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LAMB/ラムのkuuのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.8
『LAMB/ラム』
原題 Lamb.
映倫区分 R15+.
製作年 2021年。上映時間 106分。
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アイスランドの田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かを育て、やがて破滅へと導かれていく様を描いたスリラー。
『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』とかの特殊効果を担当したバルディミール・ヨハンソンの長編監督デビュー作。
アイスランド・スウェーデン・ポーランド合作。
ノオミ・ラパスが主人公マリアを演じ、製作総指揮も務めた。
アイスランドの作家・詩人として知られ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の歌劇脚本を手がけたショーンがバルディミール・ヨハンソンとともに共同脚本を担当。
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山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアが羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。
子どもを亡くしていた2人は、その『何か』に『アダ』と名付け育てることにする。
アダとの生活は幸せな時間だったが、やがてアダは2人を破滅へと導いていく。。。
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今作品は、あらゆる意味で想像力に富んだ映画作品だと云えます。
人間のキャストと動物の演技(演技と呼ぶかはわかりませんが)が巧みだったし、雰囲気と気分転換の流れも個人的には好きです。
今作品のCGIが素晴らしいわけじゃないけど、ただ、それとは対照的に、(CGIでない)すべての場面転換のオープニングショットが注意深く考え抜かれ、美しく配置されている。
ストーリーは変わっているものの、うまくオリジナルで自己矛盾がありません(でも、変わっているのはたしかだし、個人的には好きです)。
事前にネタバレを読まずに見ることをお勧めします。
今作品ではヘンデル作曲の『サラバンド』(チェンバロ組曲第4番ニ短調HWV437)が映画で使用されており(映画『バリー・リンドン』でも使われた。)、よりよく良い意味で不穏な空気が流れていて、長く心に残る作品でした。
今作品は、多くの疑問が残るとのは間違いなく、少なくとも、ほとんど即答できないような疑問が多く残る。
その疑問の一つに、彼らは、これをある種の説明不可能な奇跡だと考えたんやろか。
それとも、彼が何かしていたことを知っていて、これがその行動の自然な結果かもしれないと考えたのか。
今作品はファンタジー映画でもなく、確かにホラーでもない。
最初は、奇妙な家族ドラマのように感じられたけど、よく考えてみると、今作品は寓話ともとれる。
道徳的なメッセージを伝えるために魔法の要素を利用した、シンプルで時間を超越した物語です。見ているものが何なのか混乱しましたが(特に誤解を招くマーケティング)、今作品の"それ"が何であるかを認識したとき、"それ"は新鮮なものであると。
真の寓話は最近、特に銀幕では珍しくなっているかな。
さらに稀なことに、今作品のあらゆる側面には目的がある。
今作品の脚本はあまりに最小限のものなので、観てて退屈で無意味だと思われるかもしれない。
しかし、そのテンポの悪さにもかかわらず、今作品はスマートき時間を使い、複雑な感情がスクリーン上で徐々に展開されました。
今作品は多くを語らないが、その有機的な没入感はメッセージをより深く伝えてくれるし、一方、今作品の映像は印象的でした。
全知全能の固定ショットで捉えられた舞台は、それ自体がひとつのキャラです。
不吉な天候と繊細な音楽によって、迫り来る不安が構築され、また、台詞が限られているため、自然なノイズが雰囲気を作り出して、サウンドデザインも強みとなってた。
最終的に、今作品は、己のものでないものを手に入れることの愚かさについての寓話もひめてるのかと。
今作品は決してジェットコースターのような興奮をもたらすものではなかったけど、個人的にはそれでも貴重な体験であることに変わりはなく、面白い作品でした。
余談ながら、昨年の集計で申し訳ないのですが、2021年アイスランド映画史上最高の興行収入を記録し、最初の週末だけで100万ドル以上を稼いだ作品だそうです。
また、今作品は、同じ週末にアメリカの劇場で初公開されたジェームズ・ボンド・フランチャイズのような大作と競演したにもかかわらず、アメリカの劇場で上映されたアイスランド映画史上最も観客動員数の多い作品となったそうな。
これも最初の週末だけだそうですが、マーケティングの力も大きいんかな。
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