一人旅

沈黙は金の一人旅のレビュー・感想・評価

沈黙は金(1946年製作の映画)
4.0
ルネ・クレール監督作。

フランスの巨匠ルネ・クレールが戦後間もない1946年に脚本と演出を手掛けた恋愛喜劇の佳作で、フランスのみならずアメリカでも活躍したヴォードヴィル芸人のモーリス・シュヴァリエが主演を務めます。

20世紀前半、古き良き時代のフランスの映画撮影所を主な舞台に巻き起こる恋愛喜劇で、やり手の映画監督である中年男エミールと、彼の旧友の一人娘で女優の卵であるヒロイン:マドレーヌ、彼女に一目惚れした若手俳優ジャックの男女3人が織りなす三角恋愛のゆくえを軽快に描写していきます。

当時の雰囲気を再現したノスタルジックな撮影所の風景とパリ下町の風情ある情景に乗せて、まだまだロマンスを捨て切れない恋多き中年映画監督と未来ある若き俳優男女の恋の顛末をフランスらしい洒落た演出で描き出したフレンチコメディの佳作で、ルネ・クレールのキャリアの出発点となったサイレント映画に深い愛着とオマージュを捧げた小粋なオチには監督の洗練された演出センスが見事に結実しています。
一人旅

一人旅