葛藤も余白や仕掛けがあり、意味をなすシーンに思える。観る側の体力も手に汗握り、必要とされた。時間軸の刷り込みも妙を多用してて複雑で巧み。間違いなく今年２０２４の最重要候補に入る観るべき作品なのは間違いなく、クリストファー・ノーラン信者でなくとも原子物理の在り方や"止めれなかった"心理描写に対して１８０分語り合う作品である。
