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LAMB/ラムのtorumanのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.8
アダは羊?人間?
それとも?

A24が配給したアイスランド産ダーク・フォークロア(おとぎ話)です。

羊飼い夫婦は羊の出産で、不思議な赤ん坊の誕生に立ち合います。
夫婦は赤ん坊に"アダ"と名付け、静かな営みを送っていました。
ある日、夫の弟が農場に転がり込んできます。
日々の生活に徐々に波風が立ってくるのでした。

ノオミ・ラパスが制作・主演の意欲作です。
選ばれた監督は、この作品がデビュー作になるヴァルディミール・ヨハンソン監督です。
タル・ベーラ監督に師事し、アピチャッポン監督からも指導を受けた監督の作品。
両監督の遺伝子も受け継いでいます。

冒頭から夫婦の生活をじっくりと淡々と描いていきます。
アイスランドのロケ撮影は、美しくかつ厳しい風景を切り取り、ちっぽけな存在の営みと対比した見事な風景画のようです。

ノオミ・ラパスを始めとした小人数のキャストは、会話の少ない自然体の演技でこの非現実的な話をリアルなものにしています。
些細な所作から過去の出来事を想起させ、観客の想像性を刺激します。
そして間違った方向に進んでいる事を予期させながらも観客は只々眺めるしか無くなります。

エンドタイトルに流れるシューベルトの「ピアノ三重奏曲第2番ホ長調」が印象的です。
不気味で切ない作品を締めくくります。
※キューブリックの『バリー・リンドン』にも使用されてました🎵

衝撃のラスト。
貴方はどう感じるでしょうか?
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