垂直落下式サミング

シン・ジョーズ 最強生物の誕生の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
中国産のおサメムービー。ガン治療の特効薬となる成分がサメの身体から発見されたため、ある研究施設が遺伝子操作を施して飼育しようとするのだが、副作用で凶暴化したサメに人々が襲われてしまう。
水陸両用型シンジョーズ。サメにとある別種の生物をハイブリッドさせ、過剰に細胞を自己修復するがゆえに、どんな環境にも適応できるゴツゴツした凶暴な怪獣の姿になってしまったと、一応は納得できるような理由があるし、展開にチンタラした部分がなくスピード感があっていい。
しっかりとグラフィックを作り込んでいて、サメを出し渋らずに冒頭から気前よく見せてくれる。行き過ぎた利益追求への警鐘は使い古された手管ではあるけれど、しっかりと社会批評性を入れ込む律儀さも持ち合わせるし、決着のつけ方もこれまでの伏線を踏まえたものだったので、わりといい。
そんでもって、女性科学者たちの服装がよき!上ゆったり無地シャツで下はタイトパンツみたいなインテリ留学生スタイル。美人なのに、トレンドじゃないダサさが絶妙。
華があるかないかわからない登場人物たち。優秀だけどヤル気のない態度のやつが、重大なプロジェクトの責任者みたいなポジションにいるのは、リアリティーを欠いた配置。現場人間として出てくるんならいいが、そこそこ高い地位にいるから不安になってくる。
こういうキャラクターは、中国のB級をみているとけっこうな頻度で出てくるんだけれど、こういう一昔前の日本アニメに出てきたスカしたヒーロー像が望まれているんだろうか。そいつをアニキアニキと慕うでぶちんとか、功利主義でゴーゴーなリーダーとか、良識のある美人女性の理解者とか、感じ悪い科学者とか、型落ちしたフォーマットでキャラクター作ってんじゃないかってくらい、コテコテに古めかしい。
僕としては、お前らこんなところにまだ居場所があったんだなぁと感慨深くみましたが、昨今の映画作品に慣れ親しんだ層には見向きもされないんじゃないかしらと。そう思うと寂しいな。
アメリカ本国での興行収入はそれほどふるわなかったリメイク版猿の惑星とかハリウッド版ゴジラが、中国では超大ヒットしているのを鑑みるに、中華人民はモンスター映画がお好きな国民性らしい。
自国でもサメや怪獣をたくさん作っているから、そのうちグエムルみたいなのが生まれくるんじゃないかしら。オラわくわくしてきたぞ。