こしあん

ちょっと思い出しただけのこしあんのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.2
「夏はじまりました」
ニューヨーク屋敷に持ってかれたわ〜🤣🤣🤣
今年の梅雨が異常に短くて6月から猛暑続きなのも、ぜんぶ屋敷のせい。
いいぞ、屋敷、いいぞ。
バラエティ番組で屋敷を見かけるたび、この映画を「ちょっと思い出しただけ」しちゃうわ。

遡り系ラブストーリーで伊藤沙莉って、『ボクたちはみんな大人になれなかった』をちょっと思い出しちゃうけど、私は断然、こっちのほうが好きだなぁ。

伊藤沙莉と池松壮亮、アンタら本当に付き合って別れたんか⁉︎ってくらいナチュラルで素晴らしかった。この二人じゃなきゃ、あの空気感は出せない。ホントうまい。
やりとりがセリフっぽくなくて超自然体。二人だけの内輪ウケのような言葉の掛け合いが楽しい。
二人とも愛おしくて好ましいキャラなのでストレスなく観れるし、二人のことをもっと知りたくなる。だからこそ、時間を遡るたびにギュッと心を持っていかれる。

ちゃんと遡っていってることや関係性の変化を、言葉で説明しすぎず、さりげなく分からせる上手さ。
あの時のあの言葉はこういうことで、あぁ、過去にそんなことがあったのかぁ、なるほど、この時にね、という、小さな出来事がカチカチ繋がっていくのが気持ちいい。パズルのピースをうめるように。
二人のことだけでなく、周囲の人たちの過去が分かっていくのも良かった。

男女の惹かれ方とすれ違い方のあるあるが、うま〜く描かれてたなぁ。
言えるうちに言っておいたほうがいいって、粋な初老のタクシー運転手が教えてくれてたのにね😢

あの頃に戻りたいとか、あの時の決断は間違ってたのかなとか、いろいろ後悔してるとか、そんなことなくても、「ちょっと思い出しただけ」な瞬間ってあるよね。
私のことも「ちょっと思い出しただけ」してくれてる人はいるのだろうか……なんて考えると悲しくなるのでやめる😅

『くれなずめ』や『君が君で君だ』もそうだけど、松居大悟監督はタイトルの付け方がうまいなぁ。

すごく切ないのに、ラストはとても美しく幸せな気持ちになる。しんみりしつつ、どこかあたたかく、清々しい朝焼け。
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