千年女優

カード・カウンターの千年女優のレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.5
イラク戦争に従軍した際に犯した軍法違反で八年間の服役生活を送った元軍人で、培ったカード・カウンティングの技術を用いてギャンブラーとして生きるウィリアム・テル。高い技術がありながら欲なく日銭を稼ぐ彼が、ブローカーの女性ラ・リンダや死亡した同僚兵士の息子カークとの出会いを経て一大勝負へ臨む様を描いた犯罪映画です。

マーティン・スコセッシの代表作のひとつでベトナム戦争帰りを語る若者の暴走を描いた『タクシー・ドライバー』の脚本で知られるポール・シュレイダーが、同様に悪名高い「アブグレイブ刑務所」帰りの軍人を主人公に描いた作品で、自身のテーマ「贖罪」を貫く作劇とオスカー・アイザックの演技が多くの批評家から高く評価されました。

戦争の贖罪が主題ですが、兵士の上官への復讐は責任を個人になすりつける点でより大きな立場からすれば思う壺とどれほどの意味があるかは図りかねるところです。それでも人生観を根底から覆される出来事を経て無気力化した男が新たな出会いを経て微かに希望を取り戻す様はセクシーでそれをアイザックがクールに表現している一作です。
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