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死刑にいたる病のかのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

鬱屈とした日常を惰性のように消費し、周囲の同級生ほど馬鹿にもなりきれない大学生が、“自分は殺人鬼と同じ血を引いている”という予感だけで、しがらみから解放され真の自分を見出す。
自己同一性を見失いかけている大学生にとって、榛村の存在はある種の救世主のようにうつったのではないか。

危うさを抱える人間に、アクリルを隔てた狂気が病のように伝染していく、という筋書きは抜群に面白いのだが、全ては犯人の手中で踊らされていたと種明かしをするシーンは不必要に感じた。

別の可能性を主人公に察知させた上で真実は伏せ、どこまでが榛村の思惑かわからないまま幕を引いていれば、犯人を底の知れない不気味な存在のまま、視聴者に不安だけを植え付けて終わらせることができたのに、と勿体なく思えてしまう。ラストで急に物語のスケールが狭まってしまったというか。

久々に湿度の高い邦画が見れて満足はしたが、ラストが本当に不満。阿部サダヲの好演する榛村のキャラクターが最後の最後に安っぽくなってしまった。ないわー。
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