映画にはまったくリコリスの事は出てこなかったけど、リコリスってものすごくクセのあるハーブの事みたい。そんなリコリスは日本人の味覚にはとても不味いものだけど、他の地域ではポピュラーに食べられていたりする。なんでも美味しいように思わせてしまうピザの様な料理にしてもリコリスはクセが強すぎるけど、そのクセがなぜだか猛烈に気になってしまう人がいる。美味しいとかではなくて気になってしまう。その不思議な味わいを。
この映画は70Ｓボーイミーツガールの青春恋愛コメディ映画。よくある手堅いフォーマットだけど、その味わいは独特。開始から最後までほろ苦くてほんのり甘くてところどころピリッとする。まさにこの味わいが、タイトルの「リコリス・ピザ」という事だろうなと思った。
その味わいは、登場するキャラクター達とそれは映す場面場面の空気感のせい。
綿密に造形され調理されたキャラクター達はそれぞれにクセが強いがしっかりと存在感があるので物語に振り回されず、彼らの行動が物語を動かしてゆく。
どんでん返しとか伏線とかいう物語だけが優先される映画ばかりの今に必要な映画。
