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モスル~ある SWAT 部隊の戦い~のkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『モスル あるSWAT部隊の戦い』
原題 Mosul.
映倫区分 G
製作年 2019年。上映時間 102分。
IS(イスラム過激派組織)によって何もかもを奪われた男たちが、命がけでゲリラ戦を仕掛ける姿を実話ベースで描いた戦争アクション。
『アベンジャーズ』シリーズのルッソ兄弟がプロデュース。
監督は『ワールド・ウォーZ』(なんで続編がお蔵入りやねんプンプン)などの脚本を手がけたマシュー・マイケル・カーナハン。
今作品が世界各国で注目を浴びたことにより、キャストのSNSアカウントにはIS組織のメンバーやその支持者から脅迫メッセージが寄せられたという。

長引く紛争により、荒廃したイラク第二の都市モスル。
21歳の新米警察官カーワは重武装したISILに襲われたところを、ジャーセム少佐率いるSWAT部隊に救われる。
カーワが身内をISILに殺されたと聞いたジャーセムは、その場で彼をSWATの一員に招き入れる。
少佐を頂点に統制が取られ、十数名の元警察官から構成されるその部隊は、本部からの命令を無視して独自の戦闘をおこない、カーワには明かされないある使命でつながっていた。
激しい戦闘で仲間を失い、絶望的な状況に直面しつつも、部隊はISの要塞に向かう決断をする。その決断の裏には、彼らの隠されたある任務があった。
※ISILの略称がISで、劇中始め中東では『ダーイッシュ』と呼んでおり、近年ではこの呼称も広まりつつある。

はじめに、今作品はイラク政府軍が、ISILにより2014年6月に奪われた都市モースルを奪還するため、同盟関係にある民兵組織、クルディスタン地域政府ならびに国際的な有志連合と共同で2016年に開始した大規模軍事作戦、モスル奪還作戦と呼称される出来事あったが、モスル解放まで命令機構から外れて独自にISILと戦い続けたイラク警察部隊SWATがいたという、雑誌の記事が本作のベースになってるそうです。
捕虜を取らず、戦死者から武器弾薬はおろか、現金やタバコも調達するSWATというよりも独立愚連隊のような彼らの姿は、おそらく事実だと思うし、今作品はそう感じさせる迫力があった。
登場する銃器も多彩で、AKS-47、AKM、AKMS等々、カラシニコフ系がメインの銃器が見られ、ジャーセム少佐のAKはホロサイトやバーチカル・グリップ、TAPCO製フォールデイング・ストックが装着されたモダナイズド・タイプで、ちょっと見ではカラシニコフに見えないって感じにミリタリーファンに唸らせるとこもありました。
今作品は先にも記したように実話に基づく映画ですが、ヒーロー部隊の犠牲への共感を高めるには、もっとうまく表現できたはずやとは思います。 
しかし、この映画のリアリティに影響され、見終わった後に印象を持たないということはありえないとは思いますが。
今作品の演出はドキュメンタリー的なもので、各役割に権利を与え、シーンの管理方法とその間の移行は素晴らしいの一言でした。
また、撮影は、スナップショットを撮るという面と、重要なシーンに焦点を当てるという面を適切に使っているという点で、ほぼ万遍なく行われていたし個人的には巧みだなぁと思た。
今作品のジャーセム少佐演じるスヘール・ダッバーシの演技は完全に即興やそうで、重要なシーンで彼に起こる不要な混乱があるにもかかわらず、これがキャラに真剣な面を加えていました。なぜ彼が、続々と映画にご出演しないのか不思議なくらい巧みでした。
もしかして、、、奴らに殺られちまったのか、、、
脇役陣は少し寒々しくなってしまったきらいがあるが、それでも撮影と演出の素晴らしさで十分かな。
また、脚本とキャラ作りはチョイ難があり、事件の経過が、キャラ、その原因、苦しみ、感情を理解するのに十分な時間を与えなかった。
もし、この映画が全編2時間であったなら、キャラはもっとよく成長したんちゃうかな。
今作品のメッセージは、イラクの地を解放するのはアメリカでもイランでもなく、イラクの軍隊だけであるということ。
この事実と、アメリカやイランの存在がもたらす最も明白なマイナス面をよく描き出していました。
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