相変わらずのウェス・アンダーソンのヘンテコ節。
意味わからないし、雑多でカオスでカラフルで、モチーフみたいなものはひたすらおもちゃのようにギシギシ二詰め込まれていて、でも何故か可愛くて愛おしくて。
この妙な塩梅こそがウェス・アンダーソンという感じがします。
作りとしてはタイトルの「アステロイド・シティ」は劇中劇、さらにそれを制作する舞台裏、監督や役者陣という多重構造。
しかもそれも引っ括めてつくり物なので3重か。
先述のように、キャストも、構造も、モチーフも、やたら詰め込んではいるけれど、結局そこにこういう意味があるんだよ、なんてことは実は期待していないんじゃないかなと感じます。
人によって見方も変わるし、そのギシギシ詰まった中から何を取り出すのか、どこにひっかかるのか、その感覚はこちらに委ねられているというか、その雑多性多様性を面白がっている気もする。
出てくる宇宙人なんて、なんで隕石持ってったか、戻したかもひとつも分からないし、説明しようともしてないじゃない?
最期に出てくる「目覚めたいなら眠れ」と言うセリフすら、何かをサジェストしているようでありながら、そこに意味を見出すかどうかも丸投げされている感じです。
作中で制作監督が「書けない、わからない」「ただ物語を執拗に進める」って言っていたのがまさにそれで、分かんなくていいのかなって。
色んな人がひとつ所に集められて交差して、また散り散りに去っていく。
ただそれだけで人生はドラマを生みながら進むのですよ。
ともあれウェス・アンダーソンのつくる、このオモチャめいた画の作り、色彩のセンス、大好きなので、その辺を楽しみにしながら観てる感じの私です。
一見何でも詰め込まれて、規則性なく色んなカラーが混じりあって、でも何故かそれが可愛くて綺麗でまとまってる。
それこそがこの人の世界の見え方なのかもしれないですね。