はならび

笑いのカイブツのはならびのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
5.0
2024年ベストもう笑いのカイブツじゃない?ってくらいメチャクチャに良かった

綺麗な部分がほとんどない、吐いて吐いて吐きまくって搾り出たにがい汁みたいな作品、神も仏もなく、ほんの一瞬触れ合う人たちもいるけれど、彼を突き動かすエネルギーになるのはどこまでも笑いで、それが眩しくも苦しくもある
自分の身の回りにも強烈な才能があるが社会的な行動や人とコミュニケーションとるのが苦手な人たちがいて、かつてその光に当てられたり憎々しく思ったことがあるので、ツチヤタカユキさんを甘えてるとか思えなかった

あまりに映画が良すぎて映画館で原作を買い一気読みしたら、映画のイメージとは逆に原作のツチヤは割と色々喋っていて驚いた
ただ、ツチヤタカユキさんのハガキ職人〜構成作家時代を知ってる方のレビューを見ると、岡山天音の演技は過去の彼にそっくりだとも書かれており、実物を知らないが無口な人物として描かれていたのは効果的だったように感じる
また原作は地の文でこれでもか!!!とツチヤタカユキさんの独白が描かれているが、映画では内面描写はほとんどせずにボケのテロップを使ってその異様さを表しているのがよかった
原作の、恋愛で愛を知るパートがかなり削られてるのも、"笑いのカイブツ"のみに焦点を当てている感じがする

映画として成り立たせるために原作とは登場人物の役割やセリフが統合したり入れ替わったりしていたが、予告編でも印象的な「地獄で生きろ」は原作にはなく、映画からツチヤタカユキさんへのメッセージに受け止められた
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