さすらいの旅人

死刑にいたる病のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.8
●死刑囚からの手紙には注意が必要です
【CATV/日本映画専門ch/放送録画視聴/シネスコサイズ】

賛否両論あるみたいだが大変面白く観た。
サイコパスの死刑囚と大学生との奇妙な交流を通して描かれる奇想天外な物語である。全編緊張感に溢れ、スリリングな展開には久しぶりに酔わされた。残酷極まる死刑囚は、一見して心優しく魅力あふれる人物として最初描かれる。ただ、目が恐ろしく怖い。この辺の阿部サダヲの演技が素晴らしかった。

大学生の家庭や被害者周辺に対する伏線がいい。何も決められない母親や冷たい父親。大学生に近ずく謎の長髪の男。観客は何か変だなあと思うが、徐々にその謎が解明されて行く過程がミステリー映画の醍醐味を強く感じさせてくれる。映画が始まり一時間経過したあたりの大どんでん返しからの展開が、背筋が寒くなるように感じた。その後も二転三転。さすが白石和彌監督作品は観客を飽きさせない名手である。

本作は事前知識なしで観ると魅力倍増だ。オープニングの桜の花びらが意味するものは恐ろしい物でした…。